ひさこ先生が教える スポーツ少年ママのためのスポーツ栄養講座

8月号 改めて、熱中症の怖さを…

今年の暑さは本当に異常で・・・ “熱中症による犠牲者や救急搬送者数”も昨年をかなり上回るような勢いとか… 朝のニュースや天気予報でも『熱中症予防』の呼びかけがされたり、スーパーやコンビニの店内に加え駅のポスターでも“熱中症予防”がキーワードになっているものを見かけるほどなのに、なぜ熱中症は減らないのでしょうか?

  1. 今までは『熱中症予防』が大きな要素だったのですが、今年になってからは“脱水症”ということばをずいぶん耳にするようになりました。では、“脱水症”とはどんな状態のことでしょうか? また、脱水症と熱中症の関係はどうなっているのでしょうか?
  2. まず、脱水症とは辞書でも『高度の発汗の際に、水分の摂取が十分でないために起こる症状』というような説明がなされています。つまり、身体が脱水状態になってることに気が付かないと“熱中症”に陥ってしまいやすいので、脱水症にならないようにこまめな水分補給を心掛ける、そして脱水状態になってしまったら、それに早めに気づくことが大事と思って下さい。
  3. 今年からは熱中症の分類の仕方が変わりました。今までは熱中症の種類による分類だったのですが、今年からは熱中症の重症度による分類になりました。対応に急を要するのかどうかなど“重症度”による分類になっています。熱中症の分類を覚えるよりも、大事なことは熱中症の怖さを知ることという意味なのだと思います。
  4. ※参照:環境省熱中予防情報サイト内「このような症状があれば・・・」

結論

熱中症で救急搬送される方は非常に多く、最近は天気予報以外の番組内でも『高温注意報』が表示されたりするくらいです。
具体的な対策としては、ふだんから汁物付きの食事をしっかり摂る、起床時には体内水分量が減っているだろうことを想定しておくなど、改めて“広い意味での水分補給の大事さ”を認識して頂けたらと思います。


サッカーグランドの素材によっても
熱中症発生に違いがある?!

天気情報の番組等で、「芝生のグランドは熱中症の心配は少ない!」とありましたが真偽はどうなんでしょうか?

熱中症への関心が高まっている中、環境(どこでサッカーをするか?など)によっても差があることが言われています。とはいえ、“サッカーをする場の確保”すら難しいなか、より良い環境を選ぶことはなかなか現実的ではないかもしれませんが、環境省などから配信されている『暑さ指数(顔の表情や色で区別しているマーク)』有効に利用することを考えていくことも大事です。また、体調不良も熱中症にかかる原因となります。とかく、睡眠不足になりがちな夏休み中の生活にも注意しましょう。

人工芝も含めサッカーをする環境はずいぶん良くなっています。ただし芝生なら熱中症の心配はないかと言えば、それは違います。気温だけでなく湿度や照り返しなども含め様々な要素が関わってくるからです。

例えば、”芝生”の場合、気温に注目して測定すると低くはなりますが、逆に湿度は高くなることも考えられます。夏場のサッカーでは『ここなら大丈夫!』という安心感を持つことなく『命に関わる熱中症対策』を常に意識しておいて下さい。

また注意喚起に関するデータ観測は地上から1.5mの高さでされていることが多いのですが、子どもの身長を考えると気温も湿度も輻射熱(*1)も大きな影響を受けていると思われます。それらも含め子どもの熱中症予防には十分注意してください。*1 輻射熱…照り返し・太陽熱で温められた地面や壁等からの熱

※気象庁や消防庁、日本体育協会などのサイトでも熱中症に関しての情報提供を行っています。ぜひ参考にして下さい

久保田尚子先生  プロフィール

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。

<主な栄養サポート歴> <主な雑誌連載>
女子ソフトボール日本代表 月刊誌『サッカークリニック』
(2004年アテネオリンピック支援帯同) 《勝つための栄養セミナー》等多数
JリーグFC東京(トップから育成年代)  
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