スポーツ栄養学
食べる量を増やすには?
今月の話題:お弁当のおにぎりは傷みやすい?
野球やサッカーなどスポーツ強豪校の寮などで、例えば“丼ぶり5杯は必須!”というような“食育”としているということを耳にすることがあります。確かに大きな体を作ることで結果が出たり、試合で強さを発揮するためには、ある程度の食事量確保も大事なことかもしれません。
また、高校生年代よりも年齢が低い、例えば小学生がスポーツクラブの合宿や給食などで食事量を決められていると食べきれずに悲しい思いをするという話も聞いたことがあります。
成長期の子どもたちにとって、食事は大事なものです。”成長の材料”になるだけでなく、”体を動かすエネルギー”、あるいは”頭を働かせるエネルギー”もすべて“食事由来”です。
とは言いながらも、分かってはいても食べられない方がいることも事実です。
では、食べる量が少ないというのは、具体的にはどんなことでしょうか? 好き嫌いが多くて必要な栄養量が摂れないということもありますが、ここでは 「食べる量がとにかく少ない、いわゆる“少食”という場合」について考えていきましょう。
少食の方は、自分でいくらしっかり食べようと思っても「もうお腹いっぱい!」となってしまうことが多いかと思います。その対策としては、一回の食事量を増やすことよりも、食事回数を増やすことです。
例えば、一回の食事で摂らなくてはならない量の0.8しか取れないとしても、食事回数を5回にすれば、0.8×5=4.0と摂らなくてはならない量をしっかり超えることが出来ます。
とは言え、学校に行っている方の場合は、なかなか食事回数を増やすことが難しいこともあるかもしれません。しかし、食事量が少ないのが続いてしまうとエネルギーも含めて必要な栄養量も当然不足してきます。そのような時には、食事量を増やすことと同時に“エネルギー量を増やす”ことを考えてみましょう。
いつも心掛けていることと違ってくるかもしれませんが、1gあたりのエネルギー量の多い脂質をじょうずに使うことです!
食事量が増えなくても“油”を上手に使うことで、エネルギー量を増やすことは可能になります。
日頃は「高たんぱく質・低脂質」を心掛けている方も、ぜひエネルギー量を増やすことを試してみて下さい。具体的には、今まで鶏肉と言えば“皮無し鶏むね肉(105kcal/100g)”だったのを“皮付き鶏もも肉(190kcal/100g)”やビタミンB群が豊富な“豚ロース肉(248kcal/100g)”に変えるのもよいでしょう。また、油の質にこだわるなら不飽和脂肪酸のえごま油や亜麻仁油を毎日小さじ1杯程度を摂るのもよいでしょう。
結論
食べる量を増やすことは努力だけではなかなかかなわない場合もあります。
無理に食べさせようとすると食事の時間が苦痛になってしまう心配もあります。それでは本末転倒なので、”食べる回数(食事の回数)を増やす”、”エネルギー量を増やす”工夫など出来そうなことを考えることも必要です。
お弁当のおにぎりは傷みやすい?
コンビニ前で数人の親御さん方の立ち話を聞くともなく耳に入ってきたときがありました。
「おにぎりのお弁当を持たせなくてはいけないのだけど、手作りだと心配で。。。コンビニのおにぎりの方が安心だと思うのだけど、どうかしら?」
前例のないような今年の猛暑、黄色ブドウ球菌による食中毒と気になるニュースもあると、親御さん方の心配が他人事ではなく思えてきました。
コンビニのおにぎりには添加物が含まれているのではないか?という不安、手作りだといくら当日の朝作ってもこの猛暑だと腐ってしまうことも考えれるうえ、子どもだと気が付かないで食べてしまうかもしれない。。。まさに二つの心配の狭間になってしまいます。
そこで、どうしたらよいかのヒントをお教えします!
まず、コンビニのおにぎりの場合は、表示をしっかり見る習慣をつけること。そのときのポイントとしては、たとえ美味しそうですぐに手に取りたいようなものでも、必ず“食品表示”を確認することです。
手作りおにぎりの場合:①絶対に素手では握らない ②作ったらすぐに冷ますこと ③抗菌シートなどを利用する
そして、どちらの場合も、持ち歩く際には、保冷バッグに保冷剤と一緒に入れておくこともおすすめです。ただし、保冷バッグに入れていても過信は禁物です。
(一概には言えませんが)季節も含めて基本(梅干を混ぜるなど抗菌作用のあるごはんにする、素手で握らない、すぐに冷まして保冷バッグに入れるなど)を守った場合でも、保冷剤の効果があるうち(例:朝作ったものでも昼食くらいまで)に食べるようにすることが大事だと思います。
コンビニおにぎりの場合:消費期限を守ること
栄養学担当者プロフィール
久保田 尚子 先生
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数
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