スポーツ食育インタビュー
FC東京
権田 修一 選手
「プロになって、食生活は変わりましたか?」1日のトータルバランスを意識するようになりました。
それでは、プロになってからの食事についておうかがいします。
「海外遠せいでは、食事の面でも色々な違いがあると思いますが、何か“海外でも必ず持っていく”食品などはありますか?」
「いえ、僕は、食事については、できるだけそこの土地に合わせるようにしています。梅干しとか納豆とか、“コレ”がなきゃいけない、というような状況にしたくない。もしソレが手に入らない時、ストレスになっちゃうのがイヤなんです。だからその土地にある、体に良さそうなものを選んで食べています。」
「権田選手は、ミネラルウォーターにもこだわりを持っていますよね?」
「以前は色々な種類を飲んでいたけれど、海外遠せいが増えてからはできるだけ同じものを飲むようにしています。
今はチームが用意してくれた水を飲んでいます。ただ日本の水は軟水(なんすい)だけれど、ヨーロッパでは硬水(こうすい)が多いから、遠せいが近くなると日本でも硬水を飲んで、体を慣らしていくようにはしています。」
次の質問です。
「プロになってから、食事で何か気をつけていることはありますか?」
「カロリーや栄養を、1日のトータルで考えるようになりました。たとえば、昼に肉を食べたから、夕食はサラダを多めに食べるとか。和食屋さんでは小ばちをたくさん頼むので、店員さんに「こんなに食べるんですか!」と言われたり。焼肉屋でも、肉よりはご飯やナムルを多く食べるので、いっしょに行く人におどろかれます。肉を食べ過ぎると、次の日に体調を悪くしてしまうので(笑)。」
試合前と練習時では、食事の内容は変えているんですか?
「試合前は主食を増やすようにするなど、多少は食事内容を変えたりしますが、大きくは変えていません。今日の自分が食べたものが、明日の自分の体を作り、そして明日の練習につながっている。試合まで日数があるから今はいいや、ではなく、“今日”ちゃんと食事をして練習する。そのくり返しが大切だと思うんです。」
「権田選手は、食べることに関して、人間としてもアスリートとしても興味を持って、積極的に取り組んでいる。お母様からしつけられた良い食習かんが、今の食生活に活かされているんじゃないかしら。」
「ほめていただいて、ありがとうございます(笑)。
おいしく朝食を食べるためには、前の日の夕食は早めにすませて寝なくちゃいけないし、もっと言うとその前の昼食もちゃんとした時間にとらなきゃいけない。1回ずつの食事ではなく、すべてつながっているんですよね。
そうそう、最近は昼食の後、30~40分の昼寝をするようにしています。朝起きるのが早く、午前中練習があると、暑いときは特に体がつかれる。昼食後、午後の練習までの間に少しだけでも睡眠をとることで、頭も体もスッキリするんですよ。」
「今日の朝は何を食べましたか?」今、わが家では“スムージー”が流行中なんです!
日々の正しい食習かんや睡眠は、プロとしての体づくりにかかせないものなのですね。では、次の質問です。
「現在は、どなたが食生活の管理をしているのですか?」
「食事は基本的に妻に任せています。タンパク質は、肉だけでなくマメのサラダなどにして、カロリーにも気を配っていますね。先日作ってもらった“メカジキのソテー”にはタルタルソースがかかっていたんですが、『レシピではマヨネーズが大さじ3杯のところを、2杯分はヨーグルトにしてヘルシーにしてみた!』と自まん気でした(笑)。」
「いくら健康的だといっても、おいしくない食事はイヤよね。」
「栄養を気にしすぎて、いろいろなものをカットした結果、味気ない食事になってしまうのはイヤですね。それを妻もわかってくれるので、いろいろ工夫してくれています。」
「権田選手は栄養にくわしいから、奥様は大変なんじゃないの?」
「僕が『久保田先生から聞いたんだけれど、こういうものがいいらしいよ』と話をすると、『プレッシャーになるから、あんまり勉強しないで』と怒られるんですよ(笑)。でも妻自身も、よく久保田先生からアドバイスを受けているみたいですね。」
「お若いのに、とても熱心に取り組んでいらっしゃる、すばらしい奥様ですよ!」
ちなみに、今日の朝食メニューを教えてください。
「今、わが家ではスムージーが流行っていて、ヨーグルトにブルーベリー、バナナ、キウイなどのフルーツを入れて作りました。あとは、ベビーリーフのサラダと、具だくさんの豚汁、納豆オムレツ、青菜のおひたし、それにご飯ですね。」
品数が多いですね!
「朝食は、だいたい30~40分くらいかけて食べますね。僕は食事の間は集中したいので、食事をする場所にはテレビを置いていません。」
では、最後に子どもたちに向けて、メッセージをお願いします。
「人間は、食べることでしか外から栄養をとり入れることができません。
そのためにも、食べることの“楽しさ”に気づいてほしいです。
僕のように大きくなりたかったら、ちゃんとご飯を食べて、ちゃんと寝てください。
体は、すべての資本です。練習は大切だけど、まずは元気で、毎日100%の状態でいられることが、一番大切です。
また、苦手なものをこくふくすることも必要ですが、今持っている長所をのばすことは、サッカーに限らずとても大切なことです。何か一つ、得意なことにこだわって、それをやり続ける姿勢を持って、がんばってください。」
「権田選手の食生活は、子どものころに出来上がったものです。今、子どもであるみなさんも、今のうちに良い食習慣をしっかりと身につけてくださいね。」
ありがとうございました!
取材日:2012年8月28日
選手&チームのご紹介
権田修一選手
FC東京U-15、FC東京U-18を経て、2007年にトップチームに昇格。2009シーズンにレギュラーに定着し、Jリーグ記録に並ぶ完封16試合を達成。U-15時代から各年代の日本代表正GKとして活躍し、2012年ロンドン五輪ではU-23日本代表に選出。ベスト4入りに貢献した。【Jリーグ デイビジョン1 FC東京】
東京都をホームタウンとするプロサッカークラブで、前身は1935年に創部された「東京ガスフットボールクラブ」。1992年からJFLに参加、1999年には「FC東京」となりJ2へ参戦、2000年にはJ1に昇格。2010年にJ2降格となるも、2011年にはJ2優勝を果たしJ1復帰。クラブ初となる天皇杯優勝を果たすとともに、2012シーズンのAFCチャンピオンズリーグへ出場した。
「FC東京」公式サイト http://www.fctokyo.co.jp/