ひさこ先生が教える スポーツ少年ママのためのスポーツ栄養講座

11月号「身長、体格が気になる成長期の食事と運動」

成長期の保護者の方にお話しさせて頂くと決まって『背が大きくなる方法はないだろうか?』ということが質問に出ます。
最近は成長期の子どもたち本人からも『何を食べたら背が高くなるの?』、『牛乳を飲めば、大きくなるの?』という声も聞かれます。

残念ながら『これを食べたら大きくなる』というものはありません。また、遺伝や睡眠時間など食べ物以外の要素も大きく影響することもあります。
しかし、何といっても『食べたものがカラダを作る』訳ですから、食事に気をつけることは当たり前です。
成長に大きく関わる成長ホルモン ⇒  運動中や運動直後、そして睡眠中に分泌される。
そのときに体の中に”体づくりの材料”がある状態(難しい言葉でいうと“血中アミノ酸濃度”が高い状態)にしておくことが、成長ホルモンを有効に利用することになります。つまり、運動前や運動直後に食べたものがしっかり消化・吸収されているようにしておくことです。その時、脂質が多いものだと消化に時間がかかり、運動開始時に腹痛などを起こすこともあるので、練習開始時刻を逆算して食事時刻を決めたり、脂質控えめのものを食べるようにすると良いですね!

睡眠の深さに関係する成長ホルモン ⇒ 睡眠中と言っても“ノンレム睡眠”と言われる熟睡中に成長ホルモンが分泌されます
そして、実は“熟睡”は“食事”とも関係があります。食事が消化しきれないうちに就寝すると、熟睡できません。 そんなことも含め、就寝3時間前に夕食を摂ることが理想ですが、クラブや練習、塾などで夕食が遅くなる場合には、夕食を分けて食べる(分食)や夕食内容の見直しをしてみましょう。

結論

成長のためには、身体づくりの材料になる栄養素をしっかり摂ることも大事ですが、実は、たんぱく質やカルシウム以外にもエネルギー源になる炭水化物を摂ることは欠かせません。
その他にもビタミンやミネラルなど必要な栄養素があること考えると、一日3食、欠食せずに、バランスの調った食事を心掛けるという基本の大事さに気がついて頂けると嬉しいです。

【睡眠時間と食事内容】

睡眠時間の確保は、成長期だからこそ絶対に怠ってはいけないことです。
しかし、中高生本人たちの努力だけでは出来ないことでもあるのです。保護者の方だからこそ出来ることは、補食や夕食の“中身”に気を配ることです。
同じ睡眠時間しか取れなくても、中身に気を遣うことで、熟睡につながることもあります。また、“脂質の量”の違いをふだんの食事で伝えていくことは、“食の独り立ち”につながります。
そして、同時に指導者の立場だからこそ、指導者の方しかできない取り組みもあります。それは、少しでも睡眠時間を確保するための練習時間の管理です。もちろん、環境が整ったうえで、本人がスマホなどで睡眠時間をつぶすことは決してないように、ブルーライトが入眠を妨げることになることの自覚も必要です。そのような三者三様な努力が、成長にもつながると思います。

久保田尚子先生  プロフィール

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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