スポーツ栄養学
「スポーツ選手が好んで食べる乳酸菌の効果について」
今月の話題:野菜を使った料理、どれだけ知っていますか?
最近はうどんやチョコレートなど思ってもいない食品に“乳酸菌入り”と書かれているのを目にすることが増えた気がしています。
皆さんは、見かけたことはありませんか? そして、そのたびに『”乳酸菌”って体に良いんだ!』と思うことはありませんか?
その乳酸菌ですが、スポーツ選手はどう付き合っているのでしょうか?
スポーツ選手がサプリメントや薬品を使う時には、『ドーピング』に引っかからないかどうか?を気にしていることが多いようです。オリンピック関係などで耳にすることが多い“ドーピング”ですが、
ドーピングとは … 競技能力を増幅させる可能性がある手段(薬物あるいは方法)を不正に使用することです。
ただ、なかには禁止薬物であることを知らずに『うっかり使ってしまうこと』も含まれているために、選手の多くは、“薬”はなるべく控えたいと思っているようです。
そんなこともあって、スポーツ選手の中には「食品なら大丈夫!」と、”免疫力を上げる”効果があるといわれているヨーグルトなどを好んで食べる人が多いようです。
“ヨーグルト”といえば、“乳酸菌”を多く含む食品の代表格ですが、ヨーグルト以外でも乳酸菌を多く含むものはたくさんあります。
ヨーグルトは乳(動物)由来の乳酸菌を多く含む食品の一つで、チーズもその仲間です。また、キムチやぬか漬け、ザワークラフトなどの漬物の他、みそやしょうゆなどの調味料も植物由来の乳酸菌です。
乳酸菌の働き
*殺菌作用のある乳酸を生産して腐敗を防いだり、食中毒菌の増殖を阻害する
*“免疫力を高める”や“アレルギー抑制作用”、“腸内環境の改善”など
ヨーグルトを食べている地域でインフルエンザ罹患率が低かったり、花粉症にも効果があったり、便秘にも良いと言われているのも、その表れかもしれません。
ヨーグルトを使ったレシピを公開しています。ぜひご参考ください!
結論
ヨーグルトに関わらず食品は即効性があるものではないので、食べたらすぐに効果が出るものではないと思います。
乳酸菌効果が期待されている“ヨーグルト”に限ったことではありませんが、“それ”だけを食べるのではなく(≒それさえ食べていれば大丈夫!というのではなく)、やはりいつも“バランス”を意識した食事が大事だと思います。
野菜を使った料理、どれだけ知っていますか?
先日、中学1年生の運動部の生徒に『加熱した野菜料理と生で食べる野菜料理をそれぞれ5つずつ挙げて下さい』という質問をした時のことです。思った通り、加熱料理では“野菜炒め”、生で食べる野菜料理は“野菜サラダ”、がそれぞれ最初に上がり、それ以降はなかなか続きませんでした。すると、ある生徒が手を挙げ、『加熱料理が"ひじきの煮物”、生で食べる野菜料理は"ぬか漬け"』と答えてくれました。思ってもいなかった解答に、心の中で拍手喝采(はくしゅかっさい)したのと同時に、そのご家庭の日頃の食事メニューを見せて頂きたい気持ちになりました。豪華な和食が雑誌で紹介されたり、世界に通用する"和食文化”が注目されたりしていますが、彼が答えてくれた『ひじきの煮物やぬか漬け』もそれらに負けないほどの価値のある和食ではないかなと思いました。そして、各ご家庭でも偏(かたよ)らない家庭料理をこれからも伝承(でんしょう)していただけると良いと思いました。
栄養学担当者プロフィール
久保田 尚子 先生
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数
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