スポーツ食育インタビュー

Vol.25 後編 コマツ女子柔道部 片桐 夏海選手

試合に向けて、“ピーク”をどこに持っていくかがポイント
インタビューを受ける片桐選手

編集部:「練習ではほぼ休みなく次々と組んで。相当タフじゃなきゃ出来ませんね。当然ですが、相当なスタミナがいりますね。」

片桐選手:「体だけでなく、気持ちも疲(つか)れますが、食べて栄養をとってしっかり休むようにしています。体が回復すると気持ちも回復して、次に向かって頑張れます。」

ひさこ先生:「階級のある競技って、片桐選手のように体重をコントロールされる方と、食べずに最後は汗かいて調整するといった方の、両極端(りょうきょくたん)に別れる気がします。
『練習はみんな同じようにしているから、差をつけるなら食事でしょ!』っていうのは栄養士のおどし文句なんですが、よく理解されています。」

片桐選手:「本当にその通りです。やっぱり食べたものは、自分の体になるので。」

編集部:「練習の後の疲れを回復するためには、どういうケアをしますか?」

片桐選手:「栄養はもちろんとりますが、練習後はは乳酸がたまるので、それを流すために軽いジョギングやストレッチなど、いわゆるクールダウンを行います。」

編集部:「つかれを取るために、また運動するんですね。次の日にはもう回復しているんですか?」

片桐選手:「いえ、疲れがぬけきれない時も結構あります。だから試合までの調整期間は、体調のピークをどう持っていくかに気をつけています。」

教えて、ひさこ先生! サプリメントの添加物が気になります
片桐選手とひさこ先生

編集部:「片桐選手から、ひさこ先生に質問はありますか?」

片桐選手:「練習後に手軽に栄養を補給したい場合、最初に糖質をとり、その後にたんぱく質をとる方法がありますよね。今では、糖質とたんぱく質の比率がすごく良いサプリメントも出ています。
ただ内容を見ると人工的な添加物(てんかぶつ)が入っています。確かに手軽に効率よく栄養を吸収できますが、自然の食べものからとったほうが本当は良いのでしょうか?」

ひさこ先生:「まず、練習後の栄養補給の大事さ、特に糖質とたんぱく質の比率にまで気を使われていらっしゃるのは素晴らしいです。 その比率についてですが、炭水化物:たんぱく質が3:1というのが、今は“黄金比率”と言われているものです。例えば、プロテインを選ぶ際もその割合に近いものを選ぶと良いと思います。
具体的には、オレンジジュースをベースにしてプロテインを入れると、黄金比率に近く、味はシェイク似といった感じになります。また、オレンジジュースとプレーンヨーグルトを混ぜてシェイクにして、自分流のオリジナルのリカバリードリンクを作ってみるとかも良いかもしれません。」

片桐選手:「なるほど!」

ひさこ先生:「また、食品添加物についてですが、基本的には続けて飲んでいても問題のない量しか使用していませんが、個人差もあるし、心の許容(きょよう)もあるので、どこまで妥協(だきょう)できるかは調整になってくると思います。
私の知っているある選手はプロテインが苦手で、温泉卵か無添加の魚肉ソーセージをたんぱく質源として、糖質源としてはオレンジジュース、それぞれを組み合わせて毎回練習に持ってきていました。この方法も練習後、なるべく早いタイミングで必要な栄養素を摂取(せっしゅ)するということでは素晴らしい方法だと思います。
ただアスリートの場合は、すべての添加物を拒否してしまうと、海外遠征(えんせい)などで食べものの制限があるときは大変。私は『サプリメントの信者にもならず、毛嫌いもせず」とよく言っています。自分の中でコントロールしていくことが、一番だと思います。どれなら自分が許せる範囲、今の自分に用意できるものとの関係などを考えてみたら良いのではないでしょうか。 」

ただ、子どもの背中を押して、見守ってあげて
片桐選手

編集部:「柔道をする上で、最も必要なものはなんですか?」

片桐選手:「柔道は“心(精神力)”“技(技術)”“体(体力)” をすごく大事にすると言われており、それぞれの要素を組み合わせる事で勝負出来ます。逆にどれかが欠けているとそれが弱点になってしまいます。」

編集部:「片桐選手が特に気をつけているところは、どこですか?」

片桐選手:「私は自分の良さ・強みを生かし、そこをのばすことを一番心掛けています。」

編集部:「柔道の魅力(みりょく)を教えてください。」

片桐選手:「私はもともと、柔道が上手ではありませんでしたが、勝ちたいという気持ちはすごく強い子でした。勝ちたい、強くなりたいという思いで一所懸命練習し、少しずつ勝って結果を出せるようになりました。自分が一所懸命やってきたことが形になるという楽しさを、小さいころに覚えました。
一所懸命練習すると、心が強くなったり、体力がついたりして、結果的に試合でも勝てるかもしれないですね。」

編集部:「なかなか勝てない時期もあったんですか?」

片桐選手:「ありました。高校、大学では自分が目標とする結果になかなかいけませんでした。
でも、自分の思いを大切にし、一所懸命やっていたら、ちょっとずつ結果が出るようになりました。」

編集部:「保護者が子どもたちにどのようなサポートをすれば良いか、アドバイスをお願いします。」

片桐選手:「うまくいかず、落ち込んでしまうときもあると思います。そんな時こそ、好きなものなどおいしいものをつくって体も心も元気づけてあげて下さい。おいしいものを食べると、絶対に元気が出ると思います。あとは、背中を押して、見守ってあげることが大切だと思います。両親はどんな時も私の背中を押し、見守ってくれましたが、それがとても力になりました。そうすれば、子どもたちはイキイキと過ごせるのではないでしょうか。」

編集部:「ありがとうございました!」

取材日:2015年4月16日

色紙には、大きく「志(こころざし)」の一文字。強い気持ちで体づくりに取り組み、練習にはげんで勝利を重ねている片桐選手らしい言葉です。
片桐選手の今後の活やくを、全力で応えんします!

選手&チームのご紹介
片桐夏海(かたぎりなつみ)選手

1988年生まれ、山形県出身。63kg級。環太平洋大学を経て、2011年7月コマツ入社。2013年講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 優勝。2014年全日本選抜柔道体重別選手権大会 2位。得意技は内股。

コマツ女子柔道部

1991年4月に、会社創立70周年記念事業の一つとして創部。全日本実業柔道団体対抗大会での10度にわたる優勝をはじめ、個人戦でもオリンピックや世界選手権などを含む国内外の大会で優秀な成績を収めている。
また、普段の稽古に加え、毎週少年柔道教室を開き、次世代を担う子供たちの育成にも協力している。

■公式サイト
http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/judo/

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