スポーツ栄養学

「アスリートと体温」
今月の話題:朝の連続テレビ小説と食事

インフルエンザの大流行もやっと収まってきたようですが、そんな時も『免疫力』という言葉がずいぶん聞かれました。

『免疫力』とはそもそも『病から逃れる力』のことで、その力を上げることでインフルエンザに限らず“感染症”にかかりにくくなります。

朝食を摂ることと平熱の関係

では、具体的にどんなことに気を付ければ『免疫力』はアップされるのでしょうか?
食事との関連でいうと、まずは『朝食をしっかり食べること』です。
朝食を毎日しっかり食べると…⇒平熱を高く維持できることが様々な調査研究で発表されています。
実は"平熱"免疫力に大きくかかわっていて、平熱が1度下がると免疫力が30%下がる』ということも言われていますので、平熱を高く保つと言われる朝食摂取は大事なポイントです。

ここで、大事なことは自分の平熱を知っておくことです。
ただ、体温は一日の中でも変動しますし、測り方によっても差が出ますので、健康な時に何度か時間を変えて測り、自分の平熱を正しく知っておくと良いでしょう。ちなみに、自分の平熱を知るには、3~4日間、朝・昼・夜の体温を測って平均を出すと良いようです。
50年前の日本人の平均は36.89度で、現在の平均は36.20度です。
ただ、時間帯や年齢、体調によっても差は出るようですので、数日測ってみて、ばらつきを知るのも良いかもしれませんね。

平熱を上げることのメリット

では、「なぜ体温が高めのほうが免疫力に良い影響があるのでしょうか?」
私たちの体の中での様々な活動(≒代謝)は、体温が37℃くらいの時が最も活発になると言われています。
体温が高すぎると… 代謝にかかわる酵素の働きに支障が出ます。
体温が低くなると… 血流が悪くなり、当然血液中の免疫機能をもつ白血球の働きも緩慢になることが考えられます。

体温を上げるために好ましい朝食の内容やスタイル

朝食を『具体的に』、『何を食べればより効果的か?』というと、やはり“バランスのとれた食事”です。
とは言え、今まで朝食を摂る習慣のなかった人がいきなり“バランスのとれた朝食”は難しいかもしれません。
最初は「パン1枚、おにぎり1つでも良いから、まずは食べることを始めよう!」と言われますが、出来ればなるべく早く“朝食の質のアップ”を目指してください。
パンやご飯などの主食だけでなく、主菜(“メインのおかず”)も食べるようにしましょう!
おかずにはたんぱく質が含まれています。たんぱく質は“体づくりの材料”になるのですが、“体温を上げる”という大事な働きもあります。
※ただし、『たんぱく質を多く含むおかず』を難しく考えない!
ハードルを上げることなく、納豆でも、卵でも、ハムでも、魚の缶詰でもOK!

朝起きることが少し楽になってくる季節です。『朝食を食べることが“ふつう”になる』⇒『朝食づくりも苦に思わない』そんな流れができますように。。。

結論

『食べたものがからだを作る』『食べたものがエネルギーの素』というのは、『だから、食事はしっかり食べよう!』の説明によく使用される“定型文”ですが、この時の“エネルギー”は、運動するためのエネルギー源だけでなく、体温を維持するためのエネルギー源にもなります。
人間は本来“恒温(こうおん)動物”ですが、やはり体温を維持するにはそれなりのエネルギー源の確保は大切ということです。
朝起床時に体内のエネルギー源が枯渇(こかつ)していて『おなかがすいた』状況でいることが、しっかり朝食を食べる ⇒ 体温を維持(≒高い平熱の確保)出来る ⇒ 免疫力をアップにつながる。
そして、それがアスリートとしての健康・元気につながるということになります。
恒温動物…気温や水温など周囲の温度に左右されることなく、自らの体温を一定に保つことができる動物。

「体があたたまるスープ」のレシピ

朝の連続テレビ小説と食事

『朝の連続テレビ小説』は、放送時間がちょうど通勤通学時間帯と重なってしまうこともあり誰もがみられるドラマではないかもしれませんが、視聴率などいろいろなことが話題になっています。
『連続テレビ小説』の様々なシリーズを見るたびにいつも嬉しく感じることがあります。それは“朝”だからかもしれませんが、シリーズごとに、“食”に関係することが多いように思っています。今回のドラマにも、こんなセリフがありました。
『人にとって何より大事なことは“食べること”。そして、それを作ることも大事なこと。』 
また、少し以前の朝の連続テレビ小説でも、『“ごはん”は、夢をかなえる!、“ごはん”食べなきゃ、夢はかなわない!』というのがありました。これらのセリフはまさに、『スポーツ栄養学』の神髄ではないかと思っています。
私はよく『家族は最強のサポーター!』とお伝えしているのですが、家族に限らず選手や子どもに関わる全ての方が、『食べたものがからだを作る材料になる、食べたものがエネルギーの素になる』ということを再認識し、『食べることの大事さ』を伝えていって頂ければと思います。

栄養学担当者プロフィール

久保田 尚子 先生

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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