スポーツ食育インタビュー

山本隆弘(やまもとたかひろ)さんは、元バレーボール全日本代表選手で、2008年の北京オリンピックにも出場。身長201cm、最高到達点355cmを誇り、日本のスーパーエースとして活躍されました。Vリーグではパナソニック・パンサーズに所属していましたが、2013年のシーズンで引退。現在はVリーグの排球大使(アンバサダー)を務め、解説者として活動しています。山本さんの素晴らしい肉体は、どのような「ごはん」に支えられていたのか? など、食に関するさまざまなお話をうかがいました!

毎日、どんぶりでごはんを食べていました!

「子どものころは、どのような生活でしたか? 食べ物の好ききらいはありましたか?」

「いや、ほとんど無かったですね。なんでもよく食べました。ただ一つきらいだったのが、焼いたレバー。これは今でも苦手です。子どものときは貧血(ひんけつ)だったので、よく食卓に出たんです。生はいいんですけれど、焼くと舌ざわりがモサモサするのがダメで。」

「朝ごはんは、どのようなメニューでしたか?」

「主食はごはん。どんぶり1杯くらい食べてましたね。それにみそ汁と、野菜と肉のおかず。牛乳は必ず飲んで、食後にヨーグルトも欠かさず食べてました。」

「そんなに! 朝からしっかり作ってくださって、お母さま大変だったでしょうね。」

「そうですね。うちの実家は田んぼをやっていて野菜も作っていたので、大きな野菜がたくさんあったんですよ。」

「そういう環境(かんきょう)で育っておいしいお野菜を食べているから、野菜ぎらいにならないのかもしれないですね。」

「本当によくごはんを食べていて、給食は2人前、夕食にはどんぶり3杯は平らげてました。でもそれだけ食べても、全然太らなかったんですよ。ガリガリでした。」

中学3年間で30cm以上身長がのびて、卒業時にはなんと192cm!

「子どものときから、そんなに身長が高かったんですか?」

「中学に入った時は158cmで、まあ高い方だったんですけど、中学校の3年間で30cm以上のびて、卒業するときは192cmでした。」

「スゴい! 何か特別なトレーニングをしていたんですか?」

「テレビか何かで、『毎朝なわとびの二重とびをすると背がのびる』と聞いて、それをやっていました。そのおかげかどうかは、わからないんですけど(笑)。」

「バレーボールをはじめたのは、中学生からだということですが。」

「はい。小学生のときは野球とサッカーをやっていて、中学でもサッカー部に入りたかったんですよ。でもちょうどJリーグが開幕(かいまく)した時期で、サッカーが大人気で、部員が200人くらいいた。それで、『これはダメだな』と。それで陸上部に入って110メートルハードルをやっていたんですけれど、なんかイヤで。そんなとき、同級生にバレーボール部に誘われたんです。バレーボール部が、3年生が卒業しちゃうと部員が1人しか残らなくて廃部寸前で、それで『入ってくれ』と。」

「それはすごくユニークなキッカケですね。」

「高校でもバレーボールを続けて、さらに身長が8~9cmのびて、今にいたります。それでも、体重はあまり増えなかったですね。70Kgなかったかもしれません。」

プロになって食事を見直し、体重と筋肉量をアップ!

「体重が増えないと、選手としては大変ですよね。食事について意識し始めたのは、いつごろですか?」

「社会人になって、プロ契約してからですね。それまでは『食べなきゃ』と思って3食しっかり食べていたのに、体重が増えない。体重が増えないと筋肉がつかず、苦しい思いをしてトレーニングしてるのに、効果が出ない。どうしてだろうと考え始めて、栄養士に食事内容を見てもらったんです。3日間の食生活を見てもらったら、『完全に自分が好きなものしか食べていない』と指摘(してき)されました。炭水化物が多くて、タンパク質が少なすぎると。そこから食事内容を見直して、20Kgくらい体重が増やすことができたんです。」

「食べたいものをガマンするのは、ツラくなかったですか?」

「自分自身の“変えたい”という思いがあったから、栄養士のアドバイスを素直に受け入れることができましたね。肩を痛めていたので、筋肉をつけて温存療法(おんぞんりょうほう)をする必要があったんです。食事を変えたところ、3週間程度でトレーニングの効果が出て筋肥大(きんひだい)してきた。その結果、体脂肪は変わらずに筋肉をつけて体重を増やすことができたんですよ。」

「やはり、プロになる方は食事について真剣に考える方が多いですね。プロにとっては、体が資本ですから。」

「そうなんです。単年契約(けいやく)なので、ケガをしたらその場でクビということもある。すごくシビアな世界です。」

「チームにすら残念ながら栄養士がついていない状況もあるなか、個人で栄養士をつけられた山本さんはとても意識が高いと思います。トレーニングと食事は“車の両輪”と言われるように、どちらかがおろそかになっても効果が出ない。でもわかっていても、食事は後回しになってしまうことが多いんですよね。栄養士の立場としては、こちらがいくら情報提供をしても、選手本人が納得してやる気になってくれないと、効果は出ないんですよ。」

「代表クラスの選手でも、栄養の知識があってもやっていない人も多いですね。やはりみんな、その後のことを考えずに、食べたいものを食べちゃう。僕も、最初はガマンだという思いがあったけれど、やっていくうちにそれがふつうになってきましたね。ただ、週に1回は自分の好きなものを食べる日を作ることで、ストレスなくやってきました。」

「山本さん自身の意識が高かったから、続けられたと思います。すばらしい!」

「選手の中には、サプリメントでどうにかすればいい、と考えている人もいる。プロテインを飲めば筋肉がつくだろう、とか。でもサプリメントはあくまでも食事の補助ですよね。」

「その通り! 私はいつも選手たちに、サプリメントについては“信者”にならず“毛嫌い”もせず、という風に伝えているんです。あくまでも主体は自分。自分の食事をしっかりととりながら、サプリメントを摂取(せっしゅ)して欲しいですね。」

取材日:2014年2月26日

選手&チームのご紹介

山本隆弘

鳥取県鳥取市出身。中学2年生からバレーボールをはじめ、鳥取県立鳥取商業高校を卒業後、日本体育大学体育学部体育学科に進学。パナソニック・パンサーズに所属し、バレーボール界ではプロ第一号選手となった。「世界が認めたニッポンの大砲」として、日本代表チームで活躍し、2008年北京オリンピックに出場。2013年シーズンで現役を引退し、2014年1月よりVリーグの排球大使(アンバサダー)に就任。現在は解説者、タレントとして活躍中。

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