スポーツ栄養学

牛乳はとても優れた食品!  でも飲みすぎは…!?
今月の話題:花粉症 ―免疫力と食事の関係について―

『背が大きくなりたい!』これは男女問わず、サッカーをするしないに関わらず、多くの方の関心事であるように思います。

確かに、競技によっては体が大きい方が有利ということもあり、当たり前の願望かもしれませんね。


よく『身長をのばしたいので、牛乳を水代わりに飲んでいます!牛乳をたくさん飲めば、身長は伸びますよね?!』という質問があります。


確かに、牛乳は不足がちのカルシウムの貴重な供給源です。しかも、吸収の良いカルシウムが摂れる優れものです。さらに、牛乳はカルシウム以外にもたんぱく質を始め大事な栄養素や栄養成分をたくさん含む優れた食品です。

とはいえ(気持ちはよーく分かるのですが・・・)残念ながら“牛乳を飲んだら飲んだだけ背が伸びる!”ものではありません。

『牛乳はとても優れた食品』であることを大前提に、“牛乳の飲み過ぎ”についての弊害を見てみましょう。

牛乳の摂り過ぎ

問題1 “脂質の摂り過ぎ”

1Lパックの中には約40gのバター(脂質)が含まれている。脂質も大事な栄養素ですが(※小学校5年生男子の場合:一日に摂りたい量は50~75g)、牛乳1Lは摂り過ぎになります。

 

問題2 “カルシウムを摂れば摂るだけ背が伸びるわけではなく、ある程度以上のカルシウムを摂っても骨量の増加には限界がある”

背が伸びる素ともいえるカルシウムですが(小学校5年生男子の場合:一日に摂りたい量は700㎎)、牛乳1Lだと1100㎎摂れるため、十分すぎる量になってしまいます。むしろ、カルシウムの摂り過ぎによる他のミネラルの吸収阻害や結石の心配なども言われています。

結論

何でもそうですが、“適量”を守り、バランスをとることが大事です。

また、牛乳だけでなくヨーグルトなどの乳製品も混ぜて摂ることもおススメです。ヨーグルトには、たんぱく質やカルシウムなどの栄養素はもちろん、乳酸菌の効果も期待できるおススメ食品です。

カルシウム以外でも牛乳にはたんぱく質も豊富に含まれ、牛乳1Lで約33gのたんぱく質を含み(小学校5年生男子の場合:一日に摂りたい量は45g)、牛乳の過剰摂取はたんぱく質の摂り過ぎにもつながります。たんぱく質の過剰摂取は、体脂肪の増加、内臓の負担なども言われています。

(※農林水産省の「食事バランスガイド」などを参考に、かたよらない食事をしましょう!)

花粉症 ―免疫力と食事の関係について―

今年は花粉の飛沫が少ないとのことですが、それでもこの時季の悩みは何といっても国民病のようになった「花粉症」ではないでしょうか?

花粉症に限らず、すでに下火になったインフルエンザなども含め、いつも言われるのは“免疫力”!
実は、生活習慣(食事など)でも免疫力を高めることはできると言われています。そこで、今月は「免疫力と食事の関係について」の情報です。
ふだんの“当たり前の心がけ”が、結果的には良い方向に繋がるようです。
そこで、改めて免疫力を高める効果があるのは『バランスのとれた食事を一日3食食べること』です。朝食欠食は平熱を下げ、免疫力低下につながりますので、まずは“朝食摂取”から始めてみましょう。

次に、話題のある食品について…
ヨーグルトなどの乳製品、これも最近は花粉症に効果あり!とよく言われ、スーパーの棚からヨーグルトが消えた!なんていうことも記憶に新しいところです。
でも、本当に“この種類だけ”が花粉症に効くかというと必ずしもそうとは言えないようです。ヨーグルトと言っても乳酸菌の種類は相当多いので、症状や個人に合うものは一律ではないようです。
つまり大事なことは、“自分に合う乳酸菌を探す”こと、そして自分に合う乳酸菌にめぐり合えるかどうかが大事なようです。
さらに大事なことは、“この時季”だけでなく、日頃の食生活を《食事バランスガイド》に則って“3食しっかり食べる”ことを心掛けることです。

 

そして、ヨーグルトも食事バランスガイドのコマの『牛乳・乳製品』の一つとして、

適量を毎日しっかり食べ続ける 健康な身体≒免疫力のある身体が出来る!!

花粉症に悩まされている皆さんが、少しでも楽になることを祈りつつ・・・

栄養学担当者プロフィール

久保田 尚子 先生

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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