今回、ご登場いただくのはFC東京のゴールキーパーで、ロンドンオリンピックでの活やくも記おくに新しい権田修一(ごんだしゅういち)選手。
実は権田選手は、サッカー選手の中でも特に栄養や食事にこだわりを持っていることで有名で、本サイト『ごはんだもん!げんきだもん!』のスポーツ栄養の先生、久保田ひさこ先生(FC東京栄養アドバイザー)ともなかよしなんです!
そこで今回は、久保田先生が権田選手にスペシャルインタビューを行い、ジュニアサッカー選手やその保ご者から寄せられた「食」に関する様々な質問に、たっぷりお答えいただきました。
権田選手を支える“食べ物パワー”は、一体何なのでしょうか!?
編集部:オリンピックでは大変な活やくで、おつかれ様でした。
日本とイギリスは気温差もありますが、今の体調はいかがですか?
権田選手:「ロンドンは涼しかったので、帰ってきてすぐは多少差を感じましたけれど、基本的に夏バテはせず、毎日元気です。」
ひさこ先生:「ロンドンの食事はどうでした?」
権田選手:「思ったより、魚がおいしかったですね。白身魚をグリルしたものばかり食べていました。
オリンピックでは、ずっと中二日で試合だったので、常に食事のペースをくずさないように意識していました。普通なら疲れて食欲が落ちるのかもしれないけれど、僕はいくらでも食べられちゃうので(笑)。むしろ食べすぎないように体重を測ってコントロールしていましたね。
今回は、なめたけや梅干しが用意されていたので、おかずに困ったら食べていました。」
編集部:久保田先生、味の濃いおかずは、塩分のとり過ぎになりませんか?
ひさこ先生:「いえ、そんなことはありませんよ。よく質問を受けるのですが、アスリートの場合は主食を多めにとる必要があるので、ごはんが進むおかずが必要です。また摂取する総エネルギー量が多いから、比例して塩分が多くなるのも仕方がない部分も。その分、ほかのおかずはうす味にしたり、味にメリハリをつける工夫が必要になってきますね。」
権田選手:「僕は、うす味が好きなんですよ。他の選手は肉や魚に塩をかけたりしていますが、副菜で十分塩分をとっているときは、そのまま食べるようにしています。」
編集部:次の質問は、ジュニア選手から寄せられた中で一番多かった質問です。
「好ききらいはありますか? きらいなものはどうやって食べられるようになりましたか?」
権田選手:「うちは、父親がバスケットボール選手で、母親がその食事管理をしていたので、“スポーツ選手の食事”というものがよくわかっていた家庭でしたね。「子どもにもいろいろなものを食べさせた方がいい」というのが母の考えでしたので、食べたことのない料理でも食わずぎらいせず、なんでも口にする習かんがつきました。」
ひさこ先生:「でも、権田さんの唯一の嫌いな食べ物が……」
権田選手:「ニンジンです(笑)。カレーに入っている程度なら大丈夫なのですが、グラッセとか甘く味つけたニンジンが苦手で。今でも年に何回かチャレンジしてるんですけれど、まだ好きになれませんね。でも、その代わりに“カボチャ作戦”で……」
― “カボチャ作戦”ですか?
権田選手:「そう、ニンジンの主要な栄養成分はβ(ベータ)-カロテンなので、同じくβ-カロテンが豊富なカボチャをたくさん食べておぎなおう、という……。」
ひさこ先生:「好ききらいなく何でも食べられるのが理想ですが、それでも食べられないものもある。嫌いなものを鼻をつまんで飲みこんでも、ちっとも美味しくないし、楽しくないですよね!?だったら権田さんのように、他の食品で栄養をおぎなうというのは正しい考えですね。
それに、今でもあきらめずに何度か挑せんし続ける、という姿勢がすばらしい!」
権田選手:「“大人になったら食べられるようになる”とよく言われるので。でも、まだダメみたいです。もう少し大人にならないと(笑)。」