スポーツ栄養学

「プロテインについて(種類と違いは?)」
今月の話題:免疫力アップとビタミンDの力

最近は小学生でも『ぼく、プロテイン飲んでる!』、あるいは保護者の方からも『子ども用のプロテインを飲ませようかと思うのですが。。。』という声を耳にすることがあります。”プロテイン”とは何なのでしょうか?その辺りを一緒に考えてみましょう。

プロテインということばが広まってくるにしたがって、プロテインがサプリメントの代名詞であるかのように使われているのを見聞きすることがありますが、ここでは正しい意味でのプロテインについて考えてみましょう。そもそも“プロテイン”とは英語の“Protein”で『たんぱく質』のことです。ですから、極端な言い方をすれば、ふだんの食事で肉や魚、大豆製品や卵、乳製品をしっかり摂っていれば、『プロテイン、摂っている』と言えることになります。つまり、『プロテインとはたんぱく質のことだから、食品からも摂れる』訳です。
そのような中で、サプリメントでたんぱく質を摂ることのメリットとして、①たんぱく質を摂るのに最適なタイミングを逃さず摂れる ②たんぱく質を効果的に利用するのに必要な栄養素も配合されている ③食品では一緒に摂れてしまう脂質などを摂らないで済む ④必要なたんぱく質量をしっかり計って摂れる などが挙げられます。

プロテインは、“原料”や“目的”によって分類することができます。原料による分類は大きく2つ、牛乳と大豆に分けられます(同じ牛乳由来でもホエイとカゼインに分けられるので、3つに分けられると考えることもできます)。乳由来のプロテインのうち、ホエイとはヨーグルトの上澄み部分に含まれるたんぱく質で、溶けやすく、消化吸収が速いので練習後のタイミングで飲むのに向いています。また、もう一方のカゼインは、ヨーグルトの白い部分(固形部分)に含まれるたんぱく質で、ゆっくり吸収されるので、体内で比較的長時間血中アミノ酸濃度を保つことができます。その性質を生かすと、就寝中に分泌される成長ホルモンの濃度が高まるときに合わせて就寝前に飲むのが向いています。ということで、同じ牛乳由来のプロテインでもその特徴によって使い分けることが大事です。大豆が原料のプロテインについては、昔は大豆そのものの評価が低かったので、あまり好まれませんでしたが、現在はたんぱく質そのものの価値には大きな差はないと思います。むしろ、大豆にはたんぱく質源としてだけでなく、その他の魅力的な成分もあるので、プロテインをもし使う場合にはそれぞれの特徴をよく知り、目的に近いものを選ぶことが大事です。

また、(サプリメントとしての)プロテインを使う目的は身体づくり(筋肉づくり)だけではなく、食事量が少なくなった高齢者の方が必要なたんぱく質量を摂るためや減量を考えている方が脂質を抑えながらたんぱく質をしっかり摂りたいときにも便利です。

ただ、たんぱく質の摂り過ぎを防ぐ意味でも、プロテインを利用する場合には栄養成分の表示をしっかり確認することを忘れないようにして下さい

結論

プロテインに限らずサプリメントを利用する際には『食事だけでは本当に足りないのか?』をしっかり確認して、『サプリメントの信者にもならず、毛嫌いもせず』という考え方をすることが大切です。

免疫力アップとビタミンDの力

新型コロナウイルス感染症も少しずつ下火になってきたようです。どうかこのまま収束しますように。。。と祈るばかりですが、今度はインフルエンザが気になる時季になってきました。昨冬は新型コロナ対策が功を奏したこともあってか、統計を取って初めて『インフルエンザの流行はなかった』という状況だったそうです。今シーズンも流行を抑えるためには、やはり“予防”が大事です。そのためには、手洗い・マスクはもちろんですが、食事でも気を付けられることはあります。『免疫力』を高めるために食事の一番は、“一日3食、バランスのとれた食事をとること”ですが、最近は“ビタミンD”の摂取でインフルエンザの感染が抑えられたという注目のデータも発表されています。ビタミンD(ビタミンDの前駆体のエルゴステロールも含みます)を多く含む身近な食品は、魚類(特に鮭)やきのこが挙げられます。肉に偏ることなく魚を食べるという食習慣がものをいうことになりますね。しかも、鮭は様々なメニューが浮かぶ便利な食品です。また、きのこは、調理前に短時間日光浴させるだけで、ビタミンDが増えるともいわれています。肉などに比べると、魚やきのこは食卓に上がる頻度は少ないかもしれませんが、これからの季節は、“鍋料理”を増やすなど、“食材選び”を少し意識してみましょう。

スポーツ栄養学 Q&A

全国の中学校で開催した「スポーツ栄養学講座」にて寄せられた質問と、
その回答の一部をご紹介します。

食事の後の運動(部活や長距離走)は、食事からどのくらい時間を空けておくべきですか?

食べたものの内容や量、また、運動の内容や運動時間によっても違います。例えば、長距離走の場合は2~3時間空けるのが理想です。放課後の部活なら、給食からちょうどそのくらいの時間が空いているので、ちょうどよいかもしれませんね。
2~3時間というのは、食べたものが胃からなくなる時間が目安です。ただ、学校の体育の授業が5時間目だった場合はそんなに時間を空けることは無理なので、あくまでも目安と考えて下さい。

塾が長くなって夜早く寝られません。朝早く起きると、あまり食欲が出ません。どうすればいいですか?

塾の時間にもよると思いますが、学校から帰宅後に夕食を半分程度済ませてから塾に行って、塾から帰宅したら、軽い夕食で済ませるようにしましょう。そのパターンが身につくと朝はおなかが空いて目が覚めるようになると思います。夜、おなかが空いてガッツリ食べて、すぐ寝る…というパターンでは、熟睡が出来ないうえに、消化にも影響が出るので、よい形ではありません。また、学校から帰宅後、塾に行くまでの間になるべく明日の準備をしておくことも、塾から帰宅後の時間を睡眠のために有効に使えると思います。難しいと思いますが、自分のペースを作ってみましょう。

栄養学担当者プロフィール

久保田 尚子 先生

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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