スポーツ食育インタビュー

Vol.23 元・ジェフユナイテッド市原・千葉 山口 慶さん

元Jリーガーで、ジェフユナイテッド市原・千葉で活躍後、2014年末に現役を引退した山口慶(やまぐちけい)さんをお招きし、サッカー選手として活躍するためにどのような「ごはん」を食べてきたのか、おうかがいします!

プロ審判である父の影響で、3歳からサッカーをはじめました。
インタビューを受ける山口 慶さん

編集部:「山口さんがサッカーを始めたのは、3歳なんですよね。」

山口さん:「そうですね。父親がJリーグの審判をやっていたので、その影響で自然とサッカーに興味を持つようになりました。」

編集部:「小さいころは、食べ物の好ききらいはありましたか?」

山口さん:「きらいな物は全くなかったですね。ぼくは小さい頃体が大きかったので、母もけっこう気をつかってくれたんだと思います。よく食べてた方なので、食費が困ったと言っていました(笑)。」

編集部:「子どものころに好きな料理は何でしたか?」

山口さん:「納豆ご飯をよく食べてました。豆腐も好きでした。あとフルーツをよく食べていたと思います。朝からよく切ってくれていました。」

ひさこ先生:「審判の方も、試合中の運動量や頭脳の使い方を考えると食事はたいへんですよね。」

山口さん:「父もよく食べていたので、それを見てぼくも真似して食べていたところはあるかもしれません。」

編集部:「今、私たちは子供たちに“早寝、早起き、朝ごはん”の大切さを伝えているのですが、山口さんの子どものころの生活習慣はどうでしたか?」

山口さん:「朝は苦手でしたので、朝ごはんを食べられなかったんですよ。小学6年生から中学生ぐらいの時は朝ギリギリまで寝て、学校まで走っていくっていう感じだったんですが、母に『いい加減にしなさい! 何だったら食べてくれるんだ』と言われました。その時牛丼が好きだったので“牛丼”って言ったら、毎朝牛丼(笑)。まぁ、自分で言ったんで、それを食べてから走って学校に行ってました。」

編集部:「小さいころから体が大きかったということですが、一番のびた時期はいつでしたか?」

山口さん:「小学生でした。小学校卒業する時に168cmあったんです。よく食べた時期だと思います。今172cmなんで、それから4cmしかのびてないですね。中学生では、全然のびなかったです。幼児期から大きかったですし、もうちょっと行くかなと思ってたんですが、のびなかったです。」

自炊では粗食(そしょく)を意識。サラダが大好き!
インタビューを受ける山口 慶さん

ひさこ先生:「ひとりぐらしになってからも、朝ごはんをめしあがっていましたか?」

山口さん:「高校生から名古屋グランパスの寮(りょう)に入ったので、絶対に朝ごはんは出てました。高校1年生からプロ2年目まで5年間ぐらい、15歳から20歳ぐらいまでは寮にいたので、毎朝絶対食べました。その当時のユースの選手はほとんどその寮にいて、夜、練習後はクラブハウスの敷地(しきち)内に食堂があり、そこで食べてました。」

編集部:「寮では、ユースだけでなくトップの選手もみんな一緒に食事するのですか?」

山口さん:「まったく一緒です。ただ入れる人数が限られているので、全員が全員じゃなかったです。そのころから、若いトップの選手と一緒にプレイできていたので、僕がトップに上がった時もすんなり入れて良かったなと。今でもかわいがってもらいます。」

ひさこ先生:「ユースからトップには、全員が入れるわけじゃないから、山口さんは優秀だったんですね。ユースチームからトップチームに昇格できるのは2~3人程度で、いない時もあります。その前のジュニアユース(中学生年代)があるチームに、ユース(高校生年代)から入れたのもすごいことだと思います。」

山口さん:「栄養士の先生に怒られるかもしれないですが、プロ選手になってからは逆に、あんまり食べないようにしていました。昼は結構いっぱい食べるんですけど、夜は食べないよう粗食(そしょく)にしていました。サラダは山盛り食べていましたが、あとはみそ汁とメインの魚か肉か、それしか食べてなかったです。ご飯はアレルギーだったっていうのもあるかもしれないんですけど、あんまりとらないようにしたら体が軽かったんです。」

ひさこ先生:「試合前もですか?」

試合風景

山口さん:「試合前は食べていました。朝は食べたし、誰かと外食をするときはご飯も食べました。」

編集部:「それは、どなたかに指示されてそのような食事にしたのですか?」

山口さん:「いえ。3か月ほどリハビリをしていた時があって、太りたくないというのがあって。リハビリ中ってお腹も減るし、みんなでワーッと外へ食べに行きたくもなりますし、食べ過ぎてしまうんですよね。その時にこれじゃいけないと思って、なるべく食べないようにしていました。 以前血液検査をしたら、サプリなどを飲んでいなかったのに、良い数値で上位でした。気を遣ってやってきて良かったなと。力が入らないとか、そんなこともなかったですし。走れる方だったと思うんで、体力的にも問題なかったです。」

インタビューを受ける山口 慶さん

編集部:「試合前に炭水化物をとるっていうのは、試合の何日前ぐらいからですか?」

山口さん:「1日前ぐらいですね。」

ひさこ先生:「年齢などにもよりますが、ジュニアの選手だったら夜もしっかり主食を食べないといけません。山口さんは、もちろん高校の時は夜も主食をとっていたんですよね?」

山口さん:「もちろんです。本当にこの食べ方は最近です、ケガをしてから。」

ひさこ先生:「やはり試合前はアグレッシブにサッカーをしたり、頭脳プレイをするためのエネルギーの素をとることは大切ですよね。山口さんはそのことをきちんとなさったから、ユースに入れたり、ユースからトップに昇格出来たりできたのだと思います。 リハビリ中に食べる量をひかえる、というのはすごく良い事です。ケガが治っても体重が元にもどらず、みんなと同じ練習に合流出来ないということもあるようですから、運動量と食事量のバランスを考えた体重コントロールがすごく大事だと言われています。多分そういう意味で、食事内容を変えたことは良いキッカケだったでしょうし、上手になさったんだろうと思います。」

山口さん:「小さい時から、色々と自分で管理してきたっていうのもあります。寮の時でも、自分でなにか一品買ってきて多めに食べるとか、そんな事もしていました。もちろんチームにいる栄養士の先生に、毎回意見を聞いてましたよ。名古屋の時はユースの選手も見てくれていたので、よく相談しました。」

ひさこ先生:「チーム専属の栄養士がいても、全員がいつも質問にくるわけではないので、質問に来てくれる選手は普段から食事に関心がある選手だと思います。」

山口さん:「栄養って大事ですものね、本当に。やっぱり試合中、途切れたりするといけないって思ってましたし。勉強でもそうだと思うんですけど、集中力が大事だと思うので。自分で考えてやることが大事かな、と。」

ひさこ先生:「そうなんです。結局私たちが伝えられることは、全部最大公約数的な事なので、それを自分で取り入れていくのがすごく大事なことだと思います。好ききらいに関しても、ないに越したことはないと思いますが、いくら言われても無理な時は自分でちょっと変えてみるとか、最終的には自己管理になるんです。」

引退後も、食生活はあまり変わらず。ドレッシングは手作り!
試合風景

編集部:「選手引退後に、食事の変化はありますか?」

山口さん:「まだ2か月ぐらいなので。一応太らないようにとか気をつけています。外食にさそっていただくことも多くなるので、その中で野菜は食べるようにはしています。自分でサラダを作ったり。今までつちかってきた食生活は、あまり変えないでいきたいと思っています。」

ひさこ先生:「どんなサラダを作ってるんですか?」

山口さん:「ベビーリーフみたいなのが好きなんですよ。あんまり食べ過ぎると、アクが強いから止めた方がいいと言われる事もありますが、ああいうシャキシャキしたものが好きで、よく食べていました。あと玉ねぎをスライスしたり……サラダは、本当に何でも好きですよ。 それ以外の野菜料理は、スープか鍋系。ヘルシーだし、お腹一杯になるので。」

ひさこ先生:「加熱した野菜料理の最大の長所は、量が一杯とれることですよね。ベビーリーフやサラダ菜のような色のこいものを組み合わせることは、すごく良い事だと思います。レタスやきゅうりなど色がうすい野菜は、そこからとれる栄養素が限られていますから。」

山口さん:「サラダの写真を撮っておけばよかった(笑)。いつも結構山盛り食べていたんです。豆とかトマトも、好きなので必ず入れていました。ドレッシングは色々入っていて太るイメージがあったので自分で作ろうと思い、オリーブオイル、塩、コショウとバルサミコ酢で作っていました。」

つづき
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