食育Q&A
「牛乳は量を気にせずに飲んでも良い?」「健康的に体脂肪を減らすには?」
小中学校で「早寝・早起き・朝ごはん」の生活リズムの大切さについてお話しする食育講座を行う際に、皆さんから食事について様々なご質問、ご相談をたくさんいただいています。
そこで、皆さんも同じ疑問やお悩みをもたれているかもしれませんので、よくある質問をご紹介し、お答えしたいと思います。
牛乳は量を気にせずに飲んでも良い?小学生 保護者より
牛乳は体に良いと聞きますが、量を気にせずに飲んでも良いのでしょうか?
他にも「身長を伸ばすためにと主人が子どもに牛乳を1日1リットル飲むことをすすめていますが、大丈夫でしょうか」という質問も寄せられていました。牛乳を飲む量というのは、多くの方にとって関心があることのようです。
さて、牛乳は“完全栄養食品”のように言われることや、たんぱく質やカルシウムなど体に必要な栄養素を多く含むことからも「体に良い」「身長を伸ばす」というイメージがあるのかもしれません。しかし、食育Q&A 2020年1月号でゆきえ先生がお話ししていた通り、牛乳には脂質も多く含まれるため、牛乳を飲み過ぎると脂質をとりすぎることにもつながってしまいます。実際、牛乳にはどのくらいの脂質が含まれているのかを、バターと比べてみると…。
上の表の通り、牛乳をコップ1杯にはバター1切れ分と同じくらいの脂質が含まれているのです。牛乳を1日に1リットルも飲んだら…その分、とても多くの脂質をとることになることが分かりますね。また、牛乳をたくさん飲めば、お腹がいっぱいになってしまって食事がきちんと食べられず、栄養バランスが崩れてしまうことも考えられます。
食事バランスガイドでは、牛乳・乳製品について、通常1日に“2つ分”、子どもの場合は成長期に必要なカルシウムを十分にとるために1日“2~3つ分”を適量としています。
牛乳に限らず、いくら「体に良い」と言われている食品でも「=たくさんとった方が良い」というわけではありません。あくまでも大切なのは全体のバランスです!食事バランスガイドも参考に色々な食品をバランスよく食べることが、最も体に良く、健やかな成長につながるものと思います。
健康的に体脂肪を減らすには?中学校 保護者より
健康的に体脂肪を減らすにはどうしたら良いですか?
“体に脂肪がつく”というと、なんだか良くないことのように感じられるかもしれません。しかし、体脂肪自体は「エネルギーを貯蔵する」「体温を保つ」「体を衝撃から守る」など、私たちが生きていく上で欠かせない、重要な役割を果たすものです。体脂肪が気になる時には、今回のご質問のように“健康的に”体脂肪を減らすことを心がけたいものですね。
体脂肪を減らすためには、食べる物を制限したり体を動かしたりすることで、
食べ物からのエネルギー(摂取エネルギー) < 体が使うエネルギー(消費エネルギー)
の状態にすることが必要です。摂取エネルギーと消費エネルギーの差が約-7,200kcalになると、体脂肪を1kg減らすことができます。
しかし、摂取エネルギーを減らした結果として栄養バランスが悪くなってしまったら、それは“健康的”とは言えません。栄養をバランスよくとりながら摂取カロリーを減らすことが必要です。まずはご自身の食生活を振り返ってみましょう。お菓子や甘い飲み物、大人の場合はお酒などを多くとっている場合は、そこから減らすのがおすすめです。また、普段の食事で「主食(ごはん、パン、麺類など)の量が多い」「主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)の量が多い」などの傾向があれば、その食品群を減らす工夫をしたいものです。食事の量が適切かを見るには、1日の食事内容を食事バランスガイドと照らし合わせてみると分かりやすいかもしれません。
消費エネルギーを増やすために、体を動かすことも大切です。ウォーキングやランニングなどは脂肪がエネルギー源として使われやすい運動です。また、筋肉は多くのエネルギーを消費する組織なので、筋トレを行って筋肉の量を増やすことができれば、体が自然に消費するエネルギーが増え、太りにくい体を作ることにもつながります。運動が苦手な場合には、買い物に行く時に少し遠回りをして歩く距離を増やしたり、積極的に家事を行ったりすることでも消費エネルギーを増やすことができます。
食べ物の制限と運動を組み合わせて取り組めば、摂取エネルギーと消費エネルギーの差も大きくなり、効率よく体脂肪を減らすことができますよ。
なお、“健康的に”と考えるとき、取り組み方に無理がないことも大切な要素だと思います。早く結果を出したいがために無理な頑張りをしてしまうと、ストレスもたまりますし、挫折もしやすくなるからです。自分にとって無理のないペースでできること(=長く続けられること)を見つけてみてくださいね。
食育授業report都立板橋特別支援学校
2019年3月11日、都立板橋特別支援学校の高校3年生に、生活リズムの重要性や、バランスのとれた食事をどう実践するかなどについてお話ししました。みなさんの明るい笑顔と積極的な姿勢でとても楽しい授業になりましたね!この数日後に高校を卒業されたみなさん。今頃、新たなステージで元気に頑張っていらっしゃるでしょうか。みなさんの輝く毎日を陰ながら応援しています。
食育授業report中央区立月島第二小学校
2019年6月25日に、中央区立月島第二小学校に行ってきました。計2コマの講座で、1コマ目は3年生に早寝・早起き・朝ごはんの大切さを、2コマ目には保護者の皆様に、食事に関する質問への回答を中心にお話しさせていただきました。規則正しい生活リズムとバランスの良い食事、家族みんなで取り組んで、家族みんなが元気な毎日を過ごせるといいですね!
食育授業report富士見市立水谷東小学校
2019年7月11日、富士見市立水谷東小学校の2年生に、早寝・早起き・朝ごはんの大切さについてお話ししてきました。少し難しい内容もありましたが、みなさんとても集中して話しを聞いてしっかり理解していて、すごいなと思いました。講座後に行ったマグカップヨーグルトケーキのデモンストレーションでは、出来上がったモコモコのケーキを見て歓声が上がりましたね。簡単なので、おうちでも作ってみてくださいね!
食育Q&A担当者プロフィール
伊藤 真理子(いとう まりこ)
1999年、東京農業大学農学部栄養学科管理栄養士専攻卒業。フリーの管理栄養士として、セミナーの企画・運営、執筆、特定保健指導など幅広く活動中。
食育セミナー実施中!
ダノン健康栄養財団では、子どもから大人まで、幅広い年齢層に正しい食生活、生活習慣の知識を身につけてもらえるよう、小・中学校などの教育現場で「食育出前授業」やスポーツチーム向けの「スポーツ栄養学講座」を行っています。
講座のお問い合わせ、お申し込み受付はこちらの「ダノン健康栄養財団」ホームページよりご確認ください。