ひさこ先生が教える スポーツ少年ママのためのスポーツ栄養講座

10月号 「秋でも水分補給」?

『スポーツの秋』の真っ最中、運動会やスポーツ大会もあちこちで開催されているようで、にぎやかな声も聞こえてきます。
今年は秋になるのが早かったようで…急に肌寒い日も出てきましたが、実は暑くなくても水分補給は欠かせません。

暑い時は『熱中症予防には、こまめな水分補給を!』ということがずいぶん定着してきました。暑さがひと段落した今は、水分補給について忘れられているような感もします。しかし、数年前に11月に実施されたマラソン大会で熱中症の死者が出たように、暑くなくても熱中症に対してはいつも意識することが大事です。
暑さを感じにくい ⇒ 発汗意識できず ⇒ 水分補給怠りがち = 『負の連鎖』に陥りやすくなる
そこで、大きな役割を果たしてくれるのが食事の時『汁物』です。
『汁物』=“食べるスポーツドリンク”として、寒い冬場には、”体を温める手段”としてもおススメ!
秋以降はふだんの水分補給がおろそかになる分、汁物での水分補給を見直しましょう。

今年はインフルエンザの予防接種が始まる前に既に流行り出しているようで、地域によってはもう学級閉鎖も出始めたとか…
夏に比べて空気が乾燥する秋や冬には、粘膜も乾燥すると言われています。
のどや鼻の粘膜が乾燥する ⇒ ウイルスやばい菌が身体に侵入しやすくなる
秋以降の水分補給には、『粘膜を湿らせる』というもう一つの大きな役割があることも忘れてはいけません。

結論

昔から『一汁三菜』が食事の基本と言われたり、西洋料理でもスープが欠かせないように、食事での“汁物”の存在は大きなものです。汁物を食事に添えることは、料理の形式を調えるだけでなく、身体にとっても大事なことです。(塩分制限が必要な方はこの限りではありません)

食中毒予防

今年は“きゅうり”による食中毒が日本でもアメリカでも話題になりました。
今回の原因はきゅうりの洗い方が不十分で、付着していた“サルモネラ菌”“O-157”が残っていたためと言われています。

きゅうりで食中毒とは意外!と言う声もあり、確かに魚介類やレバーなどと違って野菜類は食中毒とつながりづらいかもしれません。
しかし、食品にウイルスや病原菌が付いていたら、まして生で食する食材だったら、食中毒の発生につながります。

対策1 ⇒『しっかり洗う』= 食中毒予防の三原則『つけない・増やさない・やっつける』の “つけない”にあたります。
対策2 ⇒『加熱する』= 食中毒予防の三原則『つけない・増やさない・やっつける』の”つけない”と“やっつける”にあたります。

例)板ずりしたきゅうりを沸騰させた熱湯に10秒ほどさっとつけ、きれいな氷水につける。これにより表面に付いたウイルスなどを除去し、色もきれいに仕上がり、食感も問題なく仕上がります。(きゅうりの旬は過ぎていても、サラダの材料として一年中出回っているものですので、予防の参考にしてください)

ひさこ先生のワンポイントアドバイス

少年サッカーチームを対象に行われる、ひさこ先生の食育講座。
毎回、サッカー少年のお子様を持つお母さま方から、たくさんの質問が飛び交います。
その中から、いくつか抜粋してご紹介します。

Q1 子どもが果物が好きで朝食・夕食と摂取していますが、糖分が心配です。おすすめの食べ方を教えて下さい。
A1 果物は美味しいですし、ビタミンCやクエン酸、カリウムなどのミネラルが豊富に含まれている魅力のある食品です。
ただ、“美味しさ”の素ともいえる“果糖”は、“即効性のエネルギー源”であるだけでなく、使い切れなかったときには“体脂肪”になってしまう性質があります。その性質を考えると、一日の活動が始まる朝食時に摂るのがおススメです。『朝の果物は金!』と言われるのも、そんな意味があるのかもしれませんね。一日の摂取量のめやすは、性別・年齢でほとんど差はなく約200g(ただし、乳幼児を除く未就学児や小学校低学年の年代は約150g)です。果物に限らず、“適量”は大事です。

久保田尚子先生  プロフィール

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。

<主な栄養サポート歴> <主な雑誌連載>
女子ソフトボール日本代表 月刊誌『サッカークリニック』
(2004年アテネオリンピック支援帯同) 《勝つための栄養セミナー》等多数
JリーグFC東京(トップから育成年代)  
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