スポーツ栄養学
「運動前後のビタミン摂取について」
今月の話題:アスリートとビタミンC
“ビタミン”というと“ビタミンC”というイメージが強いかと思いますが、ビタミンと言ってもいろいろあります。ビタミンを正しく知ることがスタミナや体づくりにも実は大きく関係するのです。今月はそんなビタミンについてのお話です。
運動(練習や試合)の前には、“エネルギーの素”になる《主食》をしっかり摂ることが大事だということは今までにもお伝えしてきました。
しっかり摂った《主食(ごはん、パン、めん類など)》が体を動かすエネルギーや脳を働かせるエネルギーに変わるのですが、実はその時に欠かせないものがあります。それが“ビタミンB1”です。
少し難しい話ですが、炭水化物(食べたごはんなど)がエネルギーになるときに必要な“酵素”は、ビタミンB1がないと働きません。
つまり運動前後のエネルギー補給は、炭水化物と“ビタミンB1”とセットで考えるということです。
運動をすることはからだづくりにも欠かせません。運動をする(=筋肉に刺激が入る)ことで、成長は促進するので、運動前後には成長の材料ともいうべきたんぱく質(肉や魚、牛乳乳製品、卵、大豆製品などに多く含まれています)が必要になるのですが、それらのたんぱく質が私たち人間の筋肉になるためには“ビタミンB6”が欠かせません。
ビタミンと一言で言ってもたくさんあるので、今回は運動と特に関係の深い“ビタミンB群”についてお伝えしました。
ただ、“ビタミンB群”はほかのビタミンと違って、“群”という言葉が付きます。
“ビタミンB群”にはビタミンB1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチンと8種類あります。
これらのビタミンは目的に合わせてどれかを単体で摂るよりも“群”で摂ることの方が相乗効果もあり効果的です。
結論
ビタミンというと”ビタミンC”=“レモン”というイメージが先行しがちですが、今回ご紹介した“ビタミンB群”は、レモンとは異なり、どちらかというと肉や魚介などに多く含まれています。
大事なことは、ビタミンは直接“エネルギー源”にもならず、“体の材料”にもなりませんが、エネルギーを産生したり、体づくりには欠かせないものです。ビタミンをしっかり摂るためにはやはり《バランスのとれた食事》が大事ということです。
アスリートとビタミンC
今回は、運動するときに欠かせない『ビタミンB群』についてお伝えしていますが、ビタミンは大きく2つに分けることが出来ます。
『油に溶ける性質の“脂溶性ビタミン”』と『水に溶ける性質の“水溶性ビタミン”』です。
そこで次に水溶性ビタミンの、とかく美白や美肌との関連イメージが強い“ビタミンC”について、アスリート目線での大事さをお伝えします。
栄養学担当者プロフィール
久保田 尚子 先生
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数
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