スポーツ栄養学
「成長期の子どもと筋肉について」
今月の話題:栄養素を食事から摂る利点
成長期に筋トレをしたり、筋肉が付くと身長が伸びないなど言われていますが、詳細については専門家にお任せします。(ただ、"自分の体重"を使ったトレーニングなら問題ない、というのが一般的な考え方のようです)
今回はトレーニングではなく、トレーニング効果を上げるための食事について考えていきましょう。
筋肉は筋繊維(きんせんい)が束(たば)になったものです。
その筋繊維の材料は”たんぱく質”ですが、たんぱく質がうまく働くためには”ビタミンB6”もかかせません。
ビタミンB6は“ビタミンB群”の仲間で、8種類のビタミンからなります。ビタミンB群はたんぱく質に限らず、炭水化物や脂質の代謝に関係する大事な働きがあります。一つの目的だけのために単体で摂ることよりも、"ビタミンB群"としてグループで摂ることが大事です。
また、『たんぱく質をしっかり摂る』と言うと『肉を食べなきゃ』と思われがちですが、たんぱく質は様々なアミノ酸の組み合わせで出来ているので、肉だけにかたよることなく、魚、卵、乳製品など様々な食品から摂ることが大事です。
ただ、たんぱく質を含む食品は、同時に脂質を多く含むものが多いので注意が必要です。たんぱく質を摂るつもりで食べたものが、実は同じくらいの脂質が含まれているということもあるので、食品の選び方にも注意が必要です。
ビタミンB群は水溶性なので、サプリメントなどで一度に摂っても尿などで体外に排泄されてしまいますから、なるべくこまめに食品から摂ることを試みましょう。
結論
筋肉づくり ≒ たんぱく質 ≒ プロテイン …などという公式を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、たんぱく質やビタミンB6以外にも筋肉の収縮に関係するミネラル(マグネシウムやカルシウムなど)など様々な栄養素がからだ作りにはかかわっています。特に成長期の場合は、バランスのとれた食事を3食以上摂ることが『筋肉づくり』の基本と考えて下さい。
栄養素を食事から摂る利点
『必要な栄養素を摂る』方法が現代は“食事”だけではなくなっています。もちろん、場合によってはサプリメントが必要なこともありますが、ここでは“食事”から栄養を補うことの大事さを考えてみましょう。
例えば、エネルギー源として“ごはん”を食べたとします。エネルギー源の炭水化物はもちろん摂れますが、炭水化物の代謝に欠かせないビタミンB1は精白米では足りません。ただ、精白米を胚芽米(はいがまい)に替えたり、ビタミン強化米を加えれば、ビタミンB群の補給は解決されます。
また、ご飯には実はたんぱく質も含まれています。ごはん100gあたりでは2.5gですが、ごはんは1回に食べる量が多いので、例えば丼1杯なら7gのたんぱく質が摂れます。たんぱく質7gは卵1個、牛乳コップ1杯にほぼ匹敵します。このように食品で摂ると、期待している以上の栄養素が摂れます。
さらに、バランスのとれた汁物付きの食事をすることで、命に関わる大事な“水分補給”も出来ます。
『バランスのとれた食事』をすることの大事さを改めて再認識して頂けたらと思います。
栄養学担当者プロフィール
久保田 尚子 先生
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数
食育セミナー実施中!
ダノン健康栄養財団では、子どもから大人まで、幅広い年齢層に正しい食生活、生活習慣の知識を身につけてもらえるよう、小・中学校などの教育現場で「食育出前授業」やスポーツチーム向けの「スポーツ栄養学講座」を行っています。
講座のお問い合わせ、お申し込み受付はこちらの「ダノン健康栄養財団」ホームページよりご確認ください。