98年長野パラリンピックに出場し、アイススレッジスピードレース1500mで世界新記録を更新して金メダルを獲得。その後陸上に転向し、04年アテネパラリンピックでは5000mで金メダルと、日本人史上初の夏・冬パラリンピック金メダリストとなった土田和歌子選手。2月に行われた東京マラソンでは見事優勝に輝き、夏のリオパラリンピック代表に内定。さらなるトレーニングを重ねている土田選手に、お話をうかがいました。
(画像提供 W-STAGE)
編集部:「子どものころは、好ききらいはありましたか?」
土田選手:「ニンジンやセロリ、ミョウガなど、ニオイがきつい野菜が苦手でした。でも、母が健康志向で、食事管理にはこだわっていたので、しっかり食べさせられましたね。よく、苦手な食材を細かくきざんでわからないようにするという話を聞きますが、ウチはそんなことはなく(笑)。『今出ているものを、絶対に食べなさい』という方針でした。
当時はイヤで、かくれて残したこともありましたが、今振り返ってみると、キチンとした食生活が身について良かったと感じています。19歳で一人暮らしをはじめましたが、自炊(じすい)をしてちゃんと栄養バランスを考えた食事ができていました。」
ひさこ先生:「お母様がなさったことは、食育の基本ですね。食育は本来、土田選手のお母さまがなさったように生活している中で自然に身につくべきだと私は考えているんです。」
土田選手:「そうですね。結果として身になっているので、良かったんだと思います。
私は今、小学生の息子が一人いますが、子どもの好ききらいを直すためにどうしていくのがいいのか、色々なハードルがあると感じます。」
編集部:「お母様の健康志向は、他にどのようなところにありましたか?」
土田選手:「食事管理の他は、睡眠ですね。あと、体を動かしたほうがいいと言われていました。子どものころは運動が得意じゃなくて、でも体を動かすことは好きだったので、よく外遊びをしていました。」
編集部:「お弁当に関して、何か思い出はありますか?」
土田選手:「今思い出して、『スゴイな』と思うのは、1週間のうち、ほとんど同じおかずが出なかったんですよ。もちろん、ウインナーとか多少はありましたが、バラエティ豊かなお弁当でした。思いを込めて作ってくれていたんだな、と思います。」
編集部:「食事は、和食、洋食、どちらが多かったですか?」
土田選手:「和食ですね。朝食も魚が多かったです。」
編集部:「好きな食べものはなんですか?」
土田選手:「おみそ汁です! 大好きだから、よく作ります。」
ひさこ先生:「おみそ汁は、熱中症予防にも良いですよ。もちろんこまめな水分補給が大前提ですが、朝食におみそ汁をいただくと、水分もナトリウムも摂(と)れるし、具のお野菜も。朝だと野菜料理に手を抜きがちなので、毎日のおみそ汁は大切だと思います。」
編集部:「土田選手が、食事の大切さに気づいたのは、いつごろですか?」
土田選手:「一人暮らしをはじめた19歳のころから、食事は大事だと感じていました。ちゃんと食べないと、顕著(けんちょ)に出るんですよね。スポーツだけでなく、生活全体が、良い食事を取れているときは調子が良いし、楽です。」
編集部:「最近は、朝食を食べない子どもが増えているそうですが、それについてはどう思われますか?」
土田選手:「うちでは、朝食をぬくことは考えられませんね。基本はごはんにおみそ汁、おかずに副菜。あとは牛乳やヨーグルトなど。たまに、パンを食べることもあります。
息子は偏頭痛(へんずつう)持ちで、体調が悪くて夕食を食べずに寝てしまうこともありますが、朝ごはんを食べると元気になって、ちゃんと学校に行きます。朝ごはんをしっかり食べると、一日のサイクルが良くなるんだと感じますね。」
編集部:「ヨーグルトは、どのようにして食べていますか?」
土田選手:「基本は、カップに入っているものをそのまま。バナナやイチゴ、キウイなどのフルーツに混ぜることもあります。暑い時はジューサーで混ぜてスムージーにしたり。」
編集部:「乳製品に期待していることはなんですか?」
土田選手:「カルシウムが豊富だから、骨を丈夫にしてくれることですね。息子は年齢の割に体は大きいのですが、体つきが細いので、成長期ということもあり、しっかり乳製品を摂るようにしています。」