ひさこ先生が教える スポーツ少年ママのためのスポーツ栄養講座

6月号 「改めて“牛乳”」

最近は電車の中の広告でも“牛乳”を目にすることがありますが、機能を強化した牛乳に限らず、牛乳や乳製品は良質のたんぱく質や日本人に不足がちなカルシウムが手軽に摂れる優れた食品です。その牛乳や乳製品について改めて注目してみましょう。

『背が伸びるように…』との思いから、成長期には意識しているもののある時期を過ぎると注目されなくなりますが、牛乳や乳製品を摂ることは一生大事にしたい習慣です。その理由の一つは牛乳に含まれているカルシウムにあります。カルシウムはあらゆる年代の日本人にとってずっと不足している栄養素です。そのカルシウムの主な働きは“骨≒成長の材料”と言われていますが、実はその他に神経のいらだちを抑えたり、心臓をはじめ筋肉のスムーズな収縮に関係したり…という重要な働きもあります。つまり、カルシウムは成長期以外でも大事な働きをする栄養素ということです。

カルシウムは牛乳以外にも様々な食品に含まれています。ただ、吸収率に大きな差があり、牛乳や乳製品は約50%ですが、カルシウム源の代名詞のような小魚ですら約30%、青菜では約18%と言われています。(参考:下表)

数年前に夏バテ予防に〔運動+牛乳〕というのが言われていましたが、それは、牛乳や乳製品の持っている身体づくりの材料である良質たんぱく質に注目したことです。
運動後に牛乳(またはヨーグルト)を摂る ⇒ 筋肉だけでなく血液を作ることにつながり、暑い夏を前に〔汗のもと=血液〕の準備につながる

結論

暑い⇒のどが渇く⇒何か飲む…という当たり前のことが『熱中症予防』になるわけですが、飲む“何か”を牛乳にしてみませんか?のど越しなどを考えると、ちょっと避けられがちの牛乳ですが、暑くなる今だからこそ“牛乳を飲む習慣”を身に付けるチャンスです。
※1 牛乳が無理な方 ⇒ ヨーグルトから始めてみましょう!
※2 豆乳は牛乳代わりになるか? … 豆乳は高たんぱく質食品ですが、カルシウムは牛乳よりはるかに少ないので、代わりという訳にはいきません。ただし、豆乳には骨の成分を維持するイソフラボンなどの成分も含まれています

サバ缶

ブランド鯖の水煮缶なども含めて、数年前から“サバ缶”が注目されるようになっています。そもそもは“ダイエットに効果あり”が注目されるきっかけだったようですが、“サバ缶”は手軽で安価なうえ、成長期に必要な栄養素が豊富な食品です。

サプリメントでも見かけるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、不飽和脂肪酸の一つです。DHAは脳をはじめとする神経組織にDHAが非常に多く含まれているので、不足すると情報伝達がうまくいかなくなり、学習能力や記憶能力に影響が出ることが言われているのです。そのDHAは、魚の中でも“青魚”に特に多く含まれています。ただ、残念ながら魚嫌いが多いのは事実ですし、特にDHAを多く含んでいる“青魚”のサバ・さんま・アジ・イワシは子どもの嫌いな魚の常に上位を占めています。そこで、手軽で、小骨まで食べられる“サバ缶”は“青魚入門編”としておススメです。

好きな調味料で味付けしてサラダやパスタソースにしたり、ざるそばやソーメンの汁に入れるだけでも美味しいです。バランスが失われがちの昼食に手軽にお試しください。

ひさこ先生のワンポイントアドバイス

少年サッカーチームを対象に行われる、ひさこ先生の食育講座。
毎回、サッカー少年のお子様を持つお母さま方から、たくさんの質問が飛び交います。
その中から、いくつか抜粋してご紹介します。

Q1 毎朝朝食を摂っていますが、子どもの体温が低く心配です。体温を上げるのに良い食事などがあれば知りたいです。
A1 平熱が36度未満の場合が低体温と言われますが、最近の研究では“低体温”だと免疫力が下がることが言われています。
平熱を上げるためには、毎日朝食を摂るほか、睡眠をしっかり摂るようにすることなども大きく影響すると言われています。
栄養素としてはたんぱく質 = 体温を上げる栄養素と言われています。
具体的には、〔主食+汁物+おかず(主菜)+野菜のおかず(副菜)〕を朝食でもしっかり食べることが大事です。ただ、体温を高めるためにたんぱく質だけを摂るのは間違っています。やはり、バランスを保つことは大事です。
また、温かいものを食べたり、香辛料を使うのも効果があると言われています。

朝食例)※赤字 が、たんぱく質源のおかずです
*和食の場合;
①ごはん+野菜たっぷりみそ汁+納豆、卵焼き+お浸し(+ヨーグルト+くだもの)
②ごはん+簡単豚汁かば焼き缶詰の卵とじ(+ヨーグルト+くだもの)
*洋食の場合;
①パン+牛乳で作るコーンスープハムエッグ+くだもの
②パン+フルーツ&シリアル・牛乳添えウインナ入りの簡単ポトフ

久保田尚子先生  プロフィール

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。

<主な栄養サポート歴> <主な雑誌連載>
女子ソフトボール日本代表 月刊誌『サッカークリニック』
(2004年アテネオリンピック支援帯同) 《勝つための栄養セミナー》等多数
JリーグFC東京(トップから育成年代)  
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