スポーツと食事の関係は?「食べ物パワーを味方につけろ!」

Vol.3 スポーツと食事の関係

基本は『最後の1cm、最後の1秒は選手が何を食べてきたかで決まる!』です!

これは、30年前くらいにアメリカのオリンピックコーチが伝えた有名なことばですが、スポーツと食事の関係は、すでにそのころから言われていることが分かります。まさに『食べたものが、エネルギーの素』ということですね。
そこで、きょうは試合時のエネルギーの素と言われている《主食の大事さ》についてお伝えしたいと思います。

試合前に主食をしっかり食べることで、動きに大きな差が出ます!

ご飯のススムおかずイラスト

『食べたものがエネルギーの素』ですが、“食べたもの”のなかでもごはんやうどんなどの《主食》が、サッカーをする際の大事なエネルギーの素になります。
このことは、2003年にIOCが『90分以上の競技では特に主食が大事』という声明を出しているほどです。また、様々な実験でも主食をしっかり食べることで、試合中に動ける距離や動きのないようにも大きな違いが出ていることが紹介されています。
そこで、サッカーが大好きな皆さまに提案です。試合の前日の夕食や試合当日の朝食はしっかり“ごはん”を食べましょう!具体的には、いつもよりごはんを(1/2~)1膳多く食べることを目標にしましょう!ただ、ご飯を多く食べるということは、その分いつもより少しだけ“おかず”をひかえめにして下さい。『えっ? じゃあ、なにでご飯を食べるの?』という声が聞こえてきそうですが、その時に大事な役割をしてくれるのが『ご飯のススムおかず』です。梅干でも、キムチでも、とろろ芋でも…“我が家流『ご飯のススムおかず』”を家族みんなで見つけてみましょう!
そして、試合中にスタミナの違いが実感できるように、ちょっとだけ食事に気をつけてみて下さい。

もうすぐやってくる“スポーツの秋”“食欲の秋”までに、『生活のリズム』を改めてととのえておきましょうね!

久保田尚子先生  プロフィール

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。

<主な栄養サポート歴> <主な雑誌連載>
女子ソフトボール日本代表 月刊誌『サッカークリニック』
(2004年アテネオリンピック支援帯同) 《勝つための栄養セミナー》等多数
JリーグFC東京(トップから育成年代)  

ひさこ先生のワンポイントアドバイス

少年サッカーチームを対象に行われる、ひさこ先生の食育講座。
毎回、サッカー少年のお子様を持つお母さま方から、たくさんの質問が飛び交います。
その中から、いくつか抜粋してご紹介します。

Q1 スポーツ飲料をたくさん飲むので甘味料があまり入っていないものが良いですか?
A1 まず、水分補給についてですが、『水分補給≒スポーツドリンク』という考え方をもっと柔軟にすることです。一般論では、目安として1時間位までは『水(麦茶)』でOK、それ以上の場合は使ったエネルギーと汗で失われるミネラルの補給ができるように『スポーツドリンク』と言われています。また、練習や試合のある日も汁物や果物を含め食事をしっかり摂っておくことも、水分補給になります。
スポーツドリンクは、“熱中症”や“足がつる”などを防ぐ働きもあると言われているたいへん便利なものではありますが、糖質も約6%含まれているので、水分補給≒スポーツドリンク⇒糖分のとり過ぎ⇒血糖値の上昇⇒満腹中枢が働く……ということになってはやや問題です。その辺りも考えて水との使い分けなどもじょうずにしてください。
また、最近は人工甘味料などを使用したスポーツドリンクも見られますが、特別の場合を除き、成長期の子どもたちにはつかって欲しくないと私は思っています。

Q2 低体温について、改善のためにとり入れると良い物は?
A2 まずは、朝食をしっかりとることや睡眠をしっかりとるといった食習慣を含めた生活習慣が大事なポイントです。栄養素的にはたんぱく質が体温上昇にかかわっていますが、たんぱく質だけではなく、やはりバランスも大事です。

Q3 試合前に、おにぎりではなくてバナナはどうか?
A3 バナナは吸収速度の異なる糖質が豊富です。吸収速度が異なるということは、長い時間エネルギー源として使うことが出来ます。また、カリウムやマグネシウムなど筋肉の収縮などに関わるミネラルも多いので、サッカーチームでは試合前にバナナを準備しているところも多いです。ということで、バナナももちろんおススメの食品です。
ただ、おにぎり(ごはん)の方が、量も多く食べられますし、100gあたりに含まれている糖質の量も多いので、おにぎりもバナナも好みや場面によって使い分けられると良いですね。

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