機会がある度に“夕食の内容”は、どうするのが一番良いのかということを聞かれます。成長期だからしっかり食べて欲しいが、練習から疲れて帰ってくると夕食よりもとにかく寝たい!となってしまうことも… そんな経験はありませんか?
夕方からの練習の場合、練習が終わって帰宅すると疲れで入浴も夕食もままならないこともあるようです。でも、大事な成長期、しかも練習でエネルギーも使ってしまっているとなると…早く寝たい(寝かせたい)けれど、食べることも大事! そんな悩みをお持ちの方も多いようです。そこで、新年度を迎えるにあたり、改めて“夕食の摂り方”や“内容”について考えていきましょう。
必要なエネルギーや栄養素を摂るためにも夕食を摂ることが大前提です。
そのために大事なことは、夕食の目的を明確にして、それに見合う食べ方をすることです。
例)夕方6時~8時半の練習の場合 ⇒ 練習を有効にするためにエネルギーをしっかり蓄えておくこと。
給食(昼食)後5時間以上経っているので、何も食べずに練習に参加すると、完全にエネルギー不足の状態です。
特に脳を働かせるエネルギーの不足は、注意力や集中力の不足を招くので、効果的な練習のためにも、けが予防のためにもエネルギー補給は大事です。となると、練習前に早目の夕食を摂ることが望ましいことになります。
夕食の大切な役割 = 練習後には使ったエネルギーを補充することで疲労回復効果を狙ったり、就寝中に成長するための材料を補充しておくこと
夕食は摂る目的やタイミングによって内容を考えることが重要で、そのためには『夕食を分けて摂る(=分食)』も成長期のスポーツ選手には有効な手段です。
“分食”とは
練習に行く前は消化の良い主食(おにぎり、うどん、お餅など)を中心に、練習後には少な目の主食と脂質控えめのおかず(脂身の少ない豚肉、魚、温野菜など)を中心に、夕食を2回に分けて摂ること。
ごはんがススムおかず
エネルギー源になるごはんをしっかり食べるということは、おかずの量はいつもと同じで、ご飯をいつもより1膳多く食べるということです。そのために大事なことは『これさえあれば、ご飯が1膳多く食べられるおかず』を見つけておくことです。
ご飯を多く食べるために大事なことは、おかずをいつもより多く食べるのではなく、『これさえあれば、ごはんがいつもより1膳多く食べられる』という”おかず”を元気な時に見つけておくことです。このことは将来『試合前の食事』でも活用できます。
プロのサッカー選手でも、エネルギー源をからだにため込むために、とろろ芋、梅干、キムチ、納豆など、ごはんがしっかり食べられる”おかず”が大事な試合前の食事では欠かせないものになっています。また、“これさえあれば…”というおかずは、夏の食欲が落ちた時にも役立ち、“夏バテ予防”にもつながります。あなたにとっての“これさえあれば”を見つけておきましょう。
少年サッカーチームを対象に行われる、ひさこ先生の食育講座。
毎回、サッカー少年のお子様を持つお母さま方から、たくさんの質問が飛び交います。
その中から、いくつか抜粋してご紹介します。
(スポーツをしている)息子の体重が増えなくて困っています。身長171cm、体重49kg、痩せすぎですよね?バランスを考えて食べさせているのですが… | |
年齢が分かりませんが、身長171㎝とは大きいですね! ただ、身長に対して、体重が49㎏とは確かに少ないです。 ただ、成長期ですので、慌てずに長い目で見てあげることも大事です。成長の材料になる食事をしっかり摂ることと睡眠時間を確保することを諦めずに続けて下さい。 ちなみに、一応17歳までが成長期とされています。いつ、著しい成長が訪れても大丈夫なように、日々の食事・睡眠などの生活習慣を調えているようになさって下さいね。 |
久保田尚子先生 プロフィール
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴> | <主な雑誌連載> |
女子ソフトボール日本代表 | 月刊誌『サッカークリニック』 |
(2004年アテネオリンピック支援帯同) | 《勝つための栄養セミナー》等多数 |
JリーグFC東京(トップから育成年代) |