食育Q&A

「食品添加物の役割って?」「添加物は体に悪い?」

小中学校で「早寝・早起き・朝ごはん」の生活リズムの大切さについてお話しする食育講座を行う際に、皆さんから食事について様々なご質問、ご相談をたくさんいただいています。


そこで、皆さんも同じ疑問やお悩みをもたれているかもしれませんので、よくある質問をご紹介し、お答えしたいと思います。

食品添加物って どんな役割があるんですか?小学生 保護者より

食品添加物って どんな役割があるんですか?

食品添加物とは、食品を加工したり、食品を長持ちさせたりするために加えるもののことを言います。実は、私たちになじみ深いものの中にも食品添加物に分類されるものがあるんですよ。

  • ・ゼリーなどを固めるために使う“ゼラチン”や“寒天(テングサ)”は、「ゲル化剤」と呼ばれる食品添加物の仲間です。
  • ・豆腐の製造に使われる“にがり”は、「豆腐用凝固剤」と呼ばれる食品添加物の仲間です。
  • ・サイダーやコーラなど炭酸飲料のシュワッとした爽快感は“炭酸ガス”によるものですが、これも食品添加物に分類されます。
  • ・栄養素のビタミンCは、その抗酸化作用から食品が変質することを防ぐ「酸化防止剤」として利用されます。

その他の食品添加物では、食品を長持ちさせる「保存料」、食品に色をつける「着色料」、食品に甘味をつける「甘味料」、食品に香りをつける「香料」などがよく知られていると思います。

どちらかというと良くないイメージを持たれがちな食品添加物ですが、食品が良い状態で長持ちすることで食中毒のリスクが減ったり、食品ロスの削減や限りある食料資源を有効に活用することにもつながります。また、味や風味、舌ざわり等のよい、おいしい食品を作り出すことができます。食品添加物の種類によってその役割は異なりますが、いずれも“私たちの安定的で豊かな食生活に貢献している”という側面があるのではないでしょうか。

添加物は体に悪い?小学校 保護者より

食品添加物の入った食品は 体に悪そうな気がするのですが…。

食品添加物に対して「体に良くないのでは?」というイメージを持っている方も多くいらっしゃると思います。しかし、私たちの体に入るものですから、その安全性は国によってしっかりと確保されています。そのため、添加物の含まれる食品を食べたからと言って体に影響が出ることはないと考えてよいでしょう。

食品添加物の安全性確保のしくみ

①動物を使った試験を行い、繰り返し食べた時の影響、お腹の赤ちゃんへの影響、発がん性などを確認し、“有害な作用が全く出ない摂取量(無毒性量)”を決めます。

②無毒性量は動物実験の結果です。そこで、動物と人間との個体差や、人間の中での差(年齢や病気の有無など)を考慮して、無毒性量の1/100の量を、“人間が毎日、一生食べ続けても健康に影響が出ない量(一日摂取許容量)”とします。

③日常の食事の中で摂取される食品添加物が一日摂取許容量を十分に下回るように、その食品添加物の使用基準が決められます。

このように、食品添加物の“安全性”は「摂取量」を基準にして考えられています。つまり、その物質を多量に摂取すれば有害な作用が起こることが考えられます。しかし、私たちが日常的に摂取している食塩も摂りすぎれば高血圧などの病気を引き起こす原因となります。また、体に必要な栄養素の中にも摂りすぎることで健康被害を起こすものがあります。食品添加物に限らず、私たちが摂取するものの安全性を考える時には「量」という視点が重要であり、“添加物が使用されている”ということ自体を怖がらないでいただきたいなと思います。

しかし、いくら安全性が確保されているといっても、それで“安心”できるかは人によって考えの異なるところですよね。「それでもやっぱり摂りたくない」と思われる方もいるでしょう。使用された食品添加物は原則として全て表示されていますので、気になる方はパッケージの裏側などに記載されている表示()をチェックしてみてはいかがでしょうか。

添加物の表示方法はいくつかありますが、「原材料名」の欄に「/(スラッシュ)」で区切られて記載されていることが多いようです。
例:「いちご、砂糖/ゲル化剤(ペクチン)、酸化防止剤(ビタミンC)」

食育Q&A担当者プロフィール

伊藤 真理子(いとう まりこ)

1999年、東京農業大学農学部栄養学科管理栄養士専攻卒業。フリーの管理栄養士として、セミナーの企画・運営、執筆、特定保健指導など幅広く活動中。

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