秋になり、“暑さ対策”への心配が比較的少なくなってきました。とはいえ、これからの“残暑”もまだ心配ですし、目前に迫った“スポーツの秋”でも“発汗対策”は大事です。ということで、今月は“汗をかく”ことについて、一緒に考えてみましょう。

テーマに〔運動=汗をかく〕とありますように、運動すると季節を問わず汗をかきます。

① なぜ“汗をかく”のでしょうか?
運動することで体温が上昇します。しかし、私たちの身体は一般的に41℃以上に上がってしまうと様々な不都合が起きるので、それを防ぐために発汗します。発汗することで、中学校の理科でも習う“気化熱”が奪われ、体温の上昇を防ぐ(≒上昇してしまった体温を下げる)ことが出来ます。
体重などの条件により多少の差はありますが、目安として体重70㎏の大人が1L汗をかくこと(※1)で約1℃体温を下げることが出来ると言われています。(※1: 1Lの汗をかくということ=運動前後で1㎏体重が減るということ)
つまり、体温の上昇を防ぐために必要な発汗量に見合う水分補給をしておくことが大事ということです。

② 汗とはどんなものでしょうか?
汗が口に入ってしまった、あるいは目に入ってしまった経験がある方も多いかと思いますが、その時のことを思い出していただくと想像がつくように、〔汗≒水分+塩分〕です。
つまり、水分補給に最もふさわしいのは“汗の成分(≒食塩)”を含んだ水分(≒スポーツドリンク)が良いことになります。
しかし、しっかり汁物付きの食事を摂っていた場合は、一般的には運動開始1時間くらいまでは水(または麦茶)、それ以降スポーツドリンクをじょうずに併用することで大丈夫と言われています。(ただし、猛暑や運動強度が高いなどで、発汗量が非常に多い場合はその限りではありません)
また、競技特性(水分補給の時間が摂りにくい環境、風の影響などを受けやすい競技で 窓やドアを締め切った室内で練習・試合を行うことが多い場合など)によっては、発汗による蒸発効率が低下したり、高体温になりやすくなってしまうものもあるので、水分補給のタイミングの取り方などは練習も必要になってきます。

結論

水分補給は命に関わる大事ことです。とは言え、食事はエネルギー補給+水分補給ができる優れものであることは忘れてはいけません。
汁物付きでバランスのとれた食事をしっかり摂ることで1食あたり約500mlの(食塩入り)水分を摂ることが出来ます。
また、食事からの水分補給は水分だけを摂った時よりも胃の膨満感が少ないという利点もあります。
汗は〔水分+塩分〕ですが、しっかり食事を摂っていて、かつ1時間以内の運動なら、ふつうは特に塩分の補給は必要ないと言われています。とはいえ、炎天下や高温の中での長時間の運動などの場合は塩分の補給も必要になる場合がありますので、一概にはなかなか言えません。
水分補給や塩分補給もまとめてルール化するのはなかなか難しいので、『水分補給は欠かせない&水分補給は食事からも出来る』を第一義に考えて、自分のカラダと向き合っていくようにするのが大事ですね。

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“清涼飲料水”でも水分補給はOKですか?

運動後に清涼飲料水のペットボトルを抱えている小さなお子さんや運動後のビールを楽しみにしている大人を見かけることがたまにありますが、実は運動後の飲み物にも注意が必要です。
まず、大量の水分を飲まなければならないほどのどが渇いていたとしたら、それは運動中の水分補給がうまく出来ていなかったとも言い換えられますので、水分補給の仕方の見直しが必要になってきます。
また、“ご褒美的”に清涼飲料水を飲む場合ですが、1本(500mlとして)に含まれる糖分(約50g)やエネルギー量(約250kcal)は、年齢によっては多すぎますし、アルコール飲料には利尿作用があるので、それらを意識した付き合い方が大事です。
例えば、清涼飲料水を一気に飲んでしまうとそれだけで空腹が満たされ、その後の食欲に影響します。また、のど越しの良いビールを飲めば、飲んだ以上に尿量が多くなって、水分補給どころではありません。
練習後にどうしても“さっぱり感”を求めてコーラを一口飲みたい、そのさっぱり感が食欲増進につながるから…と訴えた選手に会ったことがありますが、その選手は“コーラ”の特徴を理解して、コーラの後に牛乳を飲んでいました。
つまり、『いつ、何を飲むか?』も、目的を理解した”選ぶ力”がものを言うということになります。

栄養学担当者プロフィール

久保田 尚子 先生

順天堂大学等の非常勤講師などを歴任しつつ、スポーツ栄養を中心とした栄養関連業務に従事。
<主な栄養サポート歴>JリーグFC東京((トップから育成年代)栄養アドバイザー、女子ソフトボール日本代表(2004年アテネオリンピック支援帯同)など
<主な雑誌連載>月刊誌『サッカークリニック』《勝つための栄養セミナー》等多数

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