横浜FCで活躍中の安英学(アンヨンハ)選手。後編では、プロになってからの食生活、体重を維持(いじ)する苦労、また安選手が立ち上げたサッカースクールについてのお話をうかがいました!
編集部:「プロになってから、食生活は変わりましたか?」
安選手:「大学卒業後にアルビレックス新潟へ入団したのですが、ご飯のおいしい地域でした。当時はまだJ2で、クラブハウスもなく、若手の選手は提携(ていけい)している定食屋さんと洋食屋さんで食事していましたね。ボリュームも多かったですし、選手にとって良い食事を出してくれていたのですごく助かりました。」
編集部:「栄養指導は受けていましたか?」
安選手:「栄養指導というのはなかったです。自分でチョイスして、なるべく色々な物をかたよらずにとろう、という感じで楽しく美味しく食事をしていました。ただ僕はすごく食べるのがおそいんです。」
編集部:「そうなんですか、味わって食べているんですね。」
安選手:「味わっているのもありますし、おそいんですよね。みんなが早いのかもしれない。今でも食堂に最後まで一人で食べている状況(じょうきょう)です。気づいたら、作っている方と一緒に食べていたり。みんなにはジョークで、『人よりもしっかりと食べるトレーニングを食堂でしている』って、言っているんです(笑)。」
編集部:「それだけしっかり食べていると、練習中にスタミナ切れになることはありませんよね。」
安選手:「はい。食事は本当にしっかりとるようにしていますし、色々なものを食べるようにしているので、大丈夫です。」
編集部:「試合の途中で何か食べることはあるんですか?」
安選手:「あんまり試合中はとらないです。試合前に軽食をとって、あとは飲み物ですね。たまにちょっと物足りないなと思ったら、ゼリーぐらい。試合や練習後すぐプロテインゼリーとフルーツドリンク、糖質(とうしつ)が高い100%グレープフルーツジュースかオレンジジュースを飲むようにしています。」
編集部:「Kリーグや朝鮮民主主義人民共和国の代表としても海外に行き、海外の選手と接する機会も多いと思いますが、食生活や食事内容などで差を感じたことはありましたか?」
安選手:「まず、韓国の選手は食べるのが早いですね。日本の選手よりも食べる量が多いし、やっぱり食に関してはすごく大事にしています。
今のチームにはブラジルの選手もいるのですが、彼らはお肉をたくさん食べていますね。そのほか、フェイジョン(豆を煮こんだ料理)なんか。だからゴツいのですかね(笑)。
日本の選手の方が、食に関して色々こだわっているのかなっていうのは感じますね。」
ひさこ先生:「もしかしたら、日本のほうが食材的にも調理法的にも種類が多いかもしれないですね。」
編集部:「食事について、管理栄養士のひさこ先生に聞いてみたいことはありますか?」
安選手:「しっかり食べても体重が減ってしまう時があるのですけど、どういう風にカバーしたらいいのでしょうか?」
ひさこ先生:「体重が減る、筋肉がつかないという時は、お肉とかお魚とかたんぱく質に目が行きがちなのですけれど、やっぱりご飯、主食がすごく大事だと思います。主食をしっかり食べる事が重要です。そうすると、一緒に食べるお肉とか卵とかが筋肉作りや体重維持(いじ)に有効に使われます。
安さんは、練習後なるべく早く食事をとったりプロテインやゼリー、100%ジュースをとられているので本当に理想的です。一般論ですが、体重が少し減っている時は、もしかするとご飯などの主食の量が運動量に比べて少ないかもしれません。」
安選手:「確かに、少し足りていないかもしれないですね。今ちょうど体重が1kgくらい減っていました。つい先日試合だった影響もあると思いますが、今日で試合から3日目なのですが、まだ回復していない。今までは3日目なら、回復していたのですが。」
ひさこ先生:「体重が減った時、この時期だと水分量の補給が足りない可能性もあります。私たちの体は2/3が水分ですから、気温が下がったりで、飲む水分量が少なくなってくると体重にも影響(えいきょう)が出ます。」
安選手:「水分も影響があるのですね。」
ひさこ先生:「ご存知だと思いますが、水分は食事からもしっかりとれます。たとえばご飯は、3分の2くらい、60%以上は水分です。」
安選手:「そんなに水分が入ってるんですね、ご飯って。」
ひさこ先生:「普通の人が食べるおちゃわん一杯のごはん、おみそ汁、あとちょっとしたおかずの朝ごはん一食で、500mlのペットボトルと同じくらいの水分がとれます。試合の時に減るのはしかたないと思いますが、今言われたように3日目にはもどっている状態が良いでしょうね。」
安選手:「そうですね。もどってないといけないので、しっかりご飯を多めにとります!」