スポーツ食育インタビュー

Vol.27 後編 ガンバ大阪 明神 智和選手

ケガに苦しんだ時期を経て、現在もJリーグガンバ大阪でMFとしてプレイを続けている明神智和選手。強靭(きょうじん)な肉体を作ってきたごはんの秘密とは……?プロになってからの食生活についてうかがいました。

食べるのも仕事のうち!その日のつかれはその日のうちに解消
試合中の明神 智和選手

編集部:「選手になってから、試合を意識した食事で気をつけている事などありますか?」

明神選手:「2日前ぐらいからごはんを少し多めにしたりとか、ちょっと気をつけてます。」

編集部:「試合の当日は、何を食べますか?」

明神選手:「おにぎりだったり、うどんだったり、トリ肉とか、消化になるべく良いもの。バナナにハチミツをかけたものなどを決まって食べるようにはしてますね。」

編集部:「栄養指導を受けましたか?」

明神選手:「もちろん受けたこともありますし、コーチに聞いたこともあります。でもそれを食べてお腹が重くなったりする日もあれば、足りなくて調子が悪い日もあったり……。それからは自分で考えて何がいいのか、これ食べてみようとか、トライしたり、やめたりしています。」

編集部:「どういう風に調子が悪くなったのですか?」

明神選手:「空腹感がすごく出てしまって、なんか力が入らないっていうか。試合前にこうファーッと食べたくなる。でも食べると重くなっちゃう。それが一番難しかったですね。」

ひさこ先生:「どんな状況でも食べないと“エネルギー切れ”になってしまう。 そんな時に何を食べるか、それが迷うところですし、難しいところですよね。」

編集部:「体のケアは、気をつけていますか?」

明神選手:「なるべくその日のうちにつかれを取ろうとは思ってます。ストレッチやお風呂、休むこともそうですけど、しっかり寝て、食べて、休むっていうこと。
なるべく、家帰ってすぐに食べるようにしてます。でもつかれ切って量をそんなに食べられないので、炭水化物をしっかりとる。パスタや、ちょっと食べやすいうどんとか。ごはんだとちょっとパサパサしているから、夏場はノドを通らない時もあります。夏は食欲が落ちますしね。そうすると体重も落ちていつもより動きも悪くなるので、そこは少し気をつけます。」

練習中の明神 智和選手

編集部:「じゃあ食べるのも訓練ですね。」

明神選手:「そうですね。それまでは美味しく食べてるんですけど、2杯目はもう、あぁ仕事だって。
水分もしっかりとるようにはしてます。1時間半の練習だったら、トータルだと2リットル以上の水を飲んでると思います。」

編集部:「スタミナ源はなんですか?」

明神選手:「食べ物だと、やっぱりカレーとか。」

編集部:「キャンプや合宿では何を食べていますか?」

明神選手:「ごはんをメインに、おかずをどうするかっていう風に考えます。一通り何があるか見て、地方によって、その特産物が出る時もあるので、それを食べることもあったり、ごはん、野菜、みそ汁、お肉、まんべんなく食べてます。」

編集部:「海外では食事に苦労しますか?」

明神選手:「いや、全然しないです。現地に合わせて何でも食べられます。好ききらいがないので。あと現地のモノを食べるのも楽しみなので、どこでも大丈夫です。」

ひさこ先生:「バイキングではまず一通り見てからとというのは、とても重要なことです。その理由は、ホテルがおススメのもの、目玉的な料理は目立つところに置いてあることが多いですが、それが試合を前にした選手が 食べた方が良いものと同じとは限らないからです。また、地方の特産物や外国の食事を楽しみになさっていらっしゃるとのことですが、それはとても良いと思います。“食事は大きな楽しみ”ですし、そういう風にしていると、自分のコンディションに合ったものを、おのずと選ばれるようになると思うんです。
私もよく小中高生に、『いつ代表に選ばれてもいいような食事の習慣を身に着けておくようにね!』と話します。そういう意味で、食事の自己管理を上手くされていらっしゃるんだと思います。」

食事はみんなで楽しく! 効果があると聞いたものは積極的に試す
インタビューを受ける明神 智和選手

編集部:「食べる時のこだわりはありますか?」

明神選手:「楽しく(笑)。一人で食べるよりも、たくさんで食べた方が美味しいですし、食べるなら美味しく食べたいですよね。」

ひさこ先生:「本当にそうですよね、素晴らしいです。」

明神選手:「どうせ食べるなら、さらに栄養を考えたほうがトクだし。でも休みの日とかはカップラーメンとか、たまにはそういうのが食べたくなる時もある。そういう時は、しっかり食べます。オンオフ切り替えて。
20代の時は、食事について色々決めてやってたんですが、つかれてしまって。それからはもう自然といいますか、これがいいって聞いたらとりあえずそれをずっと試したり、やめたり。健康のための好奇心はずっとあります。」

編集部:「ケガや体調が悪いときに、やってみて効果が出たものなどありますか?」

明神選手:「効果があったかどうかは分からないですけど、本を読んで里芋が痛みにきくと書いてあったので、やったことがありますね。ほかには、運動した後はグレープフルーツジュースが良いとマンガに書いてあったので飲んでみたり。」

ひさこ先生:「里芋がすごく痛みに効くという訳ではないかと思いますが、里芋にはぬめり成分が含まれていて、ぬめり成分は胃の粘膜を保護したり肝臓の機能を高める働きも言われているので、おススメの食品ですね!
また、グレープフルーツジュースなど柑橘系の果物には、エネルギー作りに欠かせないクエン酸や即効性のエネルギーになる果糖などが含まれているので、グレープフルーツジュースやオレンジジュースはおススメです!」

編集部:「体格の良い選手とかに当り負けしないような体作り、トレーニングはしていますか?」

明神選手:「技術はもちろんですけど、スピードやパワーの面でも対等にやっていきたいっていうのもあります。技術があっても体が動かないとか、つかれてるから技術が出せないという言い訳は一番イヤ。ならば相手より走るとか、スピードつけるといったところをおろそかにしたくない、と思ってやっています。」

編集部:「年齢を重ねるとともに、ケアが必要ですか?」

明神選手:「年をとると落ちてくることの方がやっぱり多いので、それに対してどうやって他で補うか。もちろん体のケアとか栄養っていう部分は、若いころより気をつかうようになりました。」

つづき
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