スポーツ栄養学

「疲れが溜まったから“疲労骨折”というわけではありません」
今月の話題:良い食習慣は一生の宝物です!

『疲労骨折』、耳になさった方や実際になったという方もいらっしゃるかもしれませんね。いわゆる“疲労”が溜まって骨折するというよりも、鉄道や飛行機の事故の原因にも挙げられる『金属疲労』と似ていると思って下さい。

『骨折』…骨に大きな力が加わりその外的力に耐えられずに折れてしまうこと
『疲労骨折』…同じ部位に小さな力が継続的に加わってひびが入ったり、そのひびがすすんで完全に骨折してしまったりすること。
そのため、最初は安静にしていれば全く痛みを感じなかったり、レントゲンでもわかりにくいことも多いようです。また、競技によって負担のかかる部位も異なるため、どこが疲労骨折しやすいかが一概には言えないようです。

小さな刺激の繰り返しによって生じる『疲労骨折』を予防することは出来るのでしょうか?
 同じ部位に繰り返し刺激がかかることを避けるような練習方法の改善でも予防は出来ると思いますが、ここでは体を作る食事からの予防を考えてみましょう。

まず、『骨は何で出来ているか?』
[骨=カルシウム]と考えがちです。そして、カルシウムは日本人にとって長年不足がちな栄養素ですから、丈夫な骨を作るためにカルシウムの摂取を心がけることはとても大事なことです。とは言え、骨はカルシウムだけで出来ているわけではありません
建物の“セメント”に当たる部分 ⇒ カルシウム 骨密度に関係しています。
建物の”鉄筋”に当たる部分 ⇒ コラーゲン  強度を強くしています。
その他マグネシウムリンなどのミネラルも骨の形成に必要な栄養素です。
穀物や魚介類に多く含まれるマグネシウムは、食事が洋風化してきたことで最近は不足がちになってきています。
逆にリンの摂りすぎは、カルシウムの排出を増やしてしまうので問題です。(リンは肉や魚だけでなく、加工食品や清涼飲料水などに多く含まれているので注意が必要です)

結論

(いつも同じような結論になってしまいますが)やはり日頃からバランスの調った食事をすることが大事です。
これから暑くなってくるとつい口当たりの良い飲料に手が伸びがちです。また、冷たいおやつも欲しくなったりする時期ですが、そんな時にも『ケガをしない丈夫な体』のためには何を食べればよいか?も考えて、食べるものや飲むものを選べるようになりましょう。

良い食習慣は一生の宝物です!

先日、あるサッカーチームの中学1年生と話をする機会がありました。『夕方からの練習に行く前は、何か食べるの?』と聞いたところ、中学1年生の返事は『おにぎりとオレンジジュース!』、『エネルギーゼリーだよ!』とか『納豆ご飯!』と次から次へと“模範解答”が返ってきました。きっと小学生のうちから、コーチや保護者の方から“正しい声掛け(指導)”を受けていらしたのだろうと思います。
『食べたものでからだは作られる!』と分かっていても、食べたいものに手が伸びてしまうことが多いなか、中学生の意識の高さに感動しました。目的は変わっても、“良い食習慣は一生の宝物”ですよ。

栄養学担当者プロフィール

久保田 尚子 先生

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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