ふだん通り練習しているのに、記録が横ばい… ⇒ その原因はもしかしたら“貧血”かもしれません。
“貧血”だと → 酸素不足の状態になる → 持久系の競技では特に”パフォーマンスの低下”がみられる
ということは“貧血”は決して若い女子特有のものではないということです。
“貧血”と聞くと、朝礼などで長時間立っていたり、急に立ち上がった時の立ちくらみをイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、それは“脳貧血”と言って、今回のテーマとは少し違うものです。

こんな話を聞きました。ある男子中学生が毎日まじめに練習に取り組んでいるにもかかわらず記録が伸びないことを疑問に思ったコーチが受診を勧めたところ検査結果は“貧血”でした。貧血は最初は自覚症状がないので気が付かなかったり、若い女子特有のものと思いがちですが、決してそんなことはなく日頃からパフォーマンスの変化などを注意深くみることでこの例のように発覚することもあります。

原因も様々で、
●食事による鉄の摂取不足
●消化管からの鉄の吸収不足
●鉄の喪失量 (月経過多、消化管出血など)の増加
●成長による需要の増加

などがあげられます。

特に、激しいトレーニングを続けるアスリートは、鉄の排出や需要が増大しており、食事量と内容に気をつけていないと鉄の供給が追いつかず、鉄不足になりやすい状態にあるので注意が必要です。
鉄の主な働き・・・酸素をからだ中に運搬すること
つまり、鉄不足≒酸素不足の状態となります。

スポーツ選手では、鉄をしっかり摂っているかどうか ⇒ 持久力に大きく影響します。
もちろん、スポーツをしていない人でも息切れ、だるさという自覚症状につながります。

鉄は大きな働きを担っているため、特別の場合を除いては急に底をつくことはなく、少しずつ欠乏していく(ふだん使われる鉄と備え用の鉄というように分かれて保存されている)ように体の仕組みが出来ています。その分逆に一旦貧血になると治療に時間がかかるので、日頃から貧血にならないように食事に気を付けることが必要です。

結論

鉄を多く含む食品の代表格といえば”レバー”ですが、同じレバーでも種類によって含まれている鉄の量は差があります
また、貧血予防のためには鉄だけでなくたんぱく質(鉄とともにヘモグロビンの材料)も、銅(ヘモグロビンの合成を助けたり、鉄の吸収促進の働き)も、葉酸(赤血球を生成)も、ビタミンB12(赤血球の生成)も、ビタミンC(鉄の吸収促進)も…というように多くの栄養素が関係しています。ここでもやはり、バランスのとれた食事が大事ということになりますね。
(※鉄の大事さを意識するあまり、大量のレバーを毎日食べ続けたり、サプリメントを常用することで、『鉄の過剰症』の心配もあるので注意しましょう)

ケガと食事の関係

ケガはしないほうが良いに決まっていますが、それでもスポーツにケガはついて回ります。でも、”食事”ケガを予防したり、回復を早めることは、ある程度可能です。

➀先ず予防 集中力や注意力を切らさないように、主食も含めた食事(特に”朝食”)をすること。(※《主食》は大事な脳のエネルギー源。また、アップやストレッチを念入りにするなど技術的なことをしっかりやっていることが大前提) 
②回復を早める ケガの内容や部位による差はありますが、ほぼ共通なことはリハビリ中に体重が増えすぎないようにすることも大事。リハビリ中はいつも以上に食事に気をつけないと体重増加(練習量は少なくなっても、食事量は変わらなかったり、間食が増えることも原因)につながるので、いつも以上に“バランス”をキーワードに食事の回数や内容に気を付けること。但し、成長期の場合は必要以上に体重増に気を付けなくてもよい。
③気を付けたい”栄養素”
㋐たんぱく質 ケガの回復を考えるとつい”たんぱく質”に目が行きがちですが、たんぱく質は多すぎても少なすぎてもよくありません。
㋑炭水化物 体重が増えないよう、炭水化物は控えがち(うっかりすると抜くことも)ですが、必要なエネルギー源が不足する可能性もあり、場合によっては、すでに筋肉になっているたんぱく質がエネルギーとして利用されることもあります。リハビリ中こそ《食事バランスガイド》に則った食事をしましょう。
➃“いつ”食べるか 果物にはビタミンC(鉄の吸収促進やコラーゲンの生成に欠かせないなどの働き)が含まれているものが多く、リハビリ中にも有効な食品です。とはいえ、昔から『朝の果物は金、昼は銀、夜は銅』と言われるように、果物に含まれている“果糖”は体脂肪に変わりやすい性質もあるので、朝食や昼食時で摂るようにし、活動量が少なくなる夕食時以降は摂らないように心がけましょう。

ご紹介したものは一例ですが、“食事の摂り方”ケガ予防早い回復とも深い関係があることが分かります。

栄養学担当者プロフィール

久保田 尚子 先生

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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