小中学校で「早寝・早起き・朝ごはん」の生活リズムの大切さについてお話しする食育講座を行う際に、皆さんから食事について様々なご質問、ご相談をたくさんいただいています。
そこで、皆さんも同じ疑問やお悩みをもたれているかもしれませんので、よくある質問をご紹介し、お答えしたいと思います。
子供の好き嫌いをなくしたいんです。。。
A子さん
お子さんの好き嫌いは、お母さんにとっても悩みの種ですね。でも、好き嫌いをなくしたいからといって、あまり神経質にならないようにしてくださいね。例えばゴーヤが食べられなかったとしても、他の野菜は食べられるならば、そう心配することはありません。何か嫌いな食べ物があったとしても、その食べ物に含まれる栄養成分を他の食品でとることができれば、栄養的には問題ないからです。
そうなってしまうと、野菜の栄養成分を他の食品でフォローすることが難しくなってしまい、長期的には体にも影響が出てくる可能性があるので心配です。栄養面以外でも、「嫌だからやらない」ではなく、嫌な物事にも向き合える強い心も育てていきたいものです。
「これをすれば絶対克服できる」という方法はないのですが、工夫できることは色々ありますよ!すりおろしたり、小さく切ったり、強めに味をつけるなどして、苦手な食べ物が入っていることをわかりにくくする方法は、まず口に入れるための1つのきっかけになるでしょう。食べられたときにはたっぷり褒めてあげると、お子さんの自信にもつながると思います。
ただ、やはり最終目標は「苦手の克服」! その食べ物への抵抗をなくしていくことが重要です。それには、お子さん自身に「食」に関わってもらうことも良いかもしれません。庭やプランターなどで栽培できる野菜であれば、自分で育ててみるのも良いでしょう。また、料理づくりを手伝ってもらうのも良いと思います。
子供自身が関われば、食べ物に愛着がわいて、
苦手の克服につながるかもしれませんね。
頭がよくなる食事はありますか?
Aくん
う~ん、残念ながら「これを食べれば頭が良くなる!」という食べ物はないと言って良いと思います。でも、「食べ物」ではなく「食生活」と学力の関係については、色々なデータが出ています。そこから考えられる「頭がよくなる(?)食生活」のポイントをお伝えしますね。キーワードは「朝ごはん」 なんです!
国の調べ(※1)では、朝ごはんを毎日食べる習慣のある子どもの方が、学力テストの点数が高いという傾向が見られています。
また、東北大学加齢医学研究所 スマート・エイジング国際共同研究センター(センター長 川島隆太教授)の調査(※2)では、「朝ごはんの習慣を身につけている人ほど、第一志望の高偏差値大学に現役合格している」「年収1,000万円以上のビジネスマンの82%が、ほぼ毎日朝ごはんを食べる習慣を身につけている」という結果が得られたそうです!
※1 農林水産省 めざましごはん「めざましデータBOX」
もちろん、偏差値の高い学校に行くことや年収が多いことがすべてではありませんが、「朝ごはん」は、後々の人生にもプラスになる習慣なのかもしれません。
島根県雲南市教育委員会の調べ(※3)では、朝食に主食のみを食べるグループよりも、主食+副菜+主菜+乳製品と、品数の多い朝ごはんを食べていたグループの方が学力テストの点が高いという傾向が見られたそうです(品数多いグループ 76.6点 > 主食のみ 62.1点)。朝ごはんの習慣の有無だけではなく、「朝ごはんとして何を食べるか」も大切なんです。
※3 島根県雲南市「平成23年度雲南市小中学生生活実態調査《2次報告》とはいえ、しっかり勉強することなしにテストの点は良くならないと思います。規則正しい生活習慣とバランスの良い食事が、お子さんの学びをサポートしてくれるのではないでしょうか。
平成26年7月17日、江戸川区立船堀小学校の先生と保護者のみなさんに、「『食』で心豊かな子どもに育てる」というテーマでお話ししてきました。
食べることは、体だけでなく、心にも栄養となります。育てる、買う、作る、食べる・・・ 色々な『食』の経験を通して、お子さんたちの心がもっと健やかに育っていくことを願っています。
年齢とともに食べ物の嗜好も変わっていくので、自然に食べられるようになることだって十分考えられます。
トライ&エラーを繰り返しながら、気楽に、気長に、好き嫌いと向き合っていきたいですね。