スポーツ栄養学

「アスリートの朝食」

朝食欠食の多さ、朝食の大事さについては、様々なところで言われていますが、朝食を食べないこととスポーツのパフォーマンスは関係あるのでしょうか?ここでは、朝食とスポーツの関係について、一緒に考えてみましょう。

朝食の役割とスポーツの関係について、私は次のように考えています。
朝ごはんを食べることで、
体温が上昇する⇒食べたときに汗をかくこともあるように、食事をすることで体温が上昇します。それは、『朝食が一日の生活の“ウォーミングアップ”』と同じです。つまり、アップなしで、試合に臨むことなんてありえないと考えて下さい。また、体温が上昇することで、私たちの身体は免疫力が上がり、風邪をひきにくくなります。元気でいられれば、大好きな練習も休まず参加出来ます。(※免疫力とは病気の原因と戦う力です) 
運動時や学習時のエネルギー源を確保する⇒朝食を食べないということは、前日の夕食以降何も食べていない訳ですから、当然エネルギーが不足しています。エネルギーが足りない状態で過ごせば、学習も運動も当然効果は上がりません。それだけではなく、集中力や注意力も不足した状態になり、しなくても済むケガにもつながりかねません。(文部科学省の調査では学力テストも体力測定も朝食を食べているグループの方が良い結果が出ています) 
規則正しい生活のリズムが出来る⇒朝食を食べることで、“朝トイレ(登校前の排便習慣)”も済ませられます。登校後は排便を我慢してしまうことも多く、そのために集中力に影響が出たり、腹痛の原因になったりもします。

好きなスポーツを継続するためには、自分で自分の生活時間をデザインして、練習時間を確保することです。
練習時間の確保は、授業時間への取り組み方法で差がつくとも言われていますが、(特に午前中の)授業に集中するためには、”朝ごはん”の果たす役割は大きなものです。

 

練習と同じくらい食事が大事と考えている選手のなかには、“朝食”を一日の始まり(起点)としている人もいます。
食事に気を配る選手は、午前中に予定が無くても朝はちゃんと起きて朝食は食べるようにしたり、食事と食事の時間が空きすぎないように食事時間も含めた一日のタイムスケジュールを自分で立てています。
例えば、朝食準備が間に合わなかったときでも、“卵かけごはん”ならすぐ作れて食べられるとか、野菜料理が用意できない朝は“野菜ジュース”で代用するとか… つまり、朝食に関しても、限られた環境・状況のなかでも、自分で自分の食事をしっかり準備して練習に臨むようにすることが、ケガをしないことや練習を効果的にするためにつながります。
規則正しい時間に食事を食べるということは、生活のリズムの基本になります。たかが“朝食”ですが、気持ちよく朝食を食べるためには、気持ちよく起床すること、気持ちよく起床するには早く寝ること、早く寝るためには夕食時刻も考慮すること…というように、まさに『早寝・早起き・朝ごはん』は、大好きな運動を元気に続けることにもつながります。

結論

朝食の大事さは周知されてきていますが、特に成長期では、すこやかな成長のためと同時により良い食習慣の習得のためにも大事です。“朝ごはん”を継続的に習慣化するためには『早寝・早起き・朝ごはん』とセットで考えることもその一つの方法です。

栄養学担当者プロフィール

久保田 尚子 先生

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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