食育Q&A

「ウイルス感染から身を守るには?」「ウイルスの予防に発酵食品が良い?」

小中学校で「早寝・早起き・朝ごはん」の生活リズムの大切さについてお話しする食育講座を行う際に、皆さんから食事について様々なご質問、ご相談をたくさんいただいています。


そこで、皆さんも同じ疑問やお悩みをもたれているかもしれませんので、よくある質問をご紹介し、お答えしたいと思います。

ウイルス感染から身を守るには?中学校 保護者より

ウイルス感染から身を守るために、自分でできることはありますか?

毎年冬になると流行するインフルエンザ、そして今世界中に広がっている新型コロナウイルス……。ウイルスの中には、私たちの体に入り込んで様々な症状を引き起こすものがあります。ウイルスという目に見えない敵から身を守るために、そして感染を広げないために、私たち自身ができることとは何でしょうか。

まず徹底したいのが、「咳エチケット」や「手洗い」です。なぜこれらが大切かというと、新型コロナウイルスなどのウイルスは、感染した人が咳やくしゃみをした時にウイルスが含まれた鼻水やだ液が飛び散り、それが周りにいる人の鼻や口から入りこんで感染する「飛沫感染」や、ウイルスがついた手が鼻や口などに触れることで感染する「接触感染」によって感染が広がっていくからです。手洗いについては、汚れが残りやすい指の間や爪の先、手首などもしっかり洗うようにしましょう。石鹸で洗うことが望ましいですが、流水で洗うだけでも効果があります。

※咳やくしゃみをする時に、マスク、ハンカチ、服の袖などで鼻や口をおさえること

そして、もう一つ大切なことは、ウイルスに抵抗する力(免疫力)をつけることです。早起きをして朝の太陽の光をしっかり浴び、朝ごはんもしっかり食べて一日をスタートし、夜はぐっすり眠って体を休める……、そんな規則正しい生活リズムを今こそ大切にしてほしいと思います。

また、栄養のバランスも大切です。主食・主菜・副菜をそろえた栄養バランスの良い食事をとると、色々な種類の栄養素をまんべんなく取り入れることができ、それらが体の中で働き合って体のコンディションを整えてくれます。学校が休みのお子さんの場合は、給食がなくなることで不足しやすくなると言われている野菜や牛乳・乳製品も意識してとるようにしたいものです。

ご家庭で食事作りを担っている方の中には、長引く自粛生活で毎日の食事作りに少し疲れてしまった方もいらっしゃるかもしれません。当ホームページの時短レシピのコーナには、簡単で栄養も考えられたレシピがたくさんそろっていますので、こちらもぜひご活用くださいね。

ウイルスの予防に発酵食品が良い?小学校 保護者より

ウイルスの予防に発酵食品が良いと聞きましたが、本当ですか?

新型コロナウイルスがまん延する中、一部で「発酵食品がコロナに良い」という情報が流れ、納豆などを買い占める動きもあったそうですね。私もスーパーに行ったら納豆の棚が空っぽだったことがありました。

近年、菌などの微生物を利用して作った発酵食品の健康効果が注目されています。しかし、(発酵食品だけでなく食品全般に言えることですが)それはウイルスそのものに対して予防効果があるものではないので注意が必要です。

発酵食品の主な健康効果として、次のようなものが挙げられます。

① 消化・吸収がよくなり体にやさしい
発酵の過程で、微生物は食品に含まれるたんぱく質などの栄養素を分解しています。これは、私たちが体内で食べ物を消化するのと同じような働きです。つまり、発酵食品は微生物の働きで栄養素が消化吸収しやすい形になっているので、胃腸への負担が少なくなるということです。

② 栄養価が高まる
微生物が食品に含まれる栄養素を分解する際に、新たな栄養素を生み出すことがあります。たとえば、ぬか漬けやキムチなどには、発酵の過程で微生物が作り出したビタミンB群が豊富に含まれています。
※漬物は塩分も多いので、食べ過ぎには注意しましょう!

③ 腸内環境を整え、免疫力UPも
腸内にはたくさんの細菌がいます。その中には、良い働きをする菌(有用菌)もいれば、悪い働きをする菌(有害菌)もいます。発酵食品に含まれる乳酸菌などには、腸内を有用菌が優勢な「良いバランス」にする作用があると言われています。そして、このようにして腸内環境が整うと、病気の原因となる菌などから体を守る「免疫力」が高まることも分かっています。

「ウイルス予防に良い」というのは、この「免疫力UP」というところから来ているのかもしれませんね。

発酵食品には腸内環境を改善することで免疫力を高める作用が期待できることから、ウイルスに負けない体を作るために発酵食品を食生活に取り入れることは良いことだと思います。しかし、発酵食品だけで良い腸内環境が得られるわけではありません。腸内環境を整えるためには、脂肪をとりすぎないことや、野菜や海藻、くだものなどに多く含まれる食物繊維をしっかりとることも重要です。

ウイルス対策に限らず、健康な体づくりの土台になるのは「毎日の食事の栄養バランス」だと思います。その上で、発酵食品の持つ健康効果なども上手に取り入れられると良いのではないでしょうか。

食育授業report上尾市立尾山台小学校

2020年1月9日に、上尾市立尾山台小学校に行ってきました。この日は地域の小中学校3校の先生方が集まる講演会で、「健康な心と体を育てるためには」をテーマに、早寝・早起き・朝ごはんの大切さをお話ししました。スマートフォンの使い過ぎによる睡眠不足、朝ごはんの欠食など、子どもの健康を取り巻く問題はたくさんあります。お話ししたことや紹介したデータなどが、それらの改善に少しでも役立てば嬉しいです。

食育Q&A担当者プロフィール

伊藤 真理子(いとう まりこ)

1999年、東京農業大学農学部栄養学科管理栄養士専攻卒業。フリーの管理栄養士として、セミナーの企画・運営、執筆、特定保健指導など幅広く活動中。

食育セミナー実施中!

ダノン健康栄養財団では、子どもから大人まで、幅広い年齢層に正しい食生活、生活習慣の知識を身につけてもらえるよう、小・中学校などの教育現場で「食育出前授業」やスポーツチーム向けの「スポーツ栄養学講座」を行っています。

講座のお問い合わせ、お申し込み受付はこちらの「ダノン健康栄養財団」ホームページよりご確認ください。

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