スポーツ食育インタビュー
ASエルフェン狭山FC
大野 忍 選手
小さいころは、天しんらんまんな子どもでした!
「サッカークリニック、おつかれさまでした!今日参加してくれた子どもたちは、いかがでしたか?」
「子どもはみんな元気で、楽しかったですね!お母さんたちも積極的に参加していただいて、楽しいイベントになったと思います。」
「それでは、これからはご参加いただいたみなさまからのアンケートをもとに、いろいろな質問をしていきますので、よろしくお願いします!
まず、最初の質問です。『大野選手はどんな子どもでしたか?』」
「うーん、天しんらんまんな子どもでした(笑)!」
「次の質問です。『好きな科目は何でしたか?』」
「なんでしょう・・・あんまり覚えてませんね。あ、でも学校の給食は大好きでした! 給食が楽しみで学校に行っていたようなものです(笑)。」
会場:爆笑
白いご飯が大好き! 好物は、ツナと梅干しのおにぎり。
「なるほど(笑)。『食べ物の好きらいはありましたか?』」
「好きなものは、白いご飯! おかずがどうこうよりも、とにかく白いご飯をたくさん食べてました。きらいなものは、ワカメ。食べられないことはないのですが、今でも時々残したりしています。あと、牛乳が苦手でした。これは、今はむしろ好きなくらいなんですけどね。子どものころはきらいでした。」
「ごはんだもん!げんきだもん!では、“早寝・早起き・朝ごはん”を子どもたちにすすめているのですが、大野選手は子どものころは“早寝・早起き・朝ごはん”ができていましたか?」
「う~~~~~~~ん・・・(笑)。朝ごはんは、しっかり食べてましたよ。和食党で、白いご飯とおみそ汁。両親は朝早く仕事に行くことも多かったのですが、ちゃんと朝食を用意してくれていたので、朝からしっかり食べてました!」
「お弁当を持って行くことも多かったと思いますが、思い出に残っているメニューはありますか?」
「試合のときはお弁当を持っていくんですが、おかずはタクワンくらいで、おにぎりがメインでした。具は・・・そうですね、ツナに梅干しとか。」
「えっ、ツナと梅干しを一緒に入れるんですか!?」
「そうです。梅干しはハチミツづけのような、甘いヤツ。ちょっと変わってますかね?」
「ツナ缶も種類によって、高たんぱく質・低脂質のものもあり、まぐろの脂質は質も良いものです。また、梅干と言えば”クエン酸”!クエン酸は、エネルギー作りにも役に立つ大事な栄養成分です。」
「 (会場のお母さまたちに)今は、どんなおにぎりが人気なんですか?」
会場:「肉まきとか!」
「肉まき!いいですねえ。おいしそう。」
「肉まきおにぎりならあぶら身の少ないお肉を使うから、栄養的にもいいですね。それに、しっかりと味付けをして火を通すから、衛生的(えいせいてき)にも安心です。」
女子が中学生になっても、サッカーを続けられる環境作りをしたい。
「『サッカーをはじめたのは、いつ、どんなキッカケですか?』という質問もいただきました。」
「小学1年生ごろからです。兄が二人いて、兄と一しょにボールをけっていました。でも地元のチームには、女子は入れなくて。4年生のときに女子チームができて、そこからは本格的にスタートしたんです。
子どものころは、毎日暗くなって親がよびに来るまで、ずーっとサッカー。その他にどんな遊びをしていたのか覚えてないくらい、サッカーに熱中していました。」
会場:「うちの娘は、地元のチームに唯一(ゆいいつ)の女子として入っているのですが、大野選手は子ども時代に苦労されましたか?」
「そうですね。小学生のころは、男女の別なく一しょにプレイできるのですが、中学生になるとおたがい意識してしまって、なかなかうまくいかなくなるんですよね。高校生になると女子チームの大会もあるんですが、中学生だと、女子がプレイする環境があまりない。その段階でサッカーからはなれてしまう女の子が多いんです。この現状(げんじょう)をなんとか変えていきたいと、個人的には思っています。」
世界と戦える、“当たり負けしない体”を作る食事を意識しています。
「白いご飯が大好きな大野選手ですが、プロになってからの食生活は変わりましたか?」
「食生活には気を配るようになりました。日本人は小柄なので、体の大きな海外選手と対戦した時、“当たり負けしない体”を作らなくちゃいけない。そのためにまずなにができるのかというと、やはり一番は食事ですから。」
「特に気をつけているポイントとしては?」
「一つは、時間ですね。夜はおそくとも8時までには、朝は7時までには食べ終わりたい。ただ、夜に練習があるときはすぐに食事ができないので、練習後におにぎりを食べるようにしています。」
「それはすごく大切ですね。夜の食事がおそいと、寝ている間の成長ホルモンの分泌(ぶんぴつ)が悪くなってしまうんです。でも今は小学生でも、夜おそくまで練習している子がたくさんいて、何を食べさせていいのか、悩んでいるお母さん方が多いんですよね。」
会場:うなづく
「そういう時は、 “分食”と言って、練習の前にエネルギー源になる《主食》を食べておくようにします。具体的な例としては、練習に行く前におにぎりを食べて、練習後にはごはん少な目で、おかずは脂質ひかえめの夕食をするというものです。この方法は、練習時にもエネルギーはチャージ出来て、寝ている時の内臓への負担もひかえめになります。 」
会場:「うちの子は、食べたいときはたくさん食べてくれるのですが、そうじゃないときはあまり食べてくれないんです。何かアドバイスはありますか?」
「つかれていると、食欲がわかないですよね。私の場合は両親が『食べなさい!』と注意してくれたので、食べるようになったかな。」
「サッカー選手から聞いた話では、食事の前に糖分(とうぶん)の入っていない炭酸水を一口飲んで、胃を刺激(しげき)してから食事をする、というのがありましたよ。」
「『食べることも、強くなるためのトレーニングのうちだよ!』と伝えてあげてください。練習を重ねるだけでなく、きちんと食事をとることも、立派なトレーニングです。」
「『あまり好きでなくても、意識して食べるようにしているものはありますか?』」という質問です。」
「そうですね~、ひじきとか。栄養士の先生にアドバイスされて、貧血予防のためにもひじきはよく食べています『五大栄養素※をバランスよく取りなさい』と言われて、牛乳が苦手だったのですが、乳製品も積極的にとるようになりました。乳製品はすごく大切ですね。牛乳やヨーグルトなどを欠かさずとるようになってから、ケガが少なくなった実感があります。フランスにいるときは、ドリンクタイプのヨーグルトをよく飲んでいました。」
※ 五大栄養素:炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル
「やはり女子選手が集まると、おかしや甘いものをめしあがるのかな? と思っていたのですが・・・。」
「いや、そんなことはないですよ。子どものころは、おかしが大好きでしたが、今はほとんど食べないですね。コンビニに行ったとき、たまに誘惑(ゆうわく)に負けそうになるときもありますけど(笑)。バイキングの朝食でも、デザートはフルーツしか食べません。なでしこジャパンの選手はみんな意識が高くて、食生活にもストイックな人が多いですね。」
取材日:2013年8月7日
選手&チームのご紹介
大野忍選手
1984年1月23日生まれ。2人の兄の影響でサッカーを始め、97年に日テレ・ベレーザの下部組織「メニーナ」に入団。99年に、日テレ・ベレーザに昇格。2011年INAC神戸レオネッサに移籍。同年行われた「ドイツ女子W杯」では、全試合にスタメン出場。メキシコ戦でゴールを決めるなど、チームの勝利に貢献し、日本サッカー史上初「世界一」の称号を手に入れた。個人としても、大会優秀選手21名に選出される。2012年INAC神戸ではキャプテンに就任。開幕戦では、なでしこリーグ通算得点記録を更新し、歴代1位となる。同年開催された「ロンドン五輪」では、1ゴール1アシストをするなど勝利に貢献し、初の銀メダルを獲得した。2013年1月フランス・オリンピック リヨンへ移籍。
同年7月なでしこチャレンジリーグ、ASエルフェン狭山FCへ移籍し、日本に復帰した。
【ASエルフェン狭山FC】
1985年西埼玉の狭山市で地域少女チームとして活動を開始。埼玉県リーグ、関東リーグを経て、2002年から日本女子サッカーリーグに加盟。2010年に1部リーグに昇格。2012年に降格するが、1年での「なでしこリーグ復帰」を目指している。運営母体は、2004年に設立した「NPO法人エルフェンスポーツクラブ」。設立翌年に体育協会のクラブ指定支援事業の指定を受ける。総合型スポーツクラブとして健康スポーツに関わる活動も積極的に行っている。