食育Q&A

「ブドウ糖はどんな食べ物に入っていますか?」「糖質制限ダイエットは子どもが行っても良い?」

小中学校で「早寝・早起き・朝ごはん」の生活リズムの大切さについてお話しする食育講座を行う際に、皆さんから食事について様々なご質問、ご相談をたくさんいただいています。

そこで、皆さんも同じ疑問やお悩みをもたれているかもしれませんので、よくある質問をご紹介し、お答えしたいと思います。

ブドウ糖はどんな食べ物に入っていますか?中学校 生徒より

ブドウ糖はどんな食べ物に入っていますか?

学校などで朝ごはんの大切さをお話しする時に、よく「午前中の授業(4時間)の集中のためにも、脳の主な栄養源になるブドウ糖が大事!朝ごはんで糖質を補給しよう!」とお伝えしています。

糖にも色々な種類があるのですが、その中でブドウ糖は最も小さい糖「単糖」と呼ばれています。食べ物に含まれる糖は、大きいままでは体内に吸収することができません。そのため、大きい糖は体の中を進みながら、単糖になるまで小さく分解されてから吸収され、私たちの頭と体のエネルギー源として利用されます(食べ物の消化・吸収のしくみはこちら)。

「ブドウ糖」という名前からも想像できるかと思いますが、ブドウ糖を多く含む食べ物の代表は、ブドウをはじめとするくだものです(そもそも「ブドウ糖」という名前は、ブドウ糖がレーズンから抽出されたことによるそうです)。

さて、ここで少し前にご説明したことを思い出してみてください。二糖や多糖も、体の中でブドウ糖などの単糖にまで分解されます。単糖がたくさんくっついた形をしている多糖の仲間のデンプン(ご飯やパン、いも類などに多く含まれる)も、体内で分解されてブドウ糖になるということです。つまり、エネルギー源としてとるのは、ブドウ糖そのものでなく、砂糖でもデンプンでも良いのです。

小さく分解される必要のないブドウ糖は、すみやかに体に吸収されるため、運動時などすぐにエネルギー補給をしたい時にはくだものやフルーツジュースをとるのがおすすめです。逆に、デンプンは小さく分解される必要があるため、体への吸収もゆっくりです。単糖が「即効型」のエネルギー源なら、多糖は「持続型」のエネルギーと言えるかもしれません。午前中の授業で集中力を保ちたい時などには、朝食でデンプンを多く含むご飯などの主食をしっかりとるようにすると良いですね!

糖質制限ダイエットは子どもが行っても良い?中学校 保護者より

糖質制限ダイエットは子どもが行っても良いのですか?

近年話題になっている糖質制限ダイエットとは、「ご飯やパンなどの主食をとらずにおかずだけ食べる」というように、食品からとる糖質の量を制限するダイエット法です。

糖質制限ダイエットの是非については色々な議論がありますが、私は基本的には糖質を必要以上に制限することはおすすめしません。なぜなら、糖質は日々の活動のエネルギー源になるだけではなく、脳にとっても重要なエネルギー源になるからです。

「脳は私たちの体の色々な働きをコントロールする“司令塔”となる重要なものであり、脳には常にエネルギー(ブドウ糖)が補給されていなければいけません。人間の体はうまくできていて、もしも体内にブドウ糖が足りなくなった時には、脂肪や筋肉を分解して糖を作り出してくれます。糖質制限ダイエットの中でもハードな糖質制限を行うものは、体重を減らすためにこの仕組みを利用しているようです。エネルギー不足の状態になるため、やせることは叶うでしょう。でも、「脂肪や筋肉を分解して糖を作り出す」というのはあくまでも“緊急措置”です。ハードな糖質制限を続けるということは、常に“緊急措置”が働き続けることになり、それによって体に負担がかかる可能性もあるので心配です。

これが「子どもの糖質制限」となると、心配な要素がもう1つ増えます。それは、子どもが成長のために多くのエネルギーや栄養素を必要としていることです。「甘いものを食べ過ぎない」など、糖質を過剰にとらないようにするのは良いのですが、糖質を必要以上に少なくすることはエネルギーの不足や栄養バランスの乱れにつながり、お子さんの成長に悪影響を及ぼす可能性があります。減量が必要な場合にも、自己流で無理な糖質制限を行うことは避け、医師等に相談することをおすすめします。

私たち人間にとって、本来のエネルギー源は「緊急措置として作り出される糖質」ではなく「食べ物に含まれる糖質」です。特に成長期にあるお子さんには、健やかな成長のために、勉強や運動を頑張るために、そして毎日を楽しく元気に過ごすために、十分な糖質を含む、バランスの良い食事をとってほしいと思っています。

食育授業reportマイナビ農業

2019年1月31日、2月24日に、マイナビ農業主催で「成長期の子どもに必要な睡眠と栄養」をテーマとした食育講座を行い、子育て中の方や、ご自身の健康を考えていらっしゃる方など幅広くご参加いただきました。質疑も活発で、話しているこちらもアツくなってしまいました!規則的な生活習慣、そして野菜たっぷりのバランスの良い食事で、子どもも大人も健康で元気な毎日を過ごしたいですね。

食育授業reportさいたま市立仲本小学校

2019年2月7日に、さいたま市立仲本小学校の学校保健委員会で、生活リズムや朝食摂取の重要性についてお話ししました。講座の後には教頭先生から、当たり前のことの大切さについてお話しいただきました。お子さんの健やかな成長、元気な毎日にもつながる早寝・早起き・朝ごはんの習慣が、多くの人にとって“当たり前のこと”になると良いなと思います。

食育Q&A担当者プロフィール

伊藤 真理子(いとう まりこ)

1999年、東京農業大学農学部栄養学科管理栄養士専攻卒業。フリーの管理栄養士として、セミナーの企画・運営、執筆、特定保健指導など幅広く活動中。

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ダノン健康栄養財団では、子どもから大人まで、幅広い年齢層に正しい食生活、生活習慣の知識を身につけてもらえるよう、小・中学校などの教育現場で「食育出前授業」やスポーツチーム向けの「スポーツ栄養学講座」を行っています。

講座のお問い合わせ、お申し込み受付はこちらの「ダノン健康栄養財団」ホームページよりご確認ください。

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