スポーツ栄養学

「アスリートと腸内環境」
今月の話題:コロナ禍だからこそ “熱中症”に要注意!

アスリートは基本的に薬を使わずに、食事でコンディションを整えることが大事です。練習や試合など、様々なストレスがあるなか、コンディションを整えることは腸内環境を整えることにもつながります。

トレーニング効果を高めたり、パフォーマンスを上げたりするための三要素〔運動・休養・栄養〕は、腸内環境を整えるためにも大事です。ここでは、栄養(食事)について考えてみましょう。食べた食物が消化・吸収されるのが腸ですが、腸の調子が良くないと、せっかく食べた食事が十分に利用されにくくなってしまいます。つまり、栄養(食事)を考える上で、効果的に消化・吸収されるように腸内環境を整えること(腸活)も大事ということになります。

最近、“腸内フローラ”ということばを耳にすることがあります。腸内に100兆個も生息していると言われる細菌がお花畑(フローラ)のように見えることからそのように呼ばれるようになりました。腸内の細菌は“善玉菌”“悪玉菌”“日和見菌”の3つに分けられます。ビフィズス菌や乳酸菌などに代表される“善玉菌”は悪玉菌の侵入や増殖を防ぎ、おなかの調子を整える働きがあります。“悪玉菌”は有害物質を作り出し、下痢や便秘を起こします。“日和見菌”はどちらにも属さないのですが、名前の通りに状況によって働きを変えたりします。つまり、腸内環境を整えると、“善玉菌”を増やすことで“日和見菌”の悪い働きを抑え、ストレスなどで生じる下痢や便秘も抑えることが期待できます
善玉菌を増やすには、やはり、食事が大きくかかわってきます。

結論

具体的な腸活(腸内環境を整えること)には、善玉菌を多く含むもの(プロバイオティクス)を食事で取り入れることと善玉菌の餌になるもの(プレバイオティクス)を一緒に摂ることです。善玉菌を多く含むものの代表は、ヨーグルトやチーズ、納豆、キムチなどの『発酵食品』で、善玉菌の餌になるものは、『食物繊維を多く含む食品(野菜や豆類、いも類、きのこ類、海藻類、果物など)』『オリゴ糖を含む食品(豆類、根菜類、バナナなど)』などです。とは言え、何か一つに偏ることなく、バランスの良い食事を、ストレスなく楽しみながら食べることが大事です。

コロナ禍だからこそ “熱中症”に要注意!

この頃は夏になると、天気予報などで『今日は真夏日の予報です。こまめな水分補給を心がけてください。』と注意を促すコメントを聞くのですが、熱中症で救急搬送される人は必ず出ます。特に、今年は昨年に引き続きコロナ禍で“マスク着用の夏”になります。厚生労働省の見解でも、暑い時期のマスク着用は、着用していない場合と比べて心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇することがあり、高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高まるおそれがあるとのことです。屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合は、マスクをはずすことも視野に入れてもよいかもしれません。そして、マスクをしているとついおろそかになりがちな水分補給を、いつも以上に心がけることです。ここでもまた、『バランスのとれた食事(特に朝食)が大事!』と心得てください。

【こちらもあわせてご覧ください】
リーフレット『熱中症×コロナ感染防止で「新しい生活様式」を健康に!』(厚生労働省)
PDFはこちらから→https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000798079.pdf

スポーツ栄養学 Q&A

全国の中学校で開催した「スポーツ栄養学講座」にて寄せられた質問と、
その回答の一部をご紹介します。

おすすめの朝食メニューを教えてください。

朝食の基本は《主食+汁物+おかず+野菜のおかず(+乳製品+果物)》です。
主食をご飯にするなら、《ごはん+みそ汁(落とし卵・青菜など)+納豆+トマト(+ヨーグルト+キウィ)》のようなメニューはいかがですか?簡単ですし、ご家族がお留守でもご自分で作れると思います。
『豪華でなくても、バランスがとれていること』が大事です。

早寝したいのですが、用事などで早く寝られません。早寝の他に背を伸ばす方法はありますか

成長期の中学生にとって、一番大事なことは“早寝”です。『これを飲めば、背が伸びる!』という商品も売られていますが、どんな時もまず、しっかり食べることとしっかり寝ることが基本です。また、用事は学校が休みの日に回すことは出来ないか?など、自分の生活の中で優先順位を考えてみましょう。

栄養学担当者プロフィール

久保田 尚子 先生

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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