シンクロナイズドスイミングで、1996年アトランタ、2000年シドニー、そして2004年アテネと3つのオリンピックに出場し、合計5個のメダルを獲得(かくとく)した立花美哉(たちばなみや)さん。現在は指導者として活動する立花さんが考える、「食」と「スポーツ」の関係とは? また、気になるオリンピック村での食生活などさまざまなお話を、管理栄養士の久保田ひさこ先生といっしょにうかがいました!
編集部:「大学時代にカナダに競技留学されたということですが、 海外での食事はいかがでしたか?」
立花さん:「3か月位、ホストファミリーの家にホームステイしました。私のホストファミリーは、まさに“ザ・アメリカン”で、ステーキにご飯。ただ味が単一で味付けが塩コショウくらいで、それに慣れるのが大変でした。食事の量も多くて、太ってしまったほど(笑)。」
ひさこ先生:「味付けが単調だから、ついケチャップやマヨネーズをかけて、それでさらにカロリーオーバーになってしまうのですよね!」
編集部:「海外遠征(えんせい)も多かったと思うのですが、遠征先で、意識して食べるようにしていた物などありましたか?」
立花さん:「海外だと食材など手に入らないので、いかにそのバイキングで上手く量が食べられるかですね。でも基本楽しんで食べていました。いろんな料理が出ているので、取りあえず出て来たものは全部食べる(笑)!」
編集部:「シンクロ選手は、みなさんすごい食欲なんでしょうね?」
立花さん:「いいえ、その選手によります。表に出ているのはやせている選手のイメージですが、中にはダイエットしている子もいて、それぞれ苦労しています。合宿だとコーチが見張っていますが、バイキングだとコーチの目が行き届かず太ってしまう場合もあるみたいです。」
ひさこ先生:「オリンピック選手村のバイキングって、ケーキやファストフードもあって、必ずしもアスリート食じゃないんですよね。飲物も炭酸飲料やジュースもあるし。」
立花さん:「誘惑(ゆうわく)がいっぱい!1996年のアトランタオリンピックで、選手村にハンバーガーショップがあり、選手は大喜びで入ろうとしたらちょうどコーチが来て注意を受けたんです。それで『あ~食べちゃいけないんだ…』ってわかった。オリンピックだからって、すべてが栄養面を考えられた食事が出されている訳ではない。各自のコントロールで、コンディションに差がつきます。」
ひさこ先生:「でも選手村の食事は、栄養成分やカロリーなど、栄養表示だけはちゃんと提供されているんです。結局は、選手が何を選ぶかにかかってきますね。」
立花さん:「肉ばかり食べて野菜を食べない選手もいる。自己管理が必要です。
引退後コーチとしてアメリカ留学時に感じたのは、日本が食に対しよく考えている事。日本のお弁当はヘルシーで素晴らしい!」
編集部:「引退後の食生活について教えてください。シンクロの選手は引退して一番うれしい事は、食べなくてよくなった事だと聞きますが、本当ですか?」
立花さん:「はい、選手時代ほど食べなくなり、引退後はすごくやせました(笑)。でも時間がたつとみんな自由に食べ始めるので、太ってしまう人もいるようです。」
編集部:「引退されてから体型維持(いじ)や美容のために、している事などありますか?」
立花さん:「好きな物を食べる! 現役時代は、栄養や体作りのために食べる物や量を意識していましたが、引退してからは健康さえくずさなければそこまで体を気にする事がないので、好きな物をちょっとずつ食べたりしています。」
ひさこ先生:「そんな時にも“ちょっとずつ”という言葉が出るのは、まさに選手時代に身に付いたコントロールからで、本当にご自分のものになっているからです。本当にとき放たれたら、好きな物を好きなだけになり、“ちょっとずつ”にはならない。だから引退されてもお身体を健康に保たれ、素敵な体型でいらっしゃいますね。」
立花さん:「いつ水着を着ても見られる身体でいたいとは思っています。だから暴飲(ぼういん)などはしていません。今はコーチなので座っている事が多く、口を動かしているだけなので、選手時代みたいに食べたら太ってしまう(笑)。」
編集部:「乳製品は好きですか? どんな召し上がり方をされますか?」
立花さん:「私は乳製品が大好きです。選手時代はプロテインをとかすために、いつも牛乳も飲んでいました。引退後便通が悪くなったので毎朝ヨーグルトを食べています。プレーンヨーグルトに、ビタミンCをとりたいので果物を入れてます。」