日本スポーツ振興会による平成22年の食事状況調査によると、小学生の1/4以上が毎日必ずおやつを食べるという結果が出ています。
もともと“おやつ”は、午後に食べる間食のことですが、どちらかというと“お菓子”のイメージが強いかと思います。そこで、よく『アスリートの場合は、“おやつ”ではなく“間食”を!』という言い方をされるのですが、サッカーに関わる栄養士の立場で言わせていただくと『“おやつ”ではなく“間食”よりもっと意識の高い“補食”を!』と思っています。
つまり、運動量の多いジュニアサッカー選手は3回の食事では、必要なエネルギー量や栄養素を、タイミングよく補うことはとても難しいので、“おやつ”も食事の一部と考え、“おやつ”のランクアップをすることを考えていくことが大事だと思います。
前出の調査で、小学生がよく食べるおやつのベスト3として、スナック菓子、飴(キャンディー)、チョコレートが挙がっています。これらのおやつは、3食だけでは不足する栄養素を補う“補食”になるのでしょうか?
成長期の子どもたちにとって、摂り過ぎ傾向のある栄養素が脂質、不足がちな栄養素は、カルシウムや鉄、ビタミン類が挙げられています。特に、給食のない日ではその傾向が顕著のようです。
だとすると、おやつ選びにはもう少し工夫が必要な気がします。
『食の自立』の第一歩として、“おやつの内容や選び方に気を配れる”そんな子どもたちに育って欲しいと思っています。
ちなみに、《食事バランスガイド》では“紐”の部分が“おやつ”にあたりますが、ジュニアサッカー選手の場合は、“補食”としての位置づけから3食では不足がちの乳製品や果物のグループから選ぶと良いでしょう。一般的なおススメおやつは、ヨーグルトなどの乳製品、果物、そしてサッカーをするエネルギー源になるおにぎりなどです。
久保田尚子先生 プロフィール
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴> | <主な雑誌連載> |
女子ソフトボール日本代表 | 月刊誌『サッカークリニック』 |
(2004年アテネオリンピック支援帯同) | 《勝つための栄養セミナー》等多数 |
JリーグFC東京(トップから育成年代) |
少年サッカーチームを対象に行われる、ひさこ先生の食育講座。
毎回、サッカー少年のお子様を持つお母さま方から、たくさんの質問が飛び交います。
その中から、いくつか抜粋してご紹介します。
練習がある日の夕食について 練習後は疲れていて、食べずに寝てしまったり、食べながら寝てしまうこともある。 |
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夕食を練習前と練習後に、分けて食べることも一つの方法です。 練習後の夕食にだけ重きをおくと、食べきらないうちに眠くなってしまったり、食べ終わってすぐに寝ることになってしまったりします。食べてすぐに寝ると、まだ消化しきれていないので、“熟睡”出来にくい状態になります。熟睡できないと疲れが取れないだけでなく、成長に欠かせない“成長ホルモン”は熟睡中に分泌されるので、成長にも問題です。練習前には練習のエネルギー源になる《主食》を中心に、練習後は成長ホルモンの分泌に備えて脂質の少ないおかずを中心に食べるようにするという“分食”を取り入れるのも一つの方法です。 ※分食:夕食を練習前と練習後に分けて食べるようにするという考え方。練習前には、練習で使うエネルギー源になる《主食》を中心に、練習後は就寝中の成長ホルモンを有効利用するための《主菜(たんぱく質)》を中心にする食事の仕方。 |
ご飯の適量はあるか? | |
年齢や体格などによっても違ってくるので一概には言えませんが、小学生でもサッカーをしている場合は、母親(活動強度が普通にあたる主婦)よりもご飯の量を多く食べるようにすることが目標と考えてください。 朝食時にあまり食欲がない場合は、おかずも一緒に摂れる丼物にしたり、それでも無理な場合は、最初はおにぎりにするのも良いでしょう。ただし、おにぎりだけでは、成長に必要な栄養素は足りませんので、少しずつでもおかずも食べられるようになるよう、起床時間を早めるなど生活のリズムを考えていくことも大事です。 |
“カーボローディング”は 小学生でも必要か? | |
競技種目や年齢にもよりますが、基本的には小学生年代では特に必要ないと思います。小学生年代に一番必要なのは、“バランスのとれた食事”です。 ただ、試合前には“バランス”を大事にしながらも、“主食多め・脂質控えめ”が“試合前の食事の大原則”であることを意識させることも大事です。 |