スポーツ食育インタビュー

Vol.19 後編 INAC神戸レオネッサ 髙瀬愛実選手

教えて、ひさこ先生! 疲労(ひろう)を取るメニューとは?
集合写真

編集部:「食事について気になる事、困っている事などありますか?」

髙瀬選手:「疲労(ひろう)を取るメニューや食品などがあればぜひ教えていただきたいです。」

栄養ポイント

疲労にも種類があり、運動後の疲労は、①肉体的疲労、②精神的疲労に大別します。

①肉体的疲労は、運動でエネルギーを使ってしまっている状態(≒エネルギー不足)のことで、いち早く“エネルギー補給”をすることが大切です。ただ、内臓も疲労していることがあるので、脂質控えめなど内臓に優しいもので、エネルギー補給をしましょう。
具体的には、うどんなどのめん類や手軽なおにぎり、パン、おもちやカステラなどでも良いと思います。
また、筋肉のケアのためにエネルギー源の糖質(炭水化物)の1/3程度のたんぱく質も一緒にとると良いです。

②次に、精神的疲労についてです。試合中は精神的ストレスや暑い寒いという物理的ストレスもあり、それらのストレスから守る働きのある“抗ストレスホルモン”の生成には、ビタミンCが必須です。

①と②から考えると、試合や練習直後のオレンジジュース等はとても効果的ということがわかります。 練習や試合の後はなるべく早く食事をすることが良いのですが、食事までの時間が空く場合は、エネルギーとたんぱく質が一度にとれる軽食も大事です。具体的には卵うどん、煮込みうどん、親子丼、サンドイッチ、おにぎりなどがおススメです。場合によっては、オレンジジュースやトマトジュース、牛乳、ヨーグルトの中から足していただいても良いでしょう。

目標は何でもいい。実現する過程(かてい)で人間として成長していこう!
髙瀬愛実選手

編集部:「チームの主将として意識して行っている事はありますか?」

髙瀬選手:「先頭を切ってかけ声をかけチームをグイグイ引っ張っていくというより、チームの潤滑油(じゅんかつゆ)的な役割ができるように、選手の中では、ベテランと若手のつなぎ役、チームの中では選手と監督・コーチとのつなぎ役というのを意識しています。」

編集部:「髙瀬選手の子どものころの夢は何でしたか?」

髙瀬選手:「小さいころからワールドカップで優勝したいって言って、卒業文集にも書いてましたよ。」

編集部:「それは、もうかなってしまいましたね!」

髙瀬選手:「う~ん、でもやっぱり試合にはなかなか出れなかったので、それだとまだ自分が思っていたのとちがうんです。だから、まだ夢がかなったとは思っていません。今の夢も変わらず、ワールドカップでピッチに立って、優勝したいって思っています。」

髙瀬愛実選手

編集部:「サッカーはずっと続けたいですか?」

髙瀬選手:「そうですね、関わっていたいと思います。いずれはコーチだったり、指導の方をやりたいですね。」

編集部:「子どもたちにアドバイスをお願いします。」

髙瀬選手:「こうなりたい、って思うことって大事だと思います。別にサッカーじゃなくてもいい。たとえば『結婚したい!』とかでも。結婚したいと思ったら、相手を探すにはどうするの? どこへ探しに行きますか? 友達を作ってみますか? いろいろな人と話してみますか? そういう過程(かてい)で人として成長できれば、目標はなんでも良いと思います。」

編集部:「保護者の方に向けて、家族ができるサポートについてアドバイスをお願いします。」

髙瀬選手:「好きなことを、自由にさせてあげてほしい。うるさく言わない方がいいと思います。スポーツに対してアレコレ言うより、やりたいことを実現するためにやらなきゃいけないことは何か、教えてあげた方が良い。
そしてコーチや仲間など、たくさん人に支えられているということを、教えてあげて欲しい。そうじゃないと自分だけでやっているとカン違いしてしまう。そこを正してあげることが保護者として必要だと思います。」

色紙には、今年に入ってから書くようになったという「初心」の文字が。特に「心」の字が美しく、文字通り心が美しく、礼儀(れいぎ)正しくさわやかな髙瀬選手でした。
高橋選手の“ワールドカップで活躍し、優勝する”という夢の実現まで、応援&祈りたいと思います!
取材日:2014/8/7
写真提供:INAC神戸レオネッサ
選手&チームのご紹介
髙瀬愛実(たかせめぐみ)選手

1990年11月10日生まれ。北海道出身。

2010年FIFA U-20女子ワールドカップでなでしこジャパン選出。以来2010年 アジア競技大会、2011年FIFA女子ワールドカップドイツに出場。ワールドカップでは、ほとんどピッチに立てず悔しい思いをしたが、その悔しさをバネに着実に成長をし、2012年 ロンドンオリンピックでは銀メダル、2014 AFC女子アジアカップでは優勝に貢献(こうけん)。2012年には、得点女王、ベストイレブン、リーグMVPを総なめにした。

入団6年目、23歳という若さでINACのキャプテンに就任。少年のような顔立ちとは反対に、実は宝塚歌劇団が好きという女性らしい一面も持つ。

INAC神戸レオネッサ

なでしこジャパンの澤選手や川澄選手、女子中高生に人気の髙瀬選手が所属する、神戸の女子サッカーチーム。

2001年に創部、2005年にLリーグ2部に参入、翌2006年1部へ昇格。2010年全日本選手権にて初タイトルを獲得し、2011年に念願のリーグ優勝を果たす。現在リーグ3連覇(れんぱ)、全日本選手権4連覇中。チーム名の「レオネッサ」とはイタリア語で雌(めす)ライオンを意味し、美しく力強い様子を表している。チームマスコットは「らいむちゃん」。

“神戸から世界へ”をコンセプトに女子サッカーの更なる飛躍を目指して活動を行なっている。

公式サイト
http://inac-kobe.com/

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