朝ごはんは大切です!「食べ物パワーを味方につけろ!」

Vol.9 朝食の大切さ

朝食は大事①“ケガ予防効果”

食事バランスガイド

サッカー選手に限らずですが、“ケガ予防”はとても大事なことです。特に、成長期のジュニア選手にとっては、なおさらです。
ケガ予防のためには、アップをしっかりするとか、日頃からストレッチをするなどももちろん大切です。でも、実は“朝食を食べること”も ケガ予防に大きく関わっているのです。理由は、脳のエネルギーがない状況は、集中力や注意力がないということにつながるので、しなくてもよいケガのリスクが上がることになるわけです。
脳のエネルギーになれるのは、主食に含まれている炭水化物(ブドウ糖)だけです。ところが、炭水化物はからだに貯めておくことが難しいため、起床時には体の中にほとんどない状態です。
つまり、朝食を摂らなければ、脳のエネルギーは空のまま、朝食を摂ることで脳のエネルギーチャージが出来、ケガ予防にもつながっていくということになります。

朝食は大事②“イライラ”しない

朝食を食べないでいるということは、前日の夕食から昼食まで15時間以上何も口にしていない状況ですが、朝食を食べていなくても、動けるよ!という声が聞こえてくるのも事実です。
体の中は、当然“エネルギー切れ”の状態のはずなのに、どうして動けるのでしょう。それは、私たちの体の中にある脂肪がエネルギー源として利用されるからなんですが、その状態はからだのなかに“遊離脂肪酸”という物質が増えていて、イライラしたりしやすい状況でもあるのです。
『おなかが空いているから、ついイライラしてしまった・・・』ということを誰でも多少は経験したことがあるかと思うのですが、それが正にその状況です。
つまらないことで、ケンカになってしまう!そんな状況の打破にも朝食は役立っているのです。

朝食は大事③“生活のリズム”が作れる

『朝食を食べること』は“入る”ことにだけ目が行きますが、実は“出る”ことを促してもいるのです。成長期の子どもたちにとって、“生活のリズム”を作るということも実はとても大事なことです。なかでも、忘れられがちなのが“排便のリズム”です。『食べ物を口にする⇒トイレに行きたくなる⇒…』という自然のリズムが出来るように、新年度を機に“朝食を食べる”習慣をつけて行きましょう!(一定の時刻に朝食を摂り、トイレに行くという習慣を続けることで、朝の排便習慣も身に付きます)

“朝食摂取の大切さ”は今では“常識”ですが、新年度にあたりご家族の皆さまで、改めて考えていただければと思います。

久保田尚子先生  プロフィール

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。

<主な栄養サポート歴> <主な雑誌連載>
女子ソフトボール日本代表 月刊誌『サッカークリニック』
(2004年アテネオリンピック支援帯同) 《勝つための栄養セミナー》等多数
JリーグFC東京(トップから育成年代)  

ひさこ先生のワンポイントアドバイス

少年サッカーチームを対象に行われる、ひさこ先生の食育講座。
毎回、サッカー少年のお子様を持つお母さま方から、たくさんの質問が飛び交います。
その中から、いくつか抜粋してご紹介します。

Q1 朝食が大事だということは分かってはいるのですが、朝は食欲がないと言っています。子どもでも食欲がないなんてあるのでしょうか?
A1 独立行政法人日本スポーツ振興センターの発表(平成17年度児童生徒の食生活等の実態調査 報告書)によると、朝食を食べない小中学生の理由は、半数近くが『朝、食欲がない』と答えています。つまり、現代では“子ども”にも『食欲がない』ということが特別ではな いことを表していると言えます。
その理由も様々ですが、大きなものとしては、生活のリズムが“夜型”にシフトしていることが考えられます。つまり、『早寝・早起き・朝ごはん』の早寝・早起きが考えられていないということです。夜遅くまで起きていれば、当然おなかがすくので“夜食”を食べるようになります。そうすれば、朝起きた時に、子どもでも“胃のもたれ”があるのは想像のつくところです。また、夜遅くまで起きていれば、当然朝は眠い、おなかも空いていないからもっと寝ていたい…という悪循環も起きるわけです。
また、寝る時間が遅い⇒夜食を食べる・・・の生活のリズムで、もう一つ問題があります。
寝ている間(特に熟睡中)に“成長ホルモン”が分泌されるのですが、おなかの中に食べるものが消化されずにある状態だと、熟睡が出来にくいので、成長ホルモンの分泌にも影響が出ると言われています。
『たかが朝ごはん、されど朝ごはん』を実感して、『早寝・早起き・朝ごはん』の生活リズムの大事なことを、新年度にあたり家族そろって改めて確認してみましょう。

Q2 『早寝・早起き』が大事なこと、『夜食』があまりおススメではないことも分かりましたが、どうしてもおなかが空いて寝られないようなときに、おススメの夜食は?
A2 調査によると、子どもたちの好きな三大夜食は『果物・アイスクリーム・スナック菓子』だということですが、実はどれも夜食としてはおススメではありません。熟睡中に分泌される成長ホルモンを有効利用するためには、成長の材料になる牛乳や乳製品が夜食としてはおススメです。人気のアイスクリームをヨーグルトに変えることで、脂質や糖質が抑えられ、たんぱく質やカルシウムが摂れるようになりますよ。

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