スポーツ栄養学
「室外スポーツと室内スポーツの真夏の注意点」
今月の話題:夏休み、給食がないときは・・・
真夏の晴れた日には熱中症予防のための“水分補給”が欠かせないことは、最近ではよく言われていることです。
特に屋外のスポーツでは、日射だけでなく輻射の影響も受けやすいということで、湿球黒球温度計(WBGT)の使用を推奨したりするなど、熱中症への注意喚起も盛んになってきています。
屋外スポーツと比べて、熱中症のリスクが少ないように思われている室内スポーツですが、実は思っている以上に発症しています。
日本スポーツ振興センターの発表(2013)によると、各比率は屋外競技が69%に対して、室内競技は31%だそうです。
発生件数的には、バスケットボール、バレーボールが圧倒的ですが、人口当たりの発生頻度になると剣道がバスケットボールやバレーボールを上回っています。その他にバドミントンなども発生頻度が高くなっています。
発生頻度の高いものについて理由を考えてみましょう。
剣道…防具をつけているので、体熱を逃しにくいうえ水分も飲みにくいと言われています。
バスケットボールやバレーボール…屋外球技の野球やサッカーに比べて、水分補給のタイミングがとりにくいことも理由の一つと考えられます。
バドミントン…シャトルの飛球への影響があるため、窓やドアを締め切った条件で練習・試合を行うことが多くなります。つまり、練習場所では室内温度・湿度の上昇が起こり、気流がないことで、発汗による蒸発効率が低下し、高体温になりやすくなってしまいます。
室内競技の種目によって熱中症の発症率が異なることが発表されています。つまり、それは競技の特性と併せて熱中症の発症率が異なる理由を正しく知っていれば、熱中症を予防することも可能ということにつながります。室内だから安心!とか、大丈夫!というように、高を括ることがないように気を付けましょう。
結論
この時季、屋外のスポーツでも室内のスポーツでも共通しているのは、熱中症予防のための『こまめな水分補給』です。
でも、実はそれと同じくらい『朝食を食べること』も大事です。夏休みも近くなってきますが、生活が乱れがちな夏休みこそ、先ずは、朝食喫食から規則正しい生活を心掛けましょう。
夏休み、給食がないときは・・・
夏休みも間もなくですが、夏休み⇒給食がない⇒昼食の準備をしなくては…と、連想ゲームのようにつながって、夏休みがちょっと憂鬱な方も多くいらっしゃるのではないでしょうか? そんな時期だからこそ、お子様方に料理の技術を伝えて下さい。火を使わない調理や半調理品を上手に使った料理、各ご家庭オリジナルの“なんちゃって料理”など、ぜひ教えてあげて下さい。お仕事のある保護者の方にとって、その時間を確保することはたいへんかもしれませんが、『必要は発明の母』です。つまり、給食がない夏休みは 、お子様方が“調理の腕”を身につけるとても良いタイミングだと思ってください。
そしてあと一つ、夏休みに是非気をつけて頂きたいことがあります。夏休み中の牛乳の摂取です。給食がないと牛乳の摂取量が少なくなり、それに伴ってカルシウムの充足率も少なくなってしまうことは様々な研究でも発表されています。給食で摂っていた牛乳をぜひ夏休み中にも飲んでください。もちろん、ヨーグルトでも構いませんので、成長期ゆえに牛乳・乳製品の確保を怠らないように意識して下さい。
簡単で素早く作れるレシピは是非こちらの『時短朝食レシピ』のコーナーをご活用下さい!お子様でも作れる電子レンジを使ったレシピもございます。
栄養学担当者プロフィール
久保田 尚子 先生
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数
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