編集部:「『小さいころにこういう食事をしていたらよかったな』と思うことはありますか?」
ひさこ先生:「お話を聞いていると、スナック菓子にしても、ジュースにしても、ガマンしていたわけではないですよね。」
海堀選手:「そういうものが出てこなかったから、そもそも存在を知らないというか。一時期みんな飲んでるから、炭酸を飲みたくて飲んだ事もありました。飲みたい時に飲まないと、次にすごく飲んでしまう。今ならこの一口ですんだことが、飲まないことによって、1本とか、2日連続で飲んじゃったりとか。ストレスで食べちゃうときは、『自分は今イライラしてるんだな』って気付いて、気持ちを切り替えてその日は何をしてもいい。でも次の日からは普通にもどる。その時にそうしないと、次の日にモヤモヤして気持ちを引きずっちゃう。オンとオフ、そういうメリハリが必要です。ガマンし続けると、そのスイッチがニブくなってくる。さすがにチョコ1箱はマズいけど、集中力を上げるためにも1個分ぐらいだったら、甘いものはいい。そうしたら、ジャンクなものを食べたいと思わなくなります。」
編集部:「スイーツの誘惑(ゆうわく)に負けてしまう人が多い中、意識が高いです。」
海堀選手:「食べますよ。食後のデザートタイムはとても好きです。できれば、ゴールデンタイムに食べたいですが。」
ひさこ先生:「デザートのゴールデンタイムは午後3時前後。一般的に“ゴールデンタイム”と言うとからだづくりが効果的に行われる時間を指しますが、“デザートのゴールデンタイム”とは体に脂肪を一番貯めにくい時間帯のことです。」
編集部:「ヨーグルトはいつ食べていますか?」
海堀選手:「朝と寝る前のヨーグルトがいいと聞いたので、朝昼晩食べてます。ヨーグルトでも菌(きん)にちがいがあるとは知りませんでした。」
ひさこ先生:「乳酸菌と一くくりで言っても、個人個人との相性などいろいろあるようですが、まだ研究途上のことも多いようですので、そこまで考えなくて“ヨーグルトを食べる!”というような心がけで良いのでは? と思います。」
海堀選手:「便秘(べんぴ)にヨーグルトやココナッツオイルがいいって聞いたので。」
ひさこ先生:「色々な説がありますね。ちなみに善玉菌とか悪玉菌っていうのは、乳酸菌の種類じゃなくて腸内環境のことです。」
海堀選手:「お腹の調子を整えたい場合はどうしたらいいんですか?」
ひさこ先生:「やはり乳製品などをとって、乳酸菌ももちろん良いですね。あとは食物繊維(しょくもつせんい)ですが、生野菜の必要はないと思います。 生野菜のいいところは、酵素(こうそ)と、もう一つあえて言えばビタミンCがとりやすいところですが、たとえばレタスとゆでたホウレンソウを比べた場合、同じ量のビタミンCをとるために、レタスだったら大量に食べないといけないけれど、ゆでたホウレンソウだったら少量ですみます。生だったらドレッシングをかけたいけど、ホウレンソウだったらじゃこでもかつお節でもいいし、おしょうゆや出汁(だし)でうす味でも食べられる。そういう意味で、私は絶対にゆでた野菜をすすめます。食物繊維はゆでてもちゃんと残ります。 あとは私は、すりごまが単品の食材としてはオススメ。おひたしの時にも、おみそ汁にも、おうどんにも入れると良いと思います。」
海堀選手:「なぜ、すりごまがいいんですか?」
ひさこ先生:「ごまにはカルシウムやその他ミネラルも豊富に含まれています。ただ、ごまの周りの皮はかたくて消化しにくいので、有効に利用するためにすったごまがおススメです。あと、朝起きた時のお水は?」
海堀選手:「やってます。常温か冷たいお水か温かいものかって、人によって色々ありますよね。私はいつも常温の白湯を飲んでます。練習の時も、みんなは氷をいれてもらってるけど、私はお腹が冷えちゃうから常温にしてもらってます。夏場はあまり良くないと言われますが、冷たいとガバガバ飲んじゃうし、すぐお腹が痛くなります。」
ひさこ先生:「お腹が痛くなって、それこそ下痢(げり)でもしたら、水分補給の話じゃなくなっちゃいますね。自分に合った温度でいいかもしれませんね。」
編集部:「最後に、今サッカーをやってる子や、今からやろうかなと思っている子に、アドバイスをお願いします。」
海堀選手:「小学生だったら、キーパーじゃなくても、色々なポジションをやってみると、その中で多分キーパーにしか見えないものがみつかると思う。サッカーはチームスポーツだから、みんなで一つのボールを守ります。一人では守れないし、みんなでやらないとダメだし……本当にみんなに助けられてるっていうのをすごく感じます。ちょっとのコース決定をしてくれるだけで、届くところも増えますし。キーパーってガンガン言ってるイメージがあるかもしれないですけど、一人じゃ何もできない。」
編集部:「ご自身もご家族や周囲の方に支えられてこられたと思いますが、どういう風にサポートしてあげたら子どもは成長できると思われますか?」
海堀選手:「おいしいものを食べさせて、よくほめてあげる! “10ほめて1しかる”怒られてばかりだとやっぱりイヤになっちゃいますよね。子どもは本当に素直だから。きらいな食べものは、ちょっと工夫すればおいしくなると思う。」
編集部:「ご家族からサッカーについて何か言われたことはないですか?」
海堀選手:「応援(おうえん)には来てくれましたが、ガミガミ言われたことはないです。言わないほうがいいと思います。良いところを伸ばしてあげたほうがいい。」
ひさこ先生:「ダメな事は、コーチが言いますからね。」
海堀選手:「そう。楽しくてやっているものが、家でも怒られ、コーチに怒られってなったら、機嫌(きげん)が悪くなってふてくされてしまう。 それからおいしいものっていうのは、今でも思いますけどやっぱり幸せになれる。お母さんのごはんって、親のぬくもりを感じられるじゃないですか。」
ひさこ先生:「お話を聞いてると、お母様の料理が海堀選手にとっては最高だったんだなって伝わりますよね」
海堀選手:「そうですね、はい。大好きです!」
色紙には「感謝」「楽しむ」の二つの言葉が。多くの人に支えられてきた海堀選手は、いつも楽しむ心と感謝の気持ちを忘れていないのですね。
「取材はにがて!」と言われながらも誠実に、貴重なお話をたくさんしていただきありがとうございました! これからも海堀選手のご活躍(かつやく)を応援(おうえん)したいと思います!
1986年9月4日生まれ。京都府出身。
小学校のころ、父の影響でサッカーを始める。フィールドプレーヤーとして地域選抜に選ばれたりもしていたが、高校進学の際にソフトテニスに転向。しかし友人の後押しもあり、高校3年のときにGKとして再びサッカーを始める。2008年にINAC神戸へ移籍。2011年FIFA女子ワールドカップになでしこジャパンとして選出。正GKとして活躍し、決勝戦ではPK戦までもつれこむも、見事なセーブで日本のゴールも守り、世界一へ大きく貢献(こうけん)した。
練習熱心でストイックで、職人気質。良いと言われたことは一度試してみたり、常に向上心を忘れずに取り組んでいる。見かけによらずシャイな一面も合わせ持つ。
なでしこジャパンや各年代の代表選手が多く所属する神戸の女子サッカーチーム。
チーム名の「レオネッサ」とはイタリア語で雌(めす)ライオンを意味し、美しく力強い様子を表している。チームマスコットは「らいむちゃん」。“神戸から世界へ”をコンセプトに女子サッカーの更なる飛躍(ひやく)を目指して活動を行なっている。
2015シーズンは、昨シーズン果せなかった女王奪還(だっかん)を目指す。
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2015プレナスなでしこリーグ開催中!
INAC神戸公式サイト http://inac-kobe.com/
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