家庭でできる食中毒予防!「食べ物パワーを味方につけろ!」

Vol.11 家庭でできる食中毒予防!

食中毒予防の3原則

イラスト・手洗い

6月は“細菌由来の食中毒”が増えてくる時季です。政府広報などでも注意喚起されていますが、大事なことは、細菌を食べ物に「付けない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」「やっつける(殺菌する)」ことで、これを『食中毒予防の3原則』と言います。

☆『付けない』
とにかく“手洗い”です!私たちの手は、様々なものを無意識のうちに触っています。そのため、手を介して食品に細菌がついてしまうこともあります。『常識でしょ!』と言われそうですが、とにかく調理前には、まず手を洗う! 食べる時にも、手を洗う!
これを励行することが大事です。

☆『増やさない』
手洗い後に調理しても、細菌が食品につくことも考えられます。そこで、大事なことは“食品についてしまった細菌を極力増やさないようにすること”です。つまり、細菌やカビが増殖しやすい“高温多湿”を避けることです。低温下だと菌の増殖スピードもゆっくりなので繁殖を多少抑えることが出来ます。そのためには、家庭では、冷蔵庫や冷凍庫を正しく上手に使いましょう。また、お弁当を持ち運ぶときは、
1)持ち歩く時間を極力短くする
2)持ち歩く間の“保冷”を心掛ける
3)炎天下には絶対置かない など“食中毒予防”のために最大限の注意を払いましょう。

☆『やっつける』
ほとんどの細菌は熱で死滅するので、“加熱して食べる”ことを心掛けましょう。
『75℃で1分以上』が“加熱”の条件と言われていますが、これは中心温度なので、ひき肉料理などでは案外難しいものです。(調理をする際に、“フタ”をすることも 中心温度を上げる一つの方法です。)外側が熱くなっても、中心までしっかり“高温”になっているかどうかは、チェックが必要です。
また、まな板、スポンジなどの調理器具も熱湯をかける、漂白剤などで滅菌するだけでなく、しっかり乾燥させることも大事です。以前、ざるうどんのざるの裏側にカビが発生した記事がありましたが、それも洗浄後、完全に乾いていなかったことが原因のようです。

今回は、梅雨を前に“食中毒予防の3原則”を紹介しました。
大事なことは、買い物の際に“商品表示の「保存方法」や「開封後の注意書き」をよく読み、注意すること”と、買い物前後、調理前後、食事前後など“こまめな手洗いを心掛けること”です。
どんなに注意していても、体調不良になってしまう事もあるでしょう。そんな時は、自己判断で市販の下痢止めなどを飲まず、早めに受診することをお勧めします。体調不良だと熱中症にもかかり易いと言われています。

久保田尚子先生  プロフィール

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。

<主な栄養サポート歴> <主な雑誌連載>
女子ソフトボール日本代表 月刊誌『サッカークリニック』
(2004年アテネオリンピック支援帯同) 《勝つための栄養セミナー》等多数
JリーグFC東京(トップから育成年代)  

ひさこ先生のワンポイントアドバイス

少年サッカーチームを対象に行われる、ひさこ先生の食育講座。
毎回、サッカー少年のお子様を持つお母さま方から、たくさんの質問が飛び交います。
その中から、いくつか抜粋してご紹介します。

Q1 傷みにくいお弁当のポイントは?(調理上)
A1 1)冷ましてから詰める⇒冷めきっていないうちに、ふたをすると、お弁当箱の中に水滴が溜まります。水分は傷む原因の一つです!

2)おかずの水分は少な目に⇒煮物も“含ませ煮”ではなく、煮切ってしまうとか、肉や魚も“揚げる”など水分を少なくする調理法がおススメです。

3)ミニトマトやさくらんぼのヘタは取って、水分を拭いてから入れます⇒ヘタの部分は、細菌がいる可能性が高いです。また、周りに水分がついているのも他のおかずが傷む原因に。

4)梅干の入れ方は“日の丸弁当形式”は効果なし⇒殺菌効果が期待される梅干ですが、“日の丸弁当”のような入れ方だと梅干の抗菌効果は梅干の周りだけになってしまいます。梅干(または酢)をご飯を炊く際に入れてしまうとか、ごはん全体に梅干を混ぜる“梅ごはん”にする方が効果があるようです。

5)自然解凍で食べられる“冷凍食品”を一品入れる⇒市販のものでも構いませんが、余分に作ったおかず(かぼちゃの煮物、さつま芋の煮物、卵焼きなど)を一緒に入れると“保冷剤代わり”になります。

Q2 お弁当を持っていくうえでのポイントは?
A2 なるべく低温で持ち運ぶ為に安心な方法は“保冷剤”の活用です。保冷剤の他に、冷凍できる容器に入れた飲み物などを傍に置くと一石二鳥です。

Q3 体格と食事量(大きいからってたくさん食べても良いのかな?)
A3 体格が大きいと言っても身長と体重の関係もありますし、年齢によっても多少は違ってきます。また、食べる食事量も、好きなものだけたくさん食べるとか、牛乳を水代わりというように偏った食べ方をしているならば、それは問題です。

Q3 プロサッカー選手の具体的な朝食メニューを教えてください。
A3 プロのサッカー選手も一般の方も原則は同じと考えてください。基本的には《食事バランスガイド》に則った食べ方です。ただ、試合当日は、主食がしっかり食べられるようなメニューにしたり、汁物の中にお餅やうどんを入れたりということもあります。また、《主菜》に関しても「Vol.7 食事バランスガイド」を参考にして下さい。

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