スポーツ食育インタビュー
FC東京
権田 修一 選手
「海外ではどんなものを食べていますか?」現地で“自分の体に良さそうなモノ”を見つけます!
「オリンピックでは大変な活やくで、おつかれ様でした。
日本とイギリスは気温差もありますが、今の体調はいかがですか?」
「ロンドンは涼しかったので、帰ってきてすぐは多少差を感じましたけれど、基本的に夏バテはせず、毎日元気です。」
「ロンドンの食事はどうでした?」
「思ったより、魚がおいしかったですね。白身魚をグリルしたものばかり食べていました。
オリンピックでは、ずっと中二日で試合だったので、常に食事のペースをくずさないように意識していました。普通なら疲れて食欲が落ちるのかもしれないけれど、僕はいくらでも食べられちゃうので(笑)。むしろ食べすぎないように体重を測ってコントロールしていましたね。
今回は、なめたけや梅干しが用意されていたので、おかずに困ったら食べていました。」
「久保田先生、味の濃いおかずは、塩分のとり過ぎになりませんか?」
「いえ、そんなことはありませんよ。よく質問を受けるのですが、アスリートの場合は主食を多めにとる必要があるので、ごはんが進むおかずが必要です。また摂取する総エネルギー量が多いから、比例して塩分が多くなるのも仕方がない部分も。その分、ほかのおかずはうす味にしたり、味にメリハリをつける工夫が必要になってきますね。」
「僕は、うす味が好きなんですよ。他の選手は肉や魚に塩をかけたりしていますが、副菜で十分塩分をとっているときは、そのまま食べるようにしています。」
「子どものときの食生活は?」母がしっかりサポートしてくれました!
「次の質問は、ジュニア選手から寄せられた中で一番多かった質問です。
「好ききらいはありますか? きらいなものはどうやって食べられるようになりましたか?」
「うちは、父親がバスケットボール選手で、母親がその食事管理をしていたので、“スポーツ選手の食事”というものがよくわかっていた家庭でしたね。「子どもにもいろいろなものを食べさせた方がいい」というのが母の考えでしたので、食べたことのない料理でも食わずぎらいせず、なんでも口にする習かんがつきました。」
「でも、権田さんの唯一の嫌いな食べ物が……」
「ニンジンです(笑)。カレーに入っている程度なら大丈夫なのですが、グラッセとか甘く味つけたニンジンが苦手で。今でも年に何回かチャレンジしてるんですけれど、まだ好きになれませんね。でも、その代わりに“カボチャ作戦”で……」
「 “カボチャ作戦”ですか?」
「そう、ニンジンの主要な栄養成分はβ(ベータ)-カロテンなので、同じくβ-カロテンが豊富なカボチャをたくさん食べておぎなおう、という……。」
「好ききらいなく何でも食べられるのが理想ですが、それでも食べられないものもある。嫌いなものを鼻をつまんで飲みこんでも、ちっとも美味しくないし、楽しくないですよね!?だったら権田さんのように、他の食品で栄養をおぎなうというのは正しい考えですね。
それに、今でもあきらめずに何度か挑せんし続ける、という姿勢がすばらしい!」
「“大人になったら食べられるようになる”とよく言われるので。でも、まだダメみたいです。もう少し大人にならないと(笑)。」
「朝食は、ご飯、それともパン?」ガッツリ和食+ヨーグルトとフルーツです!
「次もジュニア選手から寄せられた質問です。
「子どものころの朝ご飯は、どのようなものを食べていましたか?ご飯派ですか?パン派ですか?」
「うちはずっと和食です。わが家は朝食を絶対に食べる家庭だったので、朝からかなりしっかりと食べてましたね。」
この「ごはんだもん!げんきだもん!」は、子どもに“早寝、早起き、朝ご飯”をすすめているんです。最近の子どもは夜型になり、朝ご飯を食べない子も増えています。
「僕としては、朝食をとらないことは、考えられない。だって、お腹が空いたまま学校に行ったら、すぐにつかれちゃいますよ。以前、朝食をとらないチームメイトがいたんです。彼に『朝ご飯は食べた方がいいよ』と言ったら、『でも太るから……』って言うんですよ。そんなこと、絶対にないのに。でも僕が強く言うので、朝ご飯を食べるようにしたところ、『やせてきたよ!』って。朝ご飯は、とても大切ですよ!」
「その通り! 朝食を抜くと、前の日の夕食から次の日の昼食まで“食べない時間”が続くので、カラダがしぼうをたくわえよう!と勝手に働いてしまいます。
それに、朝食は“一日のアップ”にあたりますから、子どものうちからしっかりと食べる習慣をつけてほしいですね。」
「ありがとうございます。こうやって権田選手に力強く言っていただくと、子どもたちにもしっかりと伝わると思います。
では、子どものころの、朝食のメニューを教えていただけますか?」
「毎朝食べていたのは、卵ですね。卵とじだったり、オムレツでしたり。卵は食べ過ぎも良くないということで、わが家では卵料理は朝食でしか出ませんでした。これに加えて、ヨーグルトとフルーツは必ず食べていました。」
「和食でもヨーグルトですか?」
「和食・洋食関係なく、ヨーグルトは食べていましたね。今でもヨーグルトは必ず食べていますよ。フルーツを入れたり、そのままだったり。3食ごとに食べてるかも。自宅にも必ず置いてあります。体づくりには、おいしく食事を食べる必要がある。そのためには、お腹の調子が大事です。お腹の調子を整えるのは、ヨーグルトだ! という風に思っているので。」
「私の方から、チームキャンプや遠せい先でも、ヨーグルトとフルーツは用意してもらうようにお願いしています。ヨーグルトのめんえき力についても、選手にレクチャーしたりしていますね。ヨーグルトは、アスリートに限らず、子どもたちにもおススメです。ぜひ、しっかり食べていただきたいですね。」
「ヨーグルトは、大人も子どもも大好きですよね。
さて次は、保ご者からの質問です。
「中学・高校時代はどのようなお弁当を食べていましたか? 印しょうに残っているお弁当のおかずはありますか?」
「FC東京のU-15・U-18で活動していたので夕方〜夜に練習をしていました。家に着くのが夜になり、そこから夕食となると、次の日の朝食があまり食べられないんですよ。でもそれだとすぐにつかれるから、ということで、母が学校の休み時間に食べられるように、小さなお弁当を3~4個作って持たせてくれました。」
「さすが、権田さんのお母様ね! よく、お弁当を休み時間にチョコチョコ食べる、という話を聞くけれど、それだとどうしてもいたみやすくなってしまうの。でも小さなお弁当を小分けで食べるのなら、その心配はなくなるから、とてもいいアイデアだと思いますよ。」
「印しょうに残っているお弁当のおかずは、塩つくねですね。あっさりしていて、おいしかったな。試合の時には必ず入っていて、よく覚えています。
あとはトマトとか、母が久保田先生のセミナーでいいと聞いてきたブロッコリーもよく入ってましたね。」
「FC東京U-15・U-18の保ご者を対しょうに、毎年セミナーをやっているんです。権田さんのお母様は、6年間毎年参加してくださって。すでに栄養の知識はお持ちだったので、確認もかねての参加だったと思うのですが、とても熱心なお母様でした。」
取材日:2012年8月28日
選手&チームのご紹介
権田修一選手
FC東京U-15、FC東京U-18を経て、2007年にトップチームに昇格。2009シーズンにレギュラーに定着し、Jリーグ記録に並ぶ完封16試合を達成。U-15時代から各年代の日本代表正GKとして活躍し、2012年ロンドン五輪ではU-23日本代表に選出。ベスト4入りに貢献した。【Jリーグ デイビジョン1 FC東京】
東京都をホームタウンとするプロサッカークラブで、前身は1935年に創部された「東京ガスフットボールクラブ」。1992年からJFLに参加、1999年には「FC東京」となりJ2へ参戦、2000年にはJ1に昇格。2010年にJ2降格となるも、2011年にはJ2優勝を果たしJ1復帰。クラブ初となる天皇杯優勝を果たすとともに、2012シーズンのAFCチャンピオンズリーグへ出場した。
「FC東京」公式サイト http://www.fctokyo.co.jp/