先日、あるスイミングクラブの選手コースの小学生に栄養の話をする機会がありました。時間前にちょっと雑談しているとき、「『野菜を食べなさい!』っていう話?」と聞かれ、思わず野菜嫌いって多いのかな?と思ってしまいました。
『栄養の話』=『好き嫌い』と思っているほど、子どもたちも“好き嫌い”が気になっているのかなぁ~と、私に聞いてきてくれた選手たちを逆にちょっと嬉しく感じました。ただ、本題に入ってみると選手たちには問題になるほどの“好き嫌い”が見えませんでした。例えば、『セロリのにおいだけはどうしても食べられない!』とか『あんこは嫌いだけど、あんこの代わりにお餅なら食べられる!』などでした。こんな好き嫌いならちっとも問題はありません。逆に、好き嫌いを意識しているからこそ、ほぼ問題ないという結果なのだろうと感心しました。『練習をちゃんとしていれば、食べなくても別に問題ない!』とか『野菜を食べなくても代わりになるものがある!』というように開き直ってしまうのではなく、嗜好も含め、食事にしっかり向き合うことが大事という思わぬ“収穫”を得ることが出来ました。
選手コースに所属している選手は、小学生でも様々な努力をいとわないものです。より効果的な練習のためにも食事(≒補食)は欠かせない、レースで良いタイムを出すためにも“何を食べるか”が大きな要素かもしれないということを何となく分かっているのかもしれません。『いつ・何を食べるか?』が練習効果を上げることに関係する! こんなことを意識しながら、自分で自分のために、コンビニなどでもおやつ(≒補食)を選べるようになれば、一生の財産である“食の自立”も可能かもしれません。
もちろん好き嫌いは、無いに越したことはありません。そして、好き嫌いは無い方が良いと気が付いた本人が努力することはとても大事なことです。最近はCMでも耳にする『体は食べたもので作られる』を再認識してみる良い機会だったようです。
ごま
“ごま”と言えば、“ごま油”を連想するよう脂質が豊富な食品ですが、中国では『楊貴妃も愛用した』とか『食べる丸薬』と言われるほど、実は脂質以外にも様々な栄養素が含まれています。
以前、ある選手から『お浸しやめん類の薬味に、すりごまを添えてほしい!』と言われたことがありました。選手は『良いと思うことは試してみて、そこから“自分流”を深める』人が多いようです。特にごまにはごくわずかな量でも力を発揮するミネラル(鉄・カルシウム・マグネシウム等)やビタミンB群、ビタミンEが豊富です。暑くなってくると発汗量も増え、筋けいれんなども起こしがちですが、その予防効果も多少は期待できるかもしれません。また、最近はサプリメントなどでも“ごま成分”は期待されています。ただ、ごまを調理や食事で使用する際の大事な注意点が一つ。ごまの皮は、とても固いのでそのままだと消化吸収が出来ないようですので、必ずすりごまやペースト状にして使用してください。
久保田尚子先生 プロフィール
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴> | <主な雑誌連載> |
女子ソフトボール日本代表 | 月刊誌『サッカークリニック』 |
(2004年アテネオリンピック支援帯同) | 《勝つための栄養セミナー》等多数 |
JリーグFC東京(トップから育成年代) |