サッカーの日本代表監督のコメントから、“体脂肪率”への関心が深まってきているように感じています。では、ジュニアサッカー選手にも“脂質”を意識する必要はあるでしょうか?
今月は"脂質"の必要性も含め考えてみましょう。
食事や栄養に関心がある方ほど『脂質』というと"悪者"のイメージを持たれているかと思いますが、実は脂質も立派な栄養素で、もちろん大事な働きもあります。
脂質の主な働き(※脂質の種類にもよる)
…○細胞膜の原料となる。 ○ホルモンの合成に欠かせない。
なぜ“嫌われ者”?
… 理由の一つは“脂質”は意識しないうちに摂ってしまうことが多いから!?
アスリートの場合は特に『からだづくりの時期』だから “たんぱく質”を多めに摂ろう!とか、『試合前』だからエネルギー源として“炭水化物”を摂っておこう!と“意識”して食事(栄養素)を摂取することが多いようですが、脂質は意識しないうちに摂っていたということが多い。
『見える脂質』・・・パンに付けるバター、炒める時の油、サラダのマヨネーズなど
⇒意識して摂る脂質のこと
『見えない脂質』・・・パンやカップめん、お菓子、牛乳など食品そのものに含まれている脂質
⇒知らないうちに摂ってしまう脂質のこと
意識を高く持っているジュニアアスリートも、もしかしたら思っている以上に脂質を摂っていることもあるかもしれません。
脂質の摂り過ぎ⇒脂肪細胞の数を増やすことにも繋がると言われ、一度増えた脂肪細胞の数を減らすことが難しい
見えるあぶらと見えないあぶらの摂取量(平均)
(単位:一人1日当たりg)
資料:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(平成23年度)各年版
注:「国民健康・栄養調査」による脂質摂取量から日本植物油協会で推計したもの
脂質の摂り方に気を配る
おすすめ方法 ≫ “栄養成分表示”を見る習慣をつけましょう!せっかく公開されている表示を確認することは大事!
将来、トップアスリートになることを見据えると、“食の自立”は大事な要素の一つです。“その時”に備え、栄養成分以外にも期限表示、保存方法、アレルギー関係などの表示を見る習慣を始めましょう!
納豆
先日観たテレビ番組で、フランス人にも納豆を食べてもらおうと努力されている方が紹介されていました。 納豆と言えば独特のぬめりと香りで、日本でも地域によっては敬遠されがちな食品ですが、海外での普及とはなんとハードルが高いこと?!と心中びっくりしながら見ていました。
納豆=成長期にはぜひ食べて欲しい食品の一つ!
理由:
■大豆が原料で、たんぱく質を多く含む食品。
■たんぱく質以外にも成長期にとって魅力的な成分、何といっても"ビタミンK"を含む。
ビタミンKは私たちの体内でも作られるので一般的には不足しないと言われていますが、カルシウムの骨への定着を測ったり、出血時に血を止めるという成長期のアスリートにとっては大事な働きもあります。
■納豆のネバネバ成分(ナットーキナーゼ)は、血栓・心筋梗塞予防効果も言われていて、家族みんなで食べたい食品。
食べるタイミングは?
⇒働きを考えると“朝食時”より、"夕食時"の方が効果があるようです。
久保田尚子先生 プロフィール
順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴> | <主な雑誌連載> |
女子ソフトボール日本代表 | 月刊誌『サッカークリニック』 |
(2004年アテネオリンピック支援帯同) | 《勝つための栄養セミナー》等多数 |
JリーグFC東京(トップから育成年代) |