スポーツ食育インタビュー
元女子バレーボールオリンピック日本代表
大山 加奈 さん
喘息(ぜんそく)を克服し、小学生で全国制覇(せいは)!
「まずは、バレーボールを始めたキッカケから教えてください。」
「子どものころは喘息(ぜんそく)の持病があり、体が弱かったんです。だからいつも家の中で遊んでいて、外を走り回るなんていうことは、ほとんどなかった。
でもあるとき、バレーボールの練習を見学に行ったら、そこにいる子どもたちが、すっごくキラキラして見えた。『私も、この中に入りたい!』と思い、そこからバレーボールを始めたんです。住んでいたのは東京の小岩というところで、地域的にバレーボールが盛んだったんですね。」
「そのころから、お背が高かったの?」
「同年代の子よりも、頭1つ以上高かったですね。でもチームに入った当初は、喘息の発作が出てしまい練習を休むことも多かった。でもよく年、一つ下の妹が同じチームに入ってきた。妹は私と正反対で、体がじょうぶだし、活発で気が強い。どんどん上手になる妹の姿を見て『お姉ちゃんなんだから、私もがんばらなくちゃ!』と。そこからは練習を休まなくなり、試合にも出場できるようになりました。」
「バレーボール選手になろうと決めたのも、そのころですか?」
「そうです。小6で全国大会で優勝して、そのときはちょうとアトランタオリンピックの年だったのですが、表彰式でメダルをかけてくれたのが、当時全日本のエースだった大林素子さんだったんです。彼女が『全日本に来てね』と言ってくれて、そのときから『絶対に全日本に入ってオリンピックに出る!』と決意しました。」
白いご飯が大好き! きらいな物もがんばって食べた子ども時代
「小さい時から背が高いと、やはりたくさんご飯を食べていらっしゃいましたか?」
「小2で140cm、小6で175cmあったので、食べる量は大人並みでした。」
「好ききらいはありましたか?」
「ありました! レバーとかナスとか・・・。でも母が『どんなものでも、残さずに食べなさい!』という教育方針だったので、ガマンして食べてました。」
「きらいなものは、どうやって召し上がっていたの?」
「きざんだりして気づかないように食べるより、そのままの食材を食べられるようにというのが母の方針だったので、焼きナスだったり、レバーのからあげだったり。イヤイヤなのですごく時間がかかったのですが、それでも最後まで食べきってましたね。」
「素晴らしいわ! 私も、きらいな食材を気づかないように食べさせるよりは、大山さんのお母さまのように、そのままの形で食べられる方が、将来的にもいいと思います。今は、子どものきらいなものは食卓に出さないというご家庭も多い中、大山さんのお母さまはしっかりしていらしたのね。」
「朝ごはんは、どんなメニューが多かったですか?」
「和食が多かったかな。時々は、パンのときもありましたけど。卵かけごはんが大好きで、よく食べてました。」
「運動の前には、やっぱり炭水化物ね(笑)。」
「はい(笑)。お弁当はおにぎりでした。本当にご飯が大好きで、あるとき試合の休み時間に、おにぎり9個食べたこともあります。」
「そんなに! ちなみに具は、何がお好きですか?」
「明太子が一番好き。おかずの中で好きだったのは、やっぱりトリの唐揚げかな。」
実は体育が苦手!それでもオリンピック選手になりました(笑)
「朝ごはんはしっかり召し上がっていた大山さんですが、“早ね・早起き”はいかがでしたか?」
「練習でクタクタになっていたので、自然に早ねはできていましたね。練習前に学校の宿題を終わらせるようにしていたので、練習後は早めにねて、朝はスッキリ起きていました。」
「じゃあ、しっかり勉強とスポーツを両立していたのね。」
「学校では、体育より勉強の方が好きだったんです。実は運動神経が悪くて、体育はずっと成績が悪かったんですよ(笑)。」
「ええぇ~っ!信じられない!」
「中学では、5段階評価で3だったかな? 走るのも泳ぐのも遅くて、マット運動も苦手。小学生のころは逆上がりもできませんでした。本当に、バレーボール以外のスポーツは一切ダメ。今思うと、大きい体をコントロールできていなかったのかもしれません。」
「喘息があって、しかも運動も苦手で、それでもあきらめずにオリンピック選手になった。大山さんの姿は、今の子どもたちの目標になるわね!」
「周りの人からは、『運動神経がいいんでしょ』と思われるのが、すごくプレッシャーでイヤです(笑)。」
練習後につい間食・・・成長期の食欲はコントロールが難しい!
「中高はバレーボールの強豪(きょうごう)校に進まれて、さらにバレーボール一色の生活でしたか?」
「そうですね、強豪校ではありましたが、キチンと休みもあったので、バレーボールばかりではなかったですね。
中学の時も日本一になったのですが、小6のときに175cmだった身長が、中3で今とほぼ変わらない185cmまで、グングン伸びた時期でもありました。」
「成長期ということもあり、食事のコントロールが大変だったのでは、と思うのですが、いかがでしたか?」
「母が作ってくれた食事は、変わらずに残さず食べていたんですが、学校の帰りにファストフードやカスタードクリームのクレープなど、おやつを食べてましたね。授業と授業の合間にパンを買って食べたり。今思うと、食生活が一番良くなかった時期かもしれません。」
「食事の回数が増えることは、いいと思うんですよ。アスリートの場合は1日4~5回食が理想ですし。それに間食は、精神的な満足につながることが多いですよね。だから、ある程度はいいと思うんですよ。
甘いものを食べるなら、生クリームよりも、タマゴや牛乳の入ったカスタードクリームの方が、栄養的にはいいですね。もちろん和菓子や焼団子などでもいいですよ。」
取材日:2013年10月11日
選手&チームのご紹介
大山加奈
1984年6月19日生、東京都江戸川区出身。小学校2年の時に地元のクラブでバレーボールを始め、小中高で全国制覇。特に成徳学園高3年時には春高バレー、インターハイ、国体の3冠を達成した。その年に初めて全日本に選出されると、同じく高校生でメンバーに選出されていた栗原恵(現:岡山シーガルズ)とともに「メグカナ」コンビとして人気を博す。高校卒業後は東レに入社。ワールドカップ、アテネ五輪に出場する。2007年ごろから椎間板ヘルニアなどのケガに苦しみ、10年に26歳で現役を引退。日本バレーボールリーグ機構への出向を経て、現在は東レに広報担当として勤務するほか、バレーの指導、普及活動にも携わっている。
【オフィシャルブログ】
http://ameblo.jp/kanaoyama/