ごはんだもん!げんきだもん!特別企画 スポーツ心理学×スポーツ栄養学 スポーツ心理学:佐藤 雅幸先生 スポーツ栄養学:久保田 尚子先生ごはんだもん!げんきだもん!特別企画 スポーツ心理学×スポーツ栄養学 スポーツ心理学:佐藤 雅幸先生 スポーツ栄養学:久保田 尚子先生

第5回 スポーツ心理学 “メンタル・トレーニング”入門編 「効果があることを実感する = 続けられる!」

メンタル要素⑫ 「協調性」

やっている事の意味やプロセスを知ることで、意義や感謝が生まれる

佐藤:

以前は、「個人スポーツは協調性が低く、団体スポーツは協調性が高い」などと発表する先生もいました。ところがたとえば登山家だと、レベルが高くなればなるほど一人でエベレストには登れません。単独登頂とはいいつつ、色んな人のサポートがなければ不可能です。

テニス等個人競技と言われるスポーツも同じで、チーム戦なんです。「協調性」というのはとても大きな要素で、それを養うためには「コミュニケーション能力」が必要になってくると思います。

編集部:

以前、女子サッカー元日本代表GKの海堀あゆみ選手を取材した際、「テニスのような個人競技の選手は、スポンサーやコーチなど全部自分で探さないといないからとても大変だと思います。自分達は所属チームがそういう事をやってくれるから、サッカーだけに集中できて恵まれている。」とおっしゃっていました。そういう状況を知った上で、今の環境や周囲の方々に感謝されていました。

佐藤:

よくそれに気づかれましたね。自分がやってる事の意味が分かってくると、知らないでやっていた事も、ものすごく活きてくると思います。

食事についても、美味しさや感謝の気持ちなど全然変わりますよね。それは食べものでも言えて、たとえばピーマンのルーツや作られるまでのプロセスが分かったら、自分で吸収する力もかなり違うのではと思います。プロセス(過程)を知ることは、とても重要です。

久保田:

おっしゃる通り、一緒に料理したり家庭菜園で作ったりすることで好き嫌いを解消する方法もあります。


何かを続けるには、続けた先にある良い「実感」が必要!

佐藤:

主観的に感じている認識と少し違う感覚はありますが、何でもちゃんと“理にかなっている”。僕らの世代は「ただ食べればいい」と思ってきました。ところが段々、「何を食べるか」、「いつ食べるか」がとても重要だという事がわかってきました。

編集部:

試合中、集中力が欠けたりイライラしたりするなどは、食事のピーキングがうまく出来ていない可能性もあるということですか?

佐藤:

そういうのも関係あると思います。特にイライラとか。

編集部:

継続的にやっていくためのメンタル面での忍耐力や、食事との関係などはありますか?

佐藤:

自分の求めてるものを継続してずっとやっていくためには、自分の中でこれはやっていて良いという「実感」が必要です。

色々試してみて、「偶然でもこれをやったら成功した」という方程式が出来上がってくると、続けていけます。それは正しかったという実績があるからです。

編集部:

自ら試してみて、パフォーマンス向上につながった食べ方や食べ物を続けられているスポーツ選手は多いですね。

スポーツ心理学栄養学

食事だけじゃなく、ビタミン『愛』も与えてほしい!

佐藤:

あまりにも科学が進んで、これを食べなければならないという「have to do (こうすべき!)」になってしまわないかが気がかりです。
人にもよりますが、段々食事が楽しく食べられなくなります。お酒を飲んでいても、「これはアルコール濃度いくつかなぁ?」なんて考えて飲めば、お酒そのものの楽しさが無くなってしまいますしね。
食事は基本的に、良いものを「美味しく」「楽しく」、そういう場であると思います。

久保田:

私も絶対そう思います! だから食事バランスガイドのコマの「ひも」の部分はしこう品やしこう飲料のように、ちゃんと“ゆとり”の部分が入っているんです。「ひも」は、コマ(食事)を回すための補助に使われます。楽しみとかゆとりなどは、食事の面でも大事です。

選手たちには科学的データ等の裏付けが取れている食べ方をすすめますが、私たちは「生身の人間」だから、それを100%受け入れるべきか分かりません。あくまで一般論なので、「その中で自分に一番良いと思う方法や、自分に適したアレンジをすることが大事」とも話しています。もちろん食事はエネルギーのもと、食事は体作りの材料なんですが、それだけではないと思います。
私はよく選手のご家族に「ビタミン『愛』をいっぱい入れてあげてくださいね」と言います。「は?」って聞き返されますが(笑)。

佐藤:

ビタミン「」ね!
知人が元スポーツ記者から聞いた話ですが、一流の選手達は、自身の走りのリズムや脚力などを見ていて、練習でタイムが上がろうが上がるまいが気にしません。今タイムが出てなくても、試合までには絶対上がるから問題無いと。そして結果、そうなります。
ところが最近の指導者は、試合前になるとストップウォッチ片手に、タイムが上がらないと、乳酸がどうとか、血液や血流を測って学生に見せるんだそうです。データから分析してどんどん選手を追い込んでいくため、選手もガチガチになってしまうらしいです。
大きな力を発揮するためには、心理的にもビタミン『』のようなゆとりが大きく機能していると思います。


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