スポーツ食育インタビュー

Vol.31 後編 日本卓球協会 ストレングス&コンディショニングコーチ 田中礼人さん

トップレベルの卓球選手に必要なものとは? またジュニア選手の食事を含めた指導内容や、将来の夢など、じっくりとおうかがいしました。

どんな環境でもたくさん食べることが、強さの秘訣
インタビューを受ける田中礼人さん

編集部:「卓球にはオフシーズンがないんですよね。海外遠征が多く、移動だけでも疲れてリカバリーが大変では?」

田中さん:「年間200日国内合宿で、100日国際大会に出ていますから、リカバリーもとても大事。もちろん食事も大切です。筋力レベルが落ちて回復しないとケガにつながってしまうので、遠征中でもトレーニングを続けています。もちろん強度や量は変えますが、年間を通して、トレーニングも栄養も考えながらやっていきます。」

編集部:「海外では食生活や食事面の変化も多いと思いますが、それで体調をくずすこともありますか?」

田中さん:「ありますね。人によりますが、においがきつかったり、発展途上国だとメニューの種類が少なく、2週間の遠征で体重が2~3kg落ちる選手もいます。」

ひさこ先生:「食べられるものがない、という状況ですか?」

田中さん:「そうですね。でもそれは男子の場合で、女子は維持(いじ)できてるか、ちょっと体重が増える場合もあります。」

ひさこ先生:「同じ場所なのに? 女子は食べているんですね。適応力の違いでしょうか。」

田中さん:「女子は自分たちで持参したり、なにかと食べているんです。5~6年前の事ですが、男子は現地食が食べられなかったら、食べられないままでした。でも最近は、自分で補食を持参したり、マジックライスやレトルトカレー温めて食べてるなど、少しずつ工夫しています。」

編集部:「海外の選手の食事の意識に違いを感じますか?」

田中さん:「今卓球は中国が一番強いんですが、中国の選手はどこの国に行ってもすごく食べます。細い人でもとにかくお皿にいっぱい、野菜を取って食べてます。やっぱりそういうのが、強さの秘訣(ひけつ)かなって思いますね。体格もやっぱり大きいですよ。骨格も大きく感じます。特に男子の場合は、食べる量の差は絶対あります。」

次世代の育成が実を結び、日本の競技レベルが上がった。
インタビューを受ける田中礼人さん

編集部:「肉体改造をするには、どんなトレーニングが必要ですか?」

田中さん:「まずはトレーニングを継続(けいぞく)し、ケガしない体づくりが大切。ケガしなければ計画通りに練習できますし、遠征にも行けます。技術とか戦術は、監督、コーチがしっかり考えているので。」

編集部:「日本男子全体のレベルが上がっている背景には、そういうトレーニングや食事の変革(へんかく)があったおかげなんですね。」

田中さん:「少なからずそういうのもあるかと。5年前は世界ランク30位以内に2人しかいなかったんですけど、今は6人います。」

編集部:「すごいことだと思います。サポート環境が備わり、全体が底上げされたからですね。」

田中さん:「あとは2001年辺りから、卓球協会で競技者育成に力を入れ始めた事もあります。今までは日本代表の選手だけを集め、試合が終わったら解散していたので、次世代が育たなかった。そこで12歳以下、18歳以下、トップとそれぞれナショナルチームを作り、練習、体力、栄養、メンタルを一貫教育でやり始めた。ちょうどその子たちが、今の主力になってきているんです。」

編集部:「トレーナーの立場から、『こういう子は伸びる』と思う子の特徴はありますか?」

田中さん:「やっぱり素直な子が一番伸びますね。素直で、なおかつ自分の中で良いアドバイス、悪いアドバイスの分別ができる。何でもかんでも受け入れるんじゃなくて、全部受け入れた上で、自分で考えて処理(しょり)できるような、そんな子はやっぱり伸びますね。」

ひさこ先生:「それってすごく大事ですよね。今は情報社会で、様々なことをテレビやメディアで取り上げる。それを取捨選択(しゅしゃせんたく)する力、見極める力というのは、どの競技でも大事ですよね。」

田中さん:「あとはちゃんと継続できるかどうか。継続出来ないと意味がないので。」

つづき
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