スポーツ食育インタビュー

Vol.20 前編 横浜FC 安英学選手

ごはんとパンでは、試合のパフォーマンスが違うことに気づきました。
インタビューを受ける安英学選手

ひさこ先生:「食生活を改善(かいぜん)する中で、主食の量は変えましたか?」

宮田選手:「チームの栄養士さんに『ごはんの量が足りていない』と言われ、もっと食べるようにしないとって意識する事が出来ました。昔は体型を気にして、炭水化物は太るというイメージだったので食べ過ぎないようにしていたんですが、主食をしっかりとるようにはなりました。」

ひさこ先生:「主食は運動時だけでなく、脳を働かせる唯一のエネルギー源なので、指導を受けた栄養士さんのおっしゃる通りご飯をしっかり食べることはとても大事なことです。主食のでんぷんは、ブドウ糖(とう)が一番長くつながったもので、消化するまで時間がかかるので、試合や練習で長い時間エネルギーをたくわえておきたい時にはオススメです。そして、アスリートには消化時間や合わせるおかずのことからも、パンよりごはんの方がオススメです。また、血糖値の上がり方がはやいものは、下がるのもはやくなりますが、ハーフタイム中などは即エネルギーになるオレンジジュースのような果糖(かとう)が向いています。」

宮田選手:「試合の日の朝食でパンを食べたときに、すぐにバテてしまって、全然動けないときがあったんです。でもごはんを食べた時はそれが全然無い。チームの栄養士に、ごはんの方が腹持ちが良いし、茶わん1杯のごはんのエネルギーをパンでとろうとしたら、かなりの量を食べないといけないと聞いて、それから試合の日はごはんを食べるようにしています。
試合時間が午後2時~3時のことも多いので、朝ごはんはしっかり食べて、試合前におにぎりとかおもちを雑煮にしたり、色々考えて食べています。」

編集部:「ごはんとパンを食べたときのパフォーマンスの差に気づくところが、スゴイですね!」

宮田選手:「最初は、体調とか他の原因も考えました。5年前だったらそれに気づいていなかったかもしれません。でも栄養士の方に食事の大切さを教わっていたので、食を意識できるようになったんだと思います。小さいころはあまりじょうぶではなかったのですが、食の改善をしてからは風邪や病気もあまりしません。体調管理や睡眠にも気をくばったり、試合前日はお酒飲まないようにしたり、毎日ほぼ同じ生活リズムで過ごしています。」

インタビューを受ける安英学選手

ひさこ先生:「宮田選手は栄養指導されたことをしっかり実践(じっせん)して成果を出しているので、指導した栄養士は幸せだと思います! 結果を残している選手は何で差がついているかというと、練習だけでなく食事をふくめた生活習慣で違いが出るのでは、と思います。」

宮田選手:「栄養士の方の指導が入ってから、チームみんなの食事に対する意識が上がっていると思います。練習後の軽食やプロテインの摂取(せっしゅ)なども積極的に取り入れています。消化の悪い物、あぶらっこいものを食べるとそれにエネルギーを使ってしまうものですか?」

ひさこ先生:「正確に言えば、消化する時間が長くかかるからエネルギーも使いますが、それよりもあぶらっぽいものを食べることのデメリットは、運動で消費する以上のエネルギーをとってしまうことであまったエネルギーが体脂肪として蓄(たくわ)えられてしまうことです。特に寝る前に脂っこいものを食べると消化に時間がかかるため熟睡(じゅくすい)できず、成長ホルモンの分泌に影響が出ることが問題と言われています。 」

宮田選手:「試合の前日は、あぶらっこいものは食べない方がいいですよね?」

ひさこ先生:「はい、試合前日は練習量もふだんよりややひかえめですよね? 運動量が少なめなのにいつもの食事やごちそうでは、代謝(たいしゃ)のアンバランスが起こり、体を動かす主食のエネルギーがたくわえられず、使い切らない脂質のエネルギーをためてしまうことになります。」

好きなことだから、つらくても頑張れる! 家族は食事面でサポートを。
インタビューを受ける安英学選手

編集部:「宮田選手は子どもたちに指導もなさっていますが、アドバイスをお願いします。」

宮田選手:「自分も子どものころからサッカーが大好きだったので、やはり楽しむことが大切だと思います。サッカーやフットサルを好きになって楽しむことが、頑張れる源(みなもと)だと思うので。ぼくも好きだからこそ、つらい事も乗り越えてここまで頑張れたと思っています。
好きになる事が上達への一番の近道です。指導する時は練習メニューも工夫して、子ども達が盛り上がるようなものを最初に持って来て注目させる、そうすると話もよく聞いてくれます。つまらないとやる気が出てこない、そういう子が1人出てくると伝染してしまう。楽しめるようなメニューを考えることが、指導者の役割だと思っています。」

編集部:「保護者の方に、家族ができるサポートなどアドバイスをお願いします。」

宮田選手:「子どものうちは栄養などの知識がないので、家庭の食事によって変わると思うんです。一番身近な存在である親が食事に興味を持って、たとえば子どものきらいなものを調理で工夫するとか、食の意識を変えたり知識をあたえて欲しいです。
特にスポーツをする場合は、子どものうちの食生活は本当に重要になってくると思います。」

ひさこ先生:「子どもの朝食欠食についての調査結果で、親も朝食を食べている家庭では当然子どもの欠食率は低いのですが、自分は食べないけれど子どもには朝食を作っているという家庭だと、保護者が努力しているものの子どもの朝食欠食率は高いんです。まさに今言われていたように、家族みんなで食に対する意識を上げることが子どもの食のサポートになるし、ひいては大人の健康づくりにもなって、家族にとっては良いことづくめだと思います。」

編集部:「食生活の問題は、家族みんなで取組む必要があるということですね。どうもありがとうございました!」

色紙には、「意志あるところに道は開ける」との言葉が。フットサルへの強い思いがあるからこそ、日々辛いことも乗り越えられると力強く語った宮田選手らしい一言でした。
今後のご活躍(かつやく)を応えんしています!

取材日:2014/10/3
写真提供:府中アスレティックフットボールクラブ
選手&チームのご紹介
宮田 義人(みやた よしひと)選手

府中アスレティックFC所属 背番号9
1982年生まれ。174cm70kg。 小学1年生より地元のサッカークラブ、調布イーグルスでサッカーを始め、ヴェルディの下部組織、本郷高校、国士舘大学でプレー。
大学2年生から試合に出場し、JFL、関東大学リーグで活躍。
大学卒業後フットサルに転向、府中アスレティックFCに入団。
関東オールスターや東京選抜、日本代表候補にも選ばれFリーグ開幕とともにペスカドーラ町田に移籍。町田で2年間プレー後、Fリーグに参戦した府中アスレティックFCへ復帰。現在、府中アスレティックFCのキャプテンとして活躍中。

府中アスレティックフットボールクラブ

日本フットサルリーグ Fリーグ
東京都府中市を本拠地とするサッカー&フットサルのクラブチーム。
イメージカラーは、東京競馬場の競走馬から、茶。エンブレムも、馬をあしらっている。チーム名の「Athletic」(英語で「競技の」、「運動の」の意)には、将来的にサッカー/フットサルを中心とした「府中市民の誇りとなる地域密着型スポーツクラブ」として成長していきたいという、クラブの理念が込められている。
日本代表選手を擁する全国的な強豪クラブ。2009-10シーズンよりFリーグに参加。

公式サイト:http://www.fuchu-athletic.com/

もどる
「スポーツ食育インタビュー」トップに戻る

ページトップへ