スポーツ食育インタビュー

Vol.25 前編 コマツ女子柔道部 片桐 夏海選手

幼稚園児のころにはじめた柔道は、遊んでいる感覚で楽しかった
インタビューを受ける片桐選手

編集部:「柔道はいつから始められましたか?」

片桐選手:「柔道を始めたのは幼稚園ぐらいからですが、本格的に習いだしたのは小学生にあがってからです。父が柔道をやっており、練習に一緒に連れていってもらったのが柔道を始めたきっかけでした。
最初のうちは、自分より年上の人に遊んでもらう遊び感覚で柔道を楽しんでいました。週に3回ぐらいスポーツ少年団で、柔道のけいこに通っていました。」

編集部:「小学生のころは他の運動もしていたのですか?」

片桐選手:「いえ、柔道だけです。あんまり外で遊ぶのが好きじゃなかったですね。走るのが好きで、得意でしたが、ボール運動はあまり得意ではありませんでした。」

ひさこ先生:「さきほど松岡義之監督(コマツ女子柔道部)が練習中に、“体のスタミナをつけると心のスタミナも鍛(きた)えられる”とおっしゃっていたのがとても印象的でした。走ることは心と体、両方のトレーニングになるのだなと思いました。実は“食べること”も 私はトレーニングだと思っています。」

片桐選手:「その通りです。特に長距離(きょり)を走ってキツくなったときは、“もっとがんばれる!もっとたえられる!”と考えるようにしています。」

1年間柔道をはなれたから、本気で柔道をやりたいと思えた
試合風景

編集部:「中学生になって、しばらく柔道からはなれていたそうですが、どういった理由でしょうか?」

片桐選手:「小学生になってだんだん練習が厳しくなっていき、柔道がイヤになってしまいました。そのため、小学校を卒業するときに一度やめ、中学校は柔道部がない学校をわざわざ選びました。中学では、1年間だけ陸上部に所属していました。しかし、1年間柔道からはなれてみて、やっぱり柔道をやりたいなと思い、そこから柔道に対して本気になって向き合おうと思いました。自分で柔道を再開すると決めてからは、本当に変わりました。」

編集部:「なぜ、また柔道をやりたくなったんでしょうね?」

片桐選手:「他の競技をやってみて、柔道の楽しさがわかりました。練習がキツいと思って一度はイヤになったけれど、はなれてみて、本当は柔道が好きだと思っている自分に気づきました。」

編集部:「柔道をやめた時、お父様は何も言われなかったのですか?」

片桐選手:「ただ『そうなんだ』とだけ言いました。父はもとから口を出さない人でした。」

編集部:「お父様から『やれ』と言われたわけではないのですね。」

片桐選手:「そうですね。ほとんど何も言いませんでした。逆に、周りの人からは『続けたほうがいいんじゃないか』って言われました。」

編集部:「お父様が稽古(けいこ)をつけてくれた時もありますか?」

片桐選手:「あります。稽古は全然厳しくありませんでした。父は柔道に関しては、外からあたたかく見守ってくれ、応援してくれます。『お前が思うようにしていい』といってくれています。」

編集部:「からだが最も成長したのは、どの時期ですか?」

片桐選手:「小学校高学年が一番のびましたが、中学ではあまりのびませんでした。小さいころに筋肉をつけすぎると、身長がのびなくなると聞いたのですが、どうなんでしょうか。」

ひさこ先生:「それは違うと思いますよ。まず、身長が伸びることも含め、成長の度合いは個人差があります。また、身長への影響は遺伝も大きいと言われています。さらに、食事や睡眠など生活習慣も大きく関わっています。ですから、筋肉をつけすぎると身長が伸びないということは多分ないと思います。ご両親も背が高いですか?」

片桐選手:「父は平均的な身長で、母は背が高い方です。」

ひさこ先生:「片桐選手は環境的にも、遺伝的にもすくすく育つ環境でいらしたということですね!」

編集部:「子どものころから筋肉質でしたか?」

片桐選手:「そうですね。ちょっとコンプレックスでした。二の腕とかが筋肉質っぽいなと小さいながらに思っていました。柔道は腕立て伏せ(うでたてふせ)などをやって、基礎(きそ)体力を作ります。それで自然と普通の子より筋肉質になりました。」

体重コントロールを考え、高校生から63kg級に
インタビューを受ける片桐選手

編集部:「中学校、高校はお弁当でしたか? 印象に残っているお弁当はありますか?」

片桐選手:「母が作るお弁当が大好きでした。お肉かお魚のメイン料理が必ず一つ入っていて、ふつうの子よりもちょっと量が多かったです。
でも試合が近くなって体重をコントロールしなければいけない時期は、ふつうの量のお弁当にしてくれ、試合後はいつもの量に戻してくれました。」

編集部:「体重のコントロールは、いつからですか?」

片桐選手:「基本的に中学から柔道は階級制(*)になりますが、体の成長と共に体重も増えたので、高校後半から体重のコントロールを本格的にやりはじめました。」

編集部:「中学生のときは、コントロールっていうより成長とともに上の階級へ上がる、という感じですか?」

片桐選手:「そうですね。中学から高校前半にかけては、そういう選手が多いです。でも高校後半になると、自分の身長や柔道のスタイルなどでどの階級で勝負できるかを選択する必要があります。」

ひさこ先生:「階級を選ぶのも戦略の一つと聞いたことがあります。成長を考慮した階級の選び方って難しいですね。」

編集部:「今の63kg級は、どのように決められたのですか?」

片桐選手:「中学3年生のときに、この階級にしました。中学2年生の時は1階級下の57kg級だったのですが、少し体重が増えたので、周りの先生方の意見を聞いて、階級を63kg級に上げました。
最初のころは体重が63kg級に全然足りないまま試合に出ていたのですが、高校になり体がどんどん大きくなりました。柔道は、個人戦だけでなく団体戦もあるのですが、まわりから体を大きくしたほうがいいと言われることが多かったです。」

編集部:「体重だけだと、細くて背の高い人と、低くてがっしりした人も同じ階級ですよね。人によるとは思いますが、組む時はどっちが有利とか苦手とかありますか?」

片桐選手:「小さい人が大きい人の相手をするのはやりにくいですし、その逆もあります。おたがい様ですね。」

編集部:「片桐さんは背が高いほうですよね。じゃあ、小さい方と組むほうが多いということですか?」

片桐選手:「そうですね。でも今は同じくらいの身長の選手も結構多いです。小さい選手はその特性を活かしてきてせめてきますし、お互いとも戦略のぶつかり合いです。」



(*)21歳以上(女子)だと、48kg級、52kg級、57kg級、63kg級、70kg級、78kg級、78kg超級の階級があります。

取材日:2015年4月16日

一度柔道をやめたからこそ、自分にとって柔道がどれだけ大きなものだったのか気づいた、という片桐選手。自分が本当にやりたいことを見つけるためには、回り道も必要なんですね。
後編は、試合直前の減量などについてうかがいます。どうぞお楽しみに!

後編に続く 乞うご期待!! 次回更新日7月15日(予定)

選手&チームのご紹介
片桐夏海(かたぎりなつみ)選手

1988年生まれ、山形県出身。63kg級。環太平洋大学を経て、2011年7月コマツ入社。2013年講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 優勝。2014年全日本選抜柔道体重別選手権大会 2位。得意技は内股。

コマツ女子柔道部

1991年4月に、会社創立70周年記念事業の一つとして創部。全日本実業柔道団体対抗大会での10度にわたる優勝をはじめ、個人戦でもオリンピックや世界選手権などを含む国内外の大会で優秀な成績を収めている。
また、普段の稽古に加え、毎週少年柔道教室を開き、次世代を担う子供たちの育成にも協力している。

■公式サイト
http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/judo/

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