食育Q&A

「熱中症を防ぐには?」「夏場のお弁当、どんな注意が必要?」

小中学校で「早寝・早起き・朝ごはん」の生活リズムの大切さについてお話しする食育講座を行う際に、皆さんから食事について様々なご質問、ご相談をたくさんいただいています。


そこで、皆さんも同じ疑問やお悩みをもたれているかもしれませんので、よくある質問をご紹介し、お答えしたいと思います。

熱中症を防ぐには?小学生 保護者より

子どもの熱中症を防ぐために気をつけるとよいことは何ですか?

暑さのために体温の調節機能がうまく働かなくなり、体に熱がこもってしまう“熱中症”。子ども(特に小さな子ども)は次のような理由から熱中症にかかりやすいため、注意が必要です。

・大人にくらべて体温調節機能が未熟なため、熱が体内にこもりやすい
・体重あたりの体表面積が大人よりも大きいため、気温などの影響を受けやすい
・身長が低いため、地面からの照り返しの熱を受けやすい
・遊びなどに夢中になり、体調変化に気づきにくい
・のどの渇きや体調の変化をうまく訴えられない

熱中症対策としてまず大切なのが、水分補給です。「のどが渇いてから飲む」ではなく、こまめに水分を補給するようにしましょう。

また、バランスの良い食事規則正しい生活を心がけて、日頃から体のコンディションを整えておくことも重要です。十分な睡眠をとり、決まった時間に起きて朝ごはんをしっかり食べるようにしましょう。

なお、下のイラストは食事に含まれる水分を表したものです。食べ物にも多くの水分が含まれることがお分かりいただけると思います。日々の食事は“水分補給”という意味でも重要と言えますね。

強い日差しが照り付ける真夏はもちろんですが、じめじめとした梅雨時期には湿度が高く汗が蒸発しにくいことや、体がまだ暑さに慣れていないことなどから熱中症の危険性が高まるため、意識して予防対策をとるようにしましょう。

夏場のお弁当、どんな注意が必要?中学生 保護者より

これからの時期、お弁当の食中毒が気になります。どんなことに注意すればよいですか?

梅雨時から夏場にかけて、熱中症とともに気をつけたいのが“食中毒”です。夏以外でも食中毒は起こりますが、食中毒を起こす菌の多くは高温多湿な環境が大好きです。ムシムシ・ジメジメしたこれからの季節は食中毒菌の活動も活発になるため、作ってから食べるまでの時間が長いお弁当では特に注意が必要なのです。
食中毒を防ぐための3つのポイントが「食品に細菌をつけない」「食品についた細菌を増やさない」「食べ物や調理器具についた細菌をやっつける」です。

食品に細菌をつけないために

  • 手をよく洗おう…「調理、盛りつけの前」「生の食材(肉、魚、卵、野菜など)に触れた後」「ゴミを処理した後」などはよく手を洗い、手についた細菌を食品につけないようにしましょう。また、手をふくタオルも清潔なものを使いましょう。
  • 箸やラップを利用しよう…特に調理済みの食品を扱う時には、なるべく素手で触らないようにするのが得策です。おにぎりはラップを使って握るようにしたり、お弁当を詰める時には箸を使うようにするとよいでしょう。

食品についた細菌を増やさないために

  • 冷めてから詰めよう…調理直後の温かい食品からは湯気が出ます。その湯気がお弁当箱の中にこもってしまうと、菌は増えやすくなってしまいます。ごはんやおかずはしっかりと冷ましてからお弁当箱に詰めるようにしましょう。
  • 水気の多いおかずに注意…食中毒予防という意味では、煮物のような水分の多いおかずより、揚げ物や焼き物のおかずの方が適していると言えます。また、レタスなどをおかずの仕切りに使うと、おかずの塩分の影響でレタスから水分が出てきてしまうため要注意です。ゆでたブロッコリーは房のところに水分がたまっているため、炒めるなどして水分を減らすとよいでしょう。
  • 低温で保存しよう…クーラーバッグや保冷剤を活用し、作ったお弁当をなるべく低い温度で保存するようにしましょう。

調理器具や食品についた細菌をやっつけるために

  • 食品を十分に加熱しよう…多くの細菌は加熱することによって死滅します。特に肉料理は表面だけでなく中心まで熱が行きわたるよう、十分に火を通すようにしましょう。また、作り置きのおかずをお弁当に入れる際も、詰める前に十分に再加熱するとよいでしょう。
  • 調理器具は殺菌しよう…使った包丁やまな板等の調理器具は洗剤で十分に洗った後、熱湯等で殺菌するようにすると安全です。

小さなお子さんをお持ちの方などでは、“キャラ弁”を作ることも多いかもしれません。しかし、こったキャラ弁ほど上記のポイントを守って作ることが難しいのではないでしょうか。見た目がかわいいキャラ弁は、お子さんのお弁当タイムを楽しいものにしてくれますが、温度や湿度が高く食中毒が起こりやすいこの時期には、特に「安全面(衛生面)」に気をつけていただければと思います。

食育Q&A担当者プロフィール

伊藤 真理子(いとう まりこ)

1999年、東京農業大学農学部栄養学科管理栄養士専攻卒業。フリーの管理栄養士として、セミナーの企画・運営、執筆、特定保健指導など幅広く活動中。

食育セミナー実施中!

ダノン健康栄養財団では、子どもから大人まで、幅広い年齢層に正しい食生活、生活習慣の知識を身につけてもらえるよう、小・中学校などの教育現場で「食育出前授業」やスポーツチーム向けの「スポーツ栄養学講座」を行っています。

講座のお問い合わせ、お申し込み受付はこちらの「ダノン健康栄養財団」ホームページよりご確認ください。

詳しくはこちら