食育Q&A

「“植物性ミルク”ってどんなもの?」「牛乳と植物性ミルクの栄養の違いは?」

小中学校で「早寝・早起き・朝ごはん」の生活リズムの大切さについてお話しする食育講座を行う際に、皆さんから食事について様々なご質問、ご相談をたくさんいただいています。


そこで、皆さんも同じ疑問やお悩みをもたれているかもしれませんので、よくある質問をご紹介し、お答えしたいと思います。

“植物性ミルク”ってどんなもの?小学生 保護者より

“植物性ミルク”ってどんなものですか?

植物性ミルクはその名の通り、穀物や豆、ナッツなど“植物”を原料として作られたミルクで「プラントベースミルク」とも呼ばれています。大豆で作られた豆乳(ソイミルク)のほか、オーツ麦で作られたオーツミルク、米から作られたライスミルク、アーモンドから作られたアーモンドミルクなど、種類も様々です。

植物性ミルクは、乳アレルギーや乳糖不耐(乳糖という成分を体内で分解できず、下痢などの症状を起こす)などの体質がある方や、動物性の食品を一切とらないようにしている方など、牛乳を飲めない方でも安心して飲むことができるミルクです。また、植物由来のためコレステロールをほとんど含まないこと、カロリーが低いものも多いことなどから植物性ミルクを選ぶ方も多いようです。

また、植物性ミルクは“地球にやさしい”とも考えられています。牛乳を作るためには、牛を育てる土地やたくさんの水、牛の飼料を育てる農地などが必要であるのに対し、植物性ミルクはより少ない環境負荷でできることからも注目を集めているのです。

植物性ミルクの主な特徴を挙げましたが、牛乳にも植物性ミルクにはない良いところがあり(次の質問でもお伝えします)、植物性ミルクと比べて「どちらの方が優れている」というものではありません。それぞれの特徴を知ってどちらもバランスよくとるようにすれば、それぞれの良いところを取り入れることができるのでおすすめです。“ミルク”としての選択肢が増えれば、食生活ももっと豊かになりそうですね!

牛乳と植物性ミルクの栄養の違いは?小学校 保護者より

牛乳と植物性ミルクの栄養の違いについて教えて下さい。

先にお伝えしたように様々な面から注目を集めている植物性ミルクですが、栄養面では牛乳とどう違うのでしょうか。代表的な植物性ミルクでもある豆乳とくらべてみました。

※同じ豆乳でも無調整豆乳(大豆のみで作られる)と調整豆乳(無調整豆乳に油脂や砂糖などを加えたもの)で栄養成分が異なるため、両方の栄養成分を記載しています。

豆乳は、たんぱく質を多く含む大豆で作られており、牛乳と同様にたんぱく質を多く含んでいます。牛乳と豆乳で大きく異なるのは、「カルシウム」と「鉄」の量でしょう。表からもわかるように、牛乳には調整豆乳の約3.5倍、無調整豆乳の約7.3倍ものカルシウムが含まれています。さらに、牛乳に含まれるカルシウムはからだに吸収されやすい(利用されやすい)と言われており、牛乳や乳製品は効率のよいカルシウム摂取源です。一方で、豆乳は100gあたり1.2㎎の鉄を含むのに対し、牛乳には鉄が含まれていません。また、豆乳はコレステロールを含まないことや、食物繊維を含んでいることも特徴の1つです。

植物性ミルクはその原料によって栄養的な特徴も異なります。例えば、豆乳がたんぱく質を多く含むのに対し、アーモンドミルクなどナッツを原料とするものでは脂質が多くビタミンEも豊富、オーツミルクやライスミルクなど穀物を原料とするものでは炭水化物や食物繊維を多く含みます(商品によって異なります)。

原材料には多く含まれない栄養素を加えて栄養価を高めた商品も数多くあるので、パッケージに記載された栄養成分表示を参考にしながら、自分に合ったミルク(牛乳・植物性ミルク)を選んでみてはいかがでしょうか。種類によって口当たりや味わいも異なるので、飲みくらべてみても楽しいかもしれませんね。

食育Q&A担当者プロフィール

伊藤 真理子(いとう まりこ)

1999年、東京農業大学農学部栄養学科管理栄養士専攻卒業。フリーの管理栄養士として、セミナーの企画・運営、執筆、特定保健指導など幅広く活動中。

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ダノン健康栄養財団では、子どもから大人まで、幅広い年齢層に正しい食生活、生活習慣の知識を身につけてもらえるよう、小・中学校などの教育現場で「食育出前授業」やスポーツチーム向けの「スポーツ栄養学講座」を行っています。

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