スポーツ栄養学
「スポーツ選手が魚料理に期待するもの」
今月の話題:鮭は赤身魚? それとも、白身魚?
『魚離れ』ということばはずいぶん前から言われるようになっています。また実際に、肉の消費量が魚を上回っています。ただ、世界のスポーツ界では、選手や指導者が魚に関心を寄せて、魚を食べよう!という傾向にもなってきています。
『年齢が低いほど、好きなおかずは“肉派”と答える方が多い』というアンケート結果があるように、『今夜のおかずは、何にする?』という問いに『食べるなら肉!』と即答されることも多いようです。多分、肉の方が“ガッツリ感”が得られるのかもしれませんし、何と言っても骨の心配がなく食べられるという“食べやすさ”もあるのかもしれません。作り手側にとっても比較的簡単に調理出来るメニューが多くて、価格がほぼ一定なことも、“肉派”が多い理由かもしれません。ただ、それらの状況を考えても、出来れば『肉が好きだけど、魚も美味しい!』と思って欲しいし、魚には、たんぱく質以外の脂質やミネラルなどに肉とは異なる特徴もあることに改めて気づいて欲しいと思っています。
では、“魚の魅力”を改めて確認してみましょう。肉との違いは、何と言っても“脂質”です。魚には、肉に含まれている脂肪酸とは構造や特徴が異なる“多価不飽和脂肪酸”が多く含まれています。多価不飽和脂肪酸の代表的なものとしては、IPA(EPA)やDHAが聞きなれたものではないでしょうか? IPA(EPA)は、悪玉コレステロールや中性脂肪をを減らし、血液をサラサラにする働きがあります。DHAは、脳神経を活性化させたり、記憶力向上にも関係するとも言われている魅力的なものです。これらの多価不飽和脂肪酸は魚の中でも“青魚”に多く含まれているので、ぜひ意識して魚も摂るようにしたいものです。(※青魚とは、さば、あじ、いわし、さんまなど背が青い魚のことを指します。)
結論
『魚は健康的、あるいは体に良い』とされる理由が、
鮭は赤身魚? それとも、白身魚?
『青魚』『白身魚』という区別を耳にすることがあるかと思います。最近は『鮭はどっちに入るの?』と関心を持たれる方を見かけることもあります。鮭由来のきれいな色を“サーモンピンク”と言うくらいですから、『鮭は赤身魚』と考えがちですが、実は鮭は白身魚に含まれます。鮭のあのきれいな色は“餌由来”です。つまり、もともとは白身魚ですが、あのきれいな色は鮭がふだん餌としている小さな海老など甲殻類に含まれているアスタキサンチンという色素成分によるものです。アスタキサンチンはとても強い抗酸化力があるので、鮭のように移動距離の長い魚には、理にかなっている“餌”なのかもしれません。もちろん、私たち人間、特に運動量の多く活性酸素の影響を受けやすい方にとっては、強い味方になってくれる成分です。これからはぜひ、“魚”にも関心を寄せ、”魚の魅力”に気付き、『肉も魚もバランスよく食べよう!』と思って頂けるとよいなぁと思います。
スポーツ栄養学 Q&A
全国の中学校で開催した「スポーツ栄養学講座」にて寄せられた質問と、
その回答の一部をご紹介します。
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スポーツドリンクより普通の飲み物の方が良いですか?
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「普通の飲み物」というのが、例えば「果汁100%ジュース」のことだとしたら、果物が食べられなかったときに代用できる便利なものではありますが、スポーツドリンクの代わりにはなりません。スポーツドリンクは、汗で失った水分・塩分などを体へすばやく吸収できるように作られているものだからです。
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習い事などが忙しく、早く寝られません。また、朝は眠くてどうしても起きられません。どうしたら早起きできるでしょうか。
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学校のほかに習い事などがあると、早く寝るのは大変です。また、寝るのが遅くなれば、朝は眠くてなかなか起きられないのもよく分かります。そこで、自分の時間の過ごし方に“無駄”がないか見直してみたり、“朝型の生活”に変えてみたりしてはいかがでしょうか。なるべく早く寝て、朝早く起きる。そして、勉強や習い事の宿題を早朝にすることで、朝の目覚めも良くなり、食欲もわいて朝食をしっかり食べられるかもしれませんよ。
栄養学担当者プロフィール
久保田 尚子 先生
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数
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